瑠奈被告の父修被告が証言、家の中では片言の“ブロークンイングリッシュ”で会話「何を考え、望んでいるか、今もほとんど…」【ススキノ首切断事件裁判】
2024年11月23日(土) 12時58分 更新
去年7月、札幌市の歓楽街ススキノのホテルで、当時62歳の男性が殺害されて首を切断された事件で、逮捕・起訴された親子3人のうち、死体遺棄ほう助などの罪に問われている母親の浩子被告62歳の裁判が20日、札幌地裁で開かれました。
これまでの裁判では、検察側が『両親は、娘の瑠奈被告に支配される家族関係で、犯行を知っていたが止められず手助けした』と主張。
一方、弁護側は『犯行自体を知らず、手助けする意思はなかった』と主張していました。
修被告(20日 法廷スケッチ)
20日は、すでに保釈されている修被告が黒いスーツ姿で証言台に立ち、娘の瑠奈被告について「何を考えていて、何を望んでいるかは、今もほとんどわからない」と証言しました。
事件発生時の現場(去年7月 札幌市中央区)
《瑠奈被告ら3人が問われている罪》
札幌市の歓楽街ススキノのホテルで、当時62歳の男性が殺害されて首を切断、頭部を持ち去られたこの事件。起訴状などによりますと、札幌市厚別区の無職、田村瑠奈(るな)被告30歳、父親で精神科医の修被告60歳、それに母親で無職の浩子被告61歳の親子3人は、それぞれ以下の罪に問われています。
高校時代の瑠奈被告
■田村瑠奈被告=殺人、死体損壊、死体領得、死体遺棄
・被害男性の首を、刃渡り約8.2センチの折りたたみナイフで何度も刺して殺害
・殺害後、ノコギリなどで首を切断
・頭部をキャリーケースに隠し、修被告が運転する車に乗って自宅まで運ぶ
・刃物などで皮膚を剥ぎ取り、眼球などを摘出
・その様子をビデオ撮影することを企て、浩子被告に依頼
修被告
■父親の修被告=殺人ほう助、死体損壊ほう助、死体領得ほう助、死体遺棄ほう助
・殺害目的などを知りながら、ノコギリ2本、キャリーケースなど12点を購入して瑠奈被告に渡す
・犯行後の瑠奈被告を自宅まで運び、男性の頭部を隠すことを容認
・浩子被告を介して頭部損壊の様子のビデオ撮影の依頼を受け、実行
浩子被告(20日 法廷スケッチ)
■母親の浩子被告=死体遺棄ほう助、死体損壊ほう助
・被害男性の頭部を瑠奈被告が自宅に隠すことを容認
・瑠奈被告から頭部損壊の様子のビデオ撮影を求められて容認、修被告に実行を依頼
20日、札幌地裁で開かれた母親の浩子被告の裁判で、修被告は黒のスーツ、紺のネクタイ、メガネをかけて、法廷に姿を見せました。
証言する修被告(20日 法廷スケッチ)
《家の中では片言のブロークンイングリッシュしか喋らない》
検察「瑠奈被告が、あなたたちに暴力を振るうことは?」
修被告「子どもが親に振るう範疇の暴力はあったが、危険を感じるほどではない。瑠奈が苦しい状態になって、そのはけ口として暴力的な態度をとることはあった」
検察「あなたの首を絞める行為はあったか?」
修被告「興奮したときに、そういう態度もあった。意識が落ちるほどの強さではない。本人が辛いことの表れで、本人の辛さを共有しておかないと、火に油を注ぐことになる」
検察「浩子被告に対する暴力は?」
修被告「家の中では、ほとんど片言のブロークンイングリッシュしか喋らないので、会話が噛み合わなくて、興奮して親子喧嘩のようなことはあるが、危険に感じていたわけではない」
《何を考えて、望んでいるのか…ほとんどわからない》
検察「浩子被告と、(娘の瑠奈被告を)苦しめないよう、どうしたらいいか話し合っていた?」
修被告「話し合っていたというよりは、親として自然に共有していた。瑠奈が何を考えていて、何を望んでいるかは、今もほとんどわからない。本人が落ち着いているときは、なるべく普通の生活をしてもらう」
検察「興奮しているとき、言うことは聞く?」
修被告「興奮しているときは、聞くときも、聞かないときもあるが、興奮が終わればゼロになる。『殺してくれ』『出て行ってくれ』と言われても、次の日に家に戻れば、普通の生活が出来る」
証言する修被告(20日 法廷スケッチ)
《瑠奈被告が被害者と会わないように工作も…》
検察「娘が被害者と会うのは、性的な行為をするためと認識していた?」
修被告「はい」
検察「あなたは、被害者に対して会うのをやめさせた?」
修被告「被害者に対して『会ってほしくない』と言った」
検察「それは避妊具をつけずに、娘と性行為に及んだことがあるから?」
修被告「もちろんそれはあります」
検察「被告人(=母親・浩子被告)とともに、会わないように“暴力団”をにおわせて、脅すような話を考えた?」
修被告「会いに来ないためのストーリーを考えた。脅したわけではない。“来てほしくない”と伝えるためのもの」
《瑠奈被告はウキウキしている部分が…》
検察「被告人(=母親・浩子被告)は、娘が被害者と会うのを心配していた?」
修被告「好ましくないと心配していたと、会わせたくないと。少なくとも私はそうでした。妻に確認していませんが、“会ってほしくない”という心配をしていたかと」
検察「被害者に電話したか?」
修被告「しました」
検察「被害者は『会う』と答えた?」
修被告「はい」
検察「娘には『会ってほしくない』と伝えた?」
修被告「娘はウキウキしている部分があったと思う。祈るような気持ちで送り出した。結果から考えたら、何か言うべきでした。本人がやりたい性的な行為だけだと思っていた」
《購入した8袋の氷について》
検察「瑠奈が何に使うか知っていたか?」
修被告「性的な行為で、腫れあがったのに使うのかと思った」
検察「瑠奈が何に使ったか知っていた?」
修被告「あとから2回目に買った氷が袋のまま置いてあって、使わなかったんだな、と思った」
検察「氷をどう渡した?」
修被告「2階の部屋にいる娘に手渡した」
検察「衣装ケースの中に氷を入れていて、首を冷やしていると思わなかった?」
修被告「それに被害者の首が入っているとは思っていない」
《瑠奈被告が告げた“首を拾った”という意味》
検察「普通は、首落ちていないですよね?」
修被告「はい、一般的には」
検察「被害者と会いに行く…、首拾ってきた。誰のと思ったか?」
修被告「被害者かも、半信半疑。恐らくそうだったんじゃないかと思った」
検察「瑠奈被告が殺したとは思わなかった?」
修被告「何があったのか半信半疑。瑠奈が直接殺したとは思ってない」
検察「瑠奈被告が殺したというのは、少しも思わない?」
修被告「ゼロではないけれど、大きいパーセントではない。トラブルに巻き込まれたのかななどは考えたのかも」
検察「瑠奈被告から話は?」
修被告「本人から「拾ってきた」ぐらい…理由はない」
娘にとって自分たちが「この世で唯一の窓口」と話し、時折、涙で声を詰まらせた修被告。
一方で、修被告の初公判は2025年1月14日に開かれることが決まっていて、判決は来年3月12日に言い渡される予定です。
また母親の浩子被告の次回公判は、12月12日午前11時から開かれます。
なお瑠奈被告については、初公判の日は決まっておらず、すでに検察側の精神鑑定を終えていますが、弁護側も精神鑑定をする方針です。