2世信者が語った胸の内「批判されても信じていきたい…人生そのもの」旧統一教会への“解散命令”の判断は3月の見通し 韓国では新たな教団施設の建設も
2025年02月15日(土) 09時00分 更新
世界平和統一家庭連合=旧統一教会への解散命令請求から1年半近く、東京地裁は3月、判決を出す見通しです。
教団の信者は今、何を思うのか。両親が信者で生まれながらに信仰を持つ、札幌の2世信者の胸の内です。
◇《合同結婚式で夫婦になった両親》
札幌に住む30代の2世信者の男性です。今回初めて、メディアの取材に応じました。
旧統一教会・現役2世信者の男性(30代)
「(宗教2世であることが)マイノリティだなと感じるなかで、やっぱり教会が拠り所だったっていう部分は、2世には、少なからずあるのかなと」
「本当に(教団が)解散することで失うものというのは、ちょっと自分の中では、大きいなと感じています」
男性の両親は1980年代、それぞれ旧統一教会に入信。1989年に韓国で行われた、旧統一教会による『合同結婚式』で結ばれました。
旧統一教会・現役2世信者の男性(30代)
「(周りに)言えなかったですね。世の中からも、いいイメージがないっていうのも薄々あって」
「親友とかには、自分の本音を伝えられて『お前はお前じゃん』みたいな、受け入れてもらえて。それが本当に救いだったなって感じだったんですけれど」
◇《妻となった女性も2世信者…銃撃事件で孤立感を深める》
男性が信仰に強く傾いていったのは、20歳を過ぎたころ。職場の人間関係や将来に悩んだことが、きっかけでした。
そして数年前、同じ2世の女性と結婚。3年前、子どもが生まれました。
2022年7月8日、奈良県で街頭演説に立っていた安倍元総理が銃撃される事件が起きました。
逮捕された被告が、母親が多額の献金をした教会への恨みを募らせた末に、事件を起こしたなどと供述。
全国霊感商法対策弁護士連絡会(2022年7月)
「単なる本なんですが、これを旧統一教会は、いくらで信者に買わせるかといったら、3000万円です」
安部元総理銃撃事件をきっかけに、旧統一教会の深刻な被害が、社会問題化しました。
旧統一教会・現役2世信者の男性(30代)
「(社会から)一括りに犯罪者のように扱われたりとか、信仰を伝えていた友人からも『距離を置きたい』と言われた時とか、やっぱり…ちょっと苦しかったのはありますね」
◇《韓国で拡大を続ける教団…合同結婚式には日本人550人が参加》
旧統一教会 韓 鶴子総裁(韓国・清平 2023年5月/PeaceLinkTV)
「真の父母さまがつくった伝統を受け継ぎ、“天一国”が目指す理想の家庭を完成することを約束するか」
一方、銃撃事件の翌年の2023年、韓国では、教団の合同結婚式が開かれ、日本からも550人が参加したと報じられました。
合同結婚式だけでなく、教団トップの生誕80周年の式典のほか、新しい教団施設もお披露目しました。
銃撃事件のあと、新たな教団施設をお披露目した旧統一教会。
男性はいま“10分の1献金”と呼ばれる給与の1割を献金していますが、霊感商法や高額献金には、関わったことはないと話します。
旧統一教会・現役2世信者の男性(30代)
「2世たちは、この世の中と信仰というはざまで、凄くもがいて、時に隠して来た部分があるので…。こんなにもこう、世の中に必要とされてないかっていうのは、自分もすごく感じてきたので」
◇《迫る解散命令の判断…“全宗教界への弾圧”と訴える動き》
政府は2023年、東京地裁に旧統一教会の解散命令を請求。1年半近く続いた審理は、今年1月に終わり、裁判所は3月、判断を示すとされます。
一方、信者らは、裁判所の審理に並行して、全国で集会や街頭演説を行い、憲法が保障する“信教の自由”を訴えています。
旧統一教会 札幌の信者による街頭演説(1月26日・札幌)
「信教の自由の問題は、宗教団体すべての問題!日本の岐路に立っている!」
教団の動きを20年以上、取材する鈴木エイトさんは、こう指摘します。
旧統一教会を長年取材 鈴木エイトさん(去年12月・札幌)
「(旧統一教会は)解散命令を何とか逃れようとして、シンポジウムや集会を開いて、そこにいろんな既存の宗教団体を巻き込もうとしているんですね」
旧統一教会を長年取材 鈴木エイトさん(去年12月・札幌)
「旧統一教会という個別の解散命令請求ではなくて、全宗教界に対する国の弾圧だという形に持っていこうとしているんですね。ずっと教団側は抵抗を続けていますけれどね」
◇《「批判されても信じていきたい…自分の中では人生そのもの」》
旧統一教会・現役2世信者の男性(30代)
「解散だから、周りから(信仰を)捨てろ、と言われるのは本当に苦しいですし、捨てられないとも思いますし、捨てたくないっていう思いもあります」
「(社会から)批判されても信じていきたい。自分の中では人生そのものなんだろうと思います」
教団本部は、HBCの取材に「東京地裁で解散命令が出された場合、速やかに抗告して最高裁まで争う」としています。
森田絹子キャスター)
旧統一教会への解散命令請求は、霊感商法や高額献金などの被害を生んだ宗教法人であることの違法性が問われています。
その一方で、信者個人の『信教の自由』は憲法で保障されています。
堀啓知キャスター)
宗教法人としての違法性の問題と、信者個人の人権の問題は、分けて考えないといけません。
教団は今後、高裁、最高裁と争う姿勢です。旧統一教会を取り巻く問題は簡単には終わりません。