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「あの日、あの時、ヒロシマで」日本被団協のノーベル平和賞受賞 北海道でも核廃絶にむけて次世代が継承

2024年12月11日(水) 17時51分 更新

被爆者の平均年齢は85歳を超え、道内で被爆体験を語り継ぐ「北海道被爆者協会」は、会員の高齢化などを理由に2025年3月で解散する見通しです。

その後は、被爆者や被爆2世で新たにつくる団体に引き継がれる予定ですが、次世代への継承が課題となっています。

札幌南高校の生徒
「(何を作っている?)鶴です。修学旅行で長崎で平和学習をして、平和を祈るための鶴を学校を挙げて折っている」



札幌南高校では、日本被団協の「ノーベル平和賞」受賞を記念して、生徒会が平和を願う折り鶴づくりを呼び掛けました。

また、定時制の生徒約70人は、長崎にある「平和祈念像」の巨大モザイク画を3週間かけて制作しました。



2024年5月、定時制に通う1年生の有志数人が、核兵器の廃絶を目指して、ある取り組みを始めました。

札幌南高校 定時制 田伏恋菜さん(15)
「服部十郎、16歳。あの日私は、志願兵として広島の兵舎にいました。外に出て見た周囲は地獄だった」

被爆者の証言を語り継ぐ「朗読劇」です。タイトルは「あの日 あの時 ヒロシマで」。



生徒たちは、札幌市の「北海道ノーモア・ヒバクシャ会館」に行き、原爆に関する資料を見学したり、被爆者と直接会って、その壮絶な体験に耳を傾けてきたりしました。 

札幌南高校 定時制 阿部元春さん(16)
「最初は(テーマが)重いなと思ったんですけど。やっていくうちに自分が語り継がなきゃと思った」



札幌南高校 定時制 前川玲奈さん(22)
「戦争の恐ろしさとかリアルなことを聞いて、胸を締めつけられるようなこともあったから」

12月4日、朗読劇を披露する機会が訪れました。

札幌南高校 定時制 前川玲奈さん(22)
「松本郁子12歳。あの日、私は1人で家の中にいました」



会場では、前川さんが演じる被爆者の松本郁子さん(91)も見守ります。

札幌南高校 定時制 前川玲奈さん(22)
「通りに出るとけがをした人、指先に皮膚を垂らしたやけどの人が、まるで絵に描いた幽霊のように歩いてきました」

札幌南高校 定時制 深澤璃音さん(16)
「黒く大きな油のような雨が降ってきました。近所の人が叫びました。油をまいて焼け野原にするつもりだ」

札幌南高校 定時制 田伏恋菜さん(15)
「火傷を負った人々は、つぶれて出ない声を必死に振り絞りながら言っていました。水を、水をください」

札幌南高校 定時制 前川玲奈さん(22)
「二度と同じ過ちを繰り返さぬために」

札幌南高校 定時制 深澤璃音さん(16)
「私たちも語り継ぎます」

広島で被爆した松本郁子さん(91)
「本当に真剣に取り組んでくださってありがとうございます。私たちはもうすぐいなくなりますけど、次の世代に語り継がれていくようにお願いします」



札幌南高校 定時制 前川玲奈さん(22)
「(会場に)来た方も高齢の方が多かったので、若い世代や学生にも戦争のことを知ってもらいたい」

広島で被爆した松本郁子さん(91)
「どうぞ続けてください」

今回、ノーベル平和賞を受賞した理由のひとつにも、「新しい世代が被爆者の経験とメッセージを継承している」ことが挙げられています。

札幌南高校の生徒たちは、2025年に向けて朗読劇の「長崎編」の練習にも励んでいます。

被爆体験を継承しようとする北海道内の高校生は、実はほかにもいます。



札幌東高校では2024年9月、札幌市在住で広島県出身の被爆者・金子廣子さん(84)を招き、講演会を開きました。

北海道被爆者協会の解散をニュースで知った生徒が危機感を抱いて企画し、当日は60人以上の生徒が参加したということです。



また、道内在住の高校生が中心となって2025年3月に、札幌市で「被爆ピアノ」のコンサート開催を目指しています。

「被爆ピアノ」とは、原爆投下で奇跡的に焼け残った数台のピアノで、 いくつかは修復され、各地の演奏活動で使われています。

開催に向けてピアノの移動費や会場費、演奏者の出演料などが必要なため、160万円を目指してクラウドファンディングを実施しています。

北海道ニュース24