北海道内の学校で認知されたいじめ件数、昨年度4万9149件で過去最多…5日も新たに2件“重大事態”判明 専門家「組織的に早期介入を」
2024年11月05日(火) 20時38分 更新
4万9419件。これは昨年度、北海道内の学校で認知されたいじめの件数です。これは昨年度、北海道内の学校で認知されたいじめの件数です。そんな中、5日も新たに2件、特に重大な事案が発表されました。
北海道は5日、2つの私立学校で起きたいじめを「重大事態」として明らかにしました。
「重大事態」とは、子どもの生命や財産に大きな被害が生じたり、概ね30日間以上欠席したりした深刻な事案のことです。
北海道行政局学事課 大久保北斗 担当課長
「今回の案件も(学校内に)調査組織はあるが初動体制でしっかり機能していなかったのでは。専門家も含めた組織をしっかり整備していく必要がある」
北海道は、今回の2つの事案が深刻化した背景として、学校側の初期対応が不十分だったと指摘。
被害生徒から相談を受けた際にいじめではなく「人間関係のトラブル」だと一部の教員で判断してしまったことや、加害生徒の謝罪だけでいじめが解決したと誤解したことなどを挙げました。
子どもたちのいじめをめぐっては10月末、厳しい実態が明らかになりました。4万9149件。
これは北海道内の小中学校、高校、特別支援学校で認知されたいじめの件数です。昨年度は過去最多の4万9149件に上りました。
北海道大学教育学研究院 加藤弘通 准教授
「正直言うともっとあるのではと思っている。トラブルとして処理してきたものが今回はより積極的にいじめとして認知しましょうという話になったと思う」
発達心理学の観点からいじめの問題などを研究する北海道大学の加藤弘通准教授は、いじめが起きた際に深刻化させないため、スクールカウンセラーなどの専門家も含めた組織を速やかに整えるべきだと訴えています。
北海道大学教育学研究院 加藤弘通 准教授
「相談したにも関わらずいじめが解決しなかったパターンが、一番深刻化のリスクが高い。組織で対応して少なくとも相談を受けた翌日には対応できる体制を作るのがとても大事。いじめる側の人間もエスカレートさせる機会が減っていくのでなるべく早く介入すること」
昨年度、北海道内の小中学校、高校、特別支援学校で認知されたいじめの件数は、4万9149件、およそ5万件で過去最多でした。
欠席が30日間、つまり1か月以上に及ぶ重大事態は52件で、こちらも過去最多です。
これだけ多くの子どもたちが、学校で生きづらさを抱えているということです。
北海道大学の加藤弘通准教授は、対応策として次のように提言しています。
担任の感覚で対応が左右されないよう、専門家も含めた「組織的な対応」をすることで、いじめの見過ごしを防げるだけではなく、担任の負担軽減にもつながるといいます。
また、組織的な対応につなげようと札幌市などで導入が始まっているのがいじめアンケートのICT化です。
どういうことかといいますと、子どもたちがタブレットなどでSOSを出せる仕組みで、学校全体でいじめについて「把握」・「共有」し、早めの介入を目指しています。
こうした取り組みで、1件でも深刻化を防げるといいですね。
「北海道いのちの電話」は毎日24時間、相談を受け付けています。
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全国どこかの相談窓口につながるフリーダイヤルもあります。
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