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今どきの民泊事情…お寺、自然、本、専門家「暮すように旅するのがトレンド」地方で高まる民泊のニーズに空き家の活用も、民泊ビジネスの今後

2025年03月04日(火) 20時45分 更新

この冬もたくさんの外国人観光客が訪れていますが、去年、道内で外国人が宿泊した延べ人数は約965万人と過去最高になりました。

札幌中心部では、ホテルの開業ラッシュが続く一方で、注目を集めているのが民泊です。

・小樽 正行寺 岩本達典住職
「こちらが部屋になります」

部屋を案内するのは、ベルボーイではなくお坊さん。

こちらは、お寺に泊まれる『民泊』なんです!!

さらに、大量の本に囲まれた民泊も…

・民泊 本と辺境 松井和哉さん
「鳥の鳴き声しか聞こえない。ゆっくり読書してもらえる」

住宅の空き部屋などを宿泊客に貸す「民泊」が各地で増えています。

多様化する今どきの「民泊」事情をもうひとホリします!



観光客で賑わう北海道の小樽駅前から近い『正行寺(しょうぎょうじ)』。

住職の岩本達典さんが客間を改装し、民泊として開業したのは2020年でした。

アジアを中心に外国人客に好評で、檀家が減少する中、大事な収入源になっていると言います。

・小樽 正行寺 岩本達典住職
「世界的にみても『お寺』っていうところで宿泊できるのは、なかなかない。貴重な体験をしてもらえるのではというのが、いちばん大きなポイント」



素泊まりで1人1泊4000円と清掃料が1室3000円ですこの価格以外に、外国人観光客をひきつける魅力があります。



・小樽 正行寺 岩本達典住職
「布団とか畳とか座布団とか、『ジャパニーズスタイルの部屋は好きですか?』と聞くと、とても喜んで『大好きですよ』『あこがれていたんだ』とお返事をもらう」



人気スポットでは「オーバーツーリズム」が問題になるほど、観光客であふれかえる小樽市。

地元の不動産会社では、「民泊ビジネスを始めたい」という海外の超富裕層からの物件の問い合わせが増えているといいます。

・日本信達 石井秀幸代表
「中国を筆頭に香港・台湾などの人が圧倒的に(問い合わせが)いまも多い。ここ最近増えてきたのが、欧米系の人が2年間増えてきた」
「投資コストが安い。近隣の札幌もニセコもかなわないコストでは。かつ(小樽は)圧倒的な観光地である、集客ができる」



ここ数年、民泊を行う「届出住宅」の数は、札幌市だけでなく、札幌市以外の地域でも急増し、1000軒を超えました。

専門家は、宿泊客のニーズが変わってきていると分析しています。

・北海商科大(観光学) 池ノ上真一教授
「世界的なトレンドとしては『暮らすように旅をする』というような考え方が流行しているので、その地域らしい家に暮らす(泊まる)というニーズも高くなってきている」



タンチョウが間近で見られる北海道東部の鶴居村。

去年12月、本好きの男性が住宅の一部を改装してオープンしたのが『民泊 本と辺境。』です。

・民泊 本と辺境 松井和哉さん
「本が読める民泊ってあまり聞いたことがない…数えたことないけど、1万5,000冊位ある本を楽しめる。本も読めるというのは、最大の特徴ですね」



村には、タンチョウを目当てにたくさんの観光客が訪れる一方、宿泊施設が少なく素通りしてしまうことが多いと気づき、自ら民泊を開業。

料金は素泊まりで、2人まで1室1万5,000円で韓国など海外からも「本好き」の客が訪れています。

・民泊 本と辺境 松井和哉さん
「鶴とか自然が豊かですから、アウトドアを体験したあとに、ゆっくりここで読書してほしい。ニセコなどパウダースノーには勝てないが、それに対抗するのは例えば本だったりしたらおもしろい」



国が、訪日外国人旅行者6,000万人を目標に掲げる中、人手不足が進む地方のマチでは、「民泊」の重要度が高まると池ノ上(いけのうえ)教授は考えます。

・北海商科大(観光学) 池ノ上真一教授
「(ホテルなど)宿泊事業者のすくいきれない部分(宿泊客)を、(民泊が)どう柔軟なキャパシティーとしてすくっていくか」
「道内ですてきな所はたくさんある、文化にしても自然にしても。そういう所で、空き家を再生するような役割として、民泊は北海道にとっては可能性が高い」

北海道ニュース24