-第694回番組審議会-
開催日時
2024年2月27日(火)15:30~16:35
開催場所
北海道放送 役員会議室
出席の状況
委員総数 8名/出席委員の数 8名
出席委員の氏名 | 委員長:田尻 忠三 副委員長:菅原 亜都子 委員:佐々木 啓 委員:河治 和香(文書出席) 委員:伴野 昭人 委員:大﨑 雄樹 委員:世永 茂 委員:三上 直子 |
会社側の出席 | 勝田 直樹 代表取締役社長 伊藤 弘二 常務取締役 土門 哲也 常務取締役 小玉 満 オーディオビジネス局長 長嶋 潤二 メディア戦略局長 山岡 英二 報道・デジタル編集・スポーツ担当局長 藤枝 孝文 情報制作担当局長 吉田 隆志 コンプライアンス室長 |
メディア戦略局 | 吉田 智彦 編成部長 |
メディア戦略局 | 牧野 秀章 アナウンス部長 |
コンテンツ制作センター | 磯田 雄大 報道部長 |
オーディオビジネス局 | 田村 隆行 編成制作部長 |
コンテンツ制作センター | 山﨑 裕侍 番組プロデューサー |
コンテンツ制作センター | 長沢 祐 番組ディレクター |
コンプライアンス室 | 市川 弘之 番組審議会事務局長 |
審議会の様子
議題
テレビ番組「101歳のことば~生活図画事件 最後の生き証人~」(2023年10月14日放送)
議事の概要
月次報告
編成部(テレビ番組関連)
視聴率、2月の主な単発番組
報道部(報道番組関連)
HBC制作番組が「2023年メディア・アンビシャス大賞」の映像部門で受賞、映画「ヤジと民主主義 劇場拡大版」、TBSドキュメンタリー映画祭
編成制作部(ラジオ番組関連)
イベント、特番
議題審議
①副委員長選出
- 菅原亜都子委員を副委員長に選出した。
②テレビ番組「101歳のことば~生活図画事件 最後の生き証人~」
議題番組に関する委員の主な発言
- 生活図画事件の言葉は聞いたことがあったが、詳細はこの番組で初めて知った。地域の、風化させてはいけない歴史について、継続的に取材を重ね、映像を積み上げて視聴者に見せるのはありがたい。SNSなど探してみても番組が余り話題になっていないのが残念で、視聴者とのタッチポイントをどう増やすかが課題。
- なぜ絵を描くだけで捕まってしまうのか、治安維持法の取り締まり対象がなし崩しに拡大された流れを説明すれば、絵を描くこと自体が問題だったのではないと視聴者には理解がしやすかったのではないか。菱谷さんの「平和でいたい、ただそれだけでいいんだ」という一言が見るほうにはたいへん感動的な一言だった。
- 番組は戦前の話ではあるけれど、自白の強要とか供述調書の改ざんとか、大川原化工機事件のような冤罪事件も去年はあり、現代の刑事司法の問題点につながるところはたくさんあると思った。治安維持法の反省から戦後は改善された点はあろうが、濫用的に運用が拡大されないよう意識すべき問題だ。
- 道内でもこの事件以前から思想弾圧事件はあり、生活図画事件へ続く背景を立体的に見せてほしかった。番組のキーワードの1つが治安維持法だと思うが、解説だけにとどまらずにどれだけの人が検挙され、獄中死したとか、菱谷さんについても取り調べのディテールだとか、テレビによる記録として残して欲しかった。
- 戦時中の事件で映像が少ないため、治安維持法の理不尽さや生活図画事件の不条理さがなかなか映像として伝えられなかったところがちょっと残念。言葉だけでは伝わりづらく、番組のために菱谷さんに画を描いてもらうといった工夫があれば、視聴者に具体性を以て伝わったのではないか。
- 「戦争の空の下に生きていたんだから」と言う人が、「日本のありようについて真剣に考えてほしい」とつないだ言葉を深く受けとめたい。逮捕拘留場面での再現映像は親切ではあるが、逆に視聴者の想像力を失わせる気がし、ここは菱谷さんの手記の朗読で一人一人の想像力をかきたてて貰いたいところだと思った。
- 戦前を知る方が少なくなってきたなかで貴重なインタビューであったという点がまず挙げられる。高齢の方の記録を、戦争に限らず日常生活のことでも、ご存命のうちに生きた声を残し、この菱谷さんの事件以外にもぜひドキュメンタリーなどで視聴者に見せていくようメディアに期待する。
- 困難な時期を共に越え、菱谷さんと親友の松本さんが結んできた一生の交情を追うことによって、生活図画事件という特別な事件を経験した、特別な人の政治的歴史的なドキュメンタリーというだけではない、1人の人間の一生の人間ドラマとしての厚み、深みも感じ取れるところがあった。