建築火災の専門家「密閉的な空間で放火されたらどうしようもない…」札幌すすきの“ガールズバー”爆発火災 火を放った疑いの41歳男性と20代女性従業員の間で交際トラブルも
2024年11月27日(水) 18時25分 更新
◇《札幌の繁華街に鳴り響いたサイレン》
石黒拓海記者
「午前10時です。警察と消防による現場検証が行われます」
27日午前、札幌・ススキノのビルに警察と消防が入りました。
鳴り響くサイレンの音。ビルからは激しく炎が上がり、辺りに煙が立ち込めます。
26日午後、札幌市中央区南5条西3丁目で起きた爆発火災。発生場所はビル2階のガールズバーでした。
目撃者
「買い物をしていまして、店から出てきたら、物が落ちる音がして、工事かなと思ったらガラスが散乱していて」
「(ビルの)中から衣装を着た女の子たちが、火がついた状態で2人くらい出て来ました。従業員のかたが必死で(火を)消していた」
◇《爆発火災の凄まじい衝撃》
ストレッチャーに乗せられて救助される男性の服は、焼け焦げていました。
消火を手伝った女性
「両手とか、髪の毛とかが燃えているような、パニックになった男性が(ビルから)出てきて、両手にタトゥーが入っていて、溶けるぐらいドロドロになっていた」
「(腕の)皮がめくれて、ペットボトルの水を(別の)男性がかけていたので一緒にかけた。近くのコンビニに行って“お水くれませんか”と言って水をバケツでもらった」
この爆発で、30代から50代の男性3人と、20代の女性従業員が、全身にやけどを負い、病院に運ばれました。
◇《4人が全身やけどで治療…新展開も》
病院での治療が続く中、27日、新たな展開がありました。
警察は、意識不明となっている41歳の男性が火を放ったとみて、現住建造物等放火の疑いで捜査していることを明らかにしました。
消火を手伝った女性
「『急に液体をばらまいて、そこに火をつけた瞬間、爆発した』と(救助した)男性が言っていた」
◇《爆発火災が起きた現場は人気のガールズバー》
当時、現場では何が起きていたのでしょうか。火元は6階建てのビルの2階とみられています。
焼けた2階と3階はガールズバーで、バニーガール姿の女性が接客することで、ススキノでも人気を集めています。
HBCの取材に基づく、2階の見取り図です。
関係者によりますと、出火した時、店は営業中で、2階にはバニーガール姿の女性が1人、女性従業員が2人。客の男性が数人いました。
そこに現れたのが、41歳の男性です。
◇《バケツを持って、無言で店を訪れた41歳の男性》
無言のまま店に入ってくると、バケツに入れて持ち込んだ“ガソリンのような液体”を店の中にまき、ライターのようなもので着火したということです。
41歳の男性は、やけどをした20代の女性従業員との間で、交際をめぐるトラブルがあったことが、新たに分かりました。
警察は、現場検証を行い、ガソリンのような液体の成分を調べるとともに、事件の背景に人間関係のもつれがあったのかも含め、慎重に捜査を進めています。
堀啓知キャスター)
26日午後3時過ぎ、爆発が起きた直後に堀内さんは現場に行きましたが、周辺の様子はどうでしたか。
堀内大輝アナウンサー)
消防車や救急車が多数出動していて、辺りは騒然となっている状況でした。
そして現場周囲には、煙や焼けた匂いが立ち込めていて、爆発が起きたビルとは、道路をはさんだ向かいまでガラスの破片が飛び散っていました。
また、ストレッチャーにのせられて搬送される男性は、顔がすすで黒ずんで、衣服が焼けただれ、ぐったりとした状態でした。
爆発火災の凄まじさを間近に見て、恐怖を感じる現場でした。
◇《爆発火災が起きた午後3時すぎ、ガールズバーは営業中》
爆発があったビルですが、“すすきの交差点”から、駅前通を約100メートル南に進んだところにある、6階建てのテナントビルです。
まさに、繁華街すすきの中心です。
このビルは、地下1階に焼き鳥店、地上1階には無料案内所が入っています。
そして、ビルの2階と3階で営業している店舗が、爆発火災の現場となった“ガールズバー”です。
現在、4階から上は空き店舗などになっています。
このガールズバーですが、バニーガール姿の女性らが酒などを提供するスタイルのバーで、営業時間は昼から深夜までです。
爆発火災が起きた時間は、26日午後3時すぎでしたので、すでに店は営業をしていて、店内には数人の男性客がいました。
ガールズバー店内の間取りですが、2階にはテーブル席とカウンター席があり、その奥に螺旋階段があります。
この階段から3階に上がると、2階と同様にカウンター席とテーブル席があり、ほかにスロットマシンやダーツなども置かれています
◇《密閉された空間にまかれたガソリンのような液体》
26日午後、爆発が起きた直前、2階の入り口から店内に入った41歳の男性が、バケツに入れていたガソリンのような液体を撒き、
火をつけたところ、爆発炎上して、3階にも火が回ったとみられています。
今回の火災について、2019年に起きた『京都アニメーション』放火事件を検証した、京都大学の原田教授に話を聞きました。
建築火災に詳しい京都大学(建築学)原田和典教授
「店に入って、すぐのところにガソリンを撒いて火をつける。これは京都アニメーション、大阪北新地(クリニック放火事件)でも同じ」
「同じことが今回も起こったとしたら、出入口の入ってすぐのところにガソリンを撒いて、火をつけたのではないか」
「(ガソリンが)蒸発して、部屋の中に充満して、その後に火がつき、ボンと爆発したと、そのようなことしか考えられないので、多分、ガソリンを撒いてから火がつくまで、ある程度時間が経ってから、火がついたのではないかと想像しています」
「(爆発火災が起きた)今回の建物は、小さな部屋でガソリンを撒いて放火されると、炎も煙も瞬くに発生して(空間に)充満しますから、自分の体に火が付かなかったとしても、煙で真っ黒になって、周りが何も見えなくなります」
「煙は、螺旋階段を通って3階に行く。螺旋階段から黒煙がワッと出てくると、3階の人も逃げられなくなります」
「通り沿いの壁面に看板が立てられて、窓がふさがれている。密閉的な空間になると、そういうところで放火されると、どうしようもなくなっちゃう」
堀啓知キャスター)
これまでの取材では、店に火をつけた男性と、従業員とみられる女性との間に、交際をめぐるトラブルがあったことがわかっています。
◇《41歳男性と20代女性従業員は最近、交際を解消》
ここで新しい情報が入ってきました。
関係者によりますと、41歳の男性と20代の女性従業員は、札幌で同居していましたが、交際を解消し、今月上旬に女性が家を出て、2人は別居していたことが新たに分かりました。
警察は、2人の間に、具体的にどんな交際トラブルがあり、事件に関わっているのかなど、さらに詳しく捜査していく方針です。