年末年始の救急車、最大4時間待ちだった…いったいどうして?出動実態調査すると…イタズラや不要不急の通報も約1割 札幌市
2025年02月21日(金) 19時29分 更新
■調査依頼内容
番組スタッフ(40代・札幌市在住)
「年末に救急車をお願いしたところ2時間以上かかりました。何があったのか調べて下さい」
去年の年末、番組スタッフが「大動脈乖離」を発症し、背中の激痛に耐えながら、救急車を要請。
しかし、到着まで2時間以上かかったといいます。いったい何が起きていたのでしょうか?
■年末年始の救急車 最大で4時間待ち…そのワケ
札幌市消防局救急需要担当係長 阿波俊也さん
「年末年始で救急出動が増え、最大で30人ぐらい待ってもらい搬送まで4時間かかるケースも」
なんと!年末年始は、最大で30人が救急車の到着を待ち、搬送まで2時間どころか4時間を超えるケースもあったといいます。
札幌市消防局救急需要担当係長 阿波俊也さん
「年末年始のインフルエンザの流行が重なり、発熱で動けないなどの要請が増えたことが要因」
年末年始、札幌市ではインフルエンザが猛威を奮っており、12月23日からの1週間で、1医療機関あたり76.26人と過去最多を記録。
救急車の出動件数も12月としては、過去最多の1万1690件に上りました。
単純計算で、1隊あたり、一日14件の出動をしていたことになります。
1度出動したら、勤務が終わるまで戻ってこられない日も珍しくなかったということです。
■出動の実態は…「消防指令管制センター」に密着
そんなひっ迫した状況下で、昼夜を問わず奮闘する人々がいます。
指令管制員
「119番、消防です。火事ですか?救急車ですか?」
消防指令管制センター。
119番通報を受け、救急車や消防車の出動指令や、現場の状況を聞き取る救急消防活動の要です。
札幌市消防局指令担当係長 北郷克利さん
「住所を聞いたら、すぐに救急車は出動します」
中央のモニターには、救急車や消防車の位置と状況がリアルタイムで表示。
通報を受けると、固定電話や携帯基地局の情報から、通報者がいるエリアの地図が現れ、細かい住所を聞いた時点で既に出動準備が行われているというから驚きです。
しかし、1分1秒を争う指令センターを悩ませている問題があります。
札幌市消防局指令担当係長 北郷克利さん
「火災の虚報や無言電話、お酒に酔って身の上話や人生相談を延々とする人がいる」
札幌市の救急出動は、増加傾向で、去年1年間の119番通報件数は、約15万7000件。
そんな中、イタズラや不要不急の通報は、1万5000件、約1割もあるのです。
札幌市消防局指令担当係長 北郷克利さん
「緊急の救急車や消防車を要請する電話に応えられなくなってしまうので、イタズラや不要不急の通報は控えてほしい」
札幌市消防局は、救急車を呼ぶか迷った時には、『#7119』、救急安心センターへの相談を呼びかけています。
札幌市消防局救急需要担当係長 阿波俊也さん
「命の危険を感じているときは、『#7119』ではなく119番通報を」
■テレビカメラ初潜入 最新鋭の施設とは?
そんな札幌市消防局に、今年、最新鋭の施設が誕生するといいます。
一体、どんな施設なのか?テレビカメラが初めて潜入しました。
札幌市消防局指令共同担当係長 長谷川泰裕さん
「こちらが、今年の10月ごろから運用開始を予定している札幌圏消防指令センター。札幌市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村、すべての区域からの119番通報を一括して受け付ることになる」
今年10月ごろに誕生する札幌圏消防指令センターは、札幌市とその周辺8市町村の119番通報を一括して受け付ける壮大なプロジェクト。
でも、なぜ「共同化」する必要があるのでしょうか?
札幌市消防局指令共同担当係長 長谷川泰裕さん
「市町村を超えて消防隊の応援が必要な場合、素早く対応できる。2点目は、整備費用・維持管理費用の削減」
指令センターを1か所に集めることで、広域的に状況を把握。
相互で応援することで、救急車や消防車を効率的に運用することができます。
そして、浮いた費用や人材を、ほかに回すことができるというのです。
さらに、この施設には、もう一つ、革新的な技術が…。
札幌市消防局指令共同担当係長 長谷川泰裕さん
「札幌圏消防指令センターでは、映像通報システムの運用も予定」
これまで音声のみだった119番通報に、新たに動画が使えるようになるそうです。
こちらは、いち早く映像通報システムを導入した東京消防庁。
東京消防庁職員
「そのまま心臓マッサージを続けてください。その位置で大丈夫なので、まっすぐ押していきましょう」
指示を出しているのは、東京消防庁の職員。
その目線の先にあるのは、仰向けでぐったりと横たわる高齢男性を写した映像。
通報者が撮影している映像を見ながら、リアルタイムで指示が出せます。
東京消防庁職員
「では、アナウンスの指示どおり離れてください」
これまでは音声のみだったので、細かい住所がわからなかったり、現場の詳細な状況把握は難しかったりしたのだが、より迅速に、一目瞭然で現場の把握ができます。
しかも、やり方は簡単。
職員が必要だと判断した場合、通報者にショートメールを送り、アクセスすると自動でカメラが起動、指令センター内のモニターとつながり、やりとりできる様になる仕組みです。
札幌市消防局指令共同担当係長 長谷川泰裕さん
「助けを必要とする地域住民の要請にしっかりと応えていけるよう、効果的・効率的な運営・運用に努めていきたい」
進化を続ける札幌市の救急体制。最前線で戦う人々の挑戦は終わりません。
■調査結果
森田絹子アナウンサー)
調査結果です。年末年始は、インフルエンザの大流行で札幌市の救急車は、最大4時間待ちのひっ迫状態でした。
堀啓知アナウンサー)
救急車は、呼んだらすぐに来てくれると思っていましたが、悪い条件が重なると「救急車がなかなか来ない」状況が起こりうることがわかりました。
■救急車を呼ぶか迷った場合は?
堀)
救急車を呼ぶか迷った場合のためには札幌市消防局の『#7119』という番号も見える場所に貼っておくと良いかもしれません。
『119番』と『#7119』の違いについて説明しましょう。
森田)
『119番』通報は、基本的に救急車や消防車を、呼ぶための番号です。
症状の相談や救急車を呼ぶかどうかの判断、近くの病院を知りたいなどの場合には、『#7119』へ電話して欲しいということです。
堀)
つまり、『119番』では救急車を呼ぶか判断できないので相談の場合は『#7119』に電話ということです。
森田)
ちなみに『#7119』は全てのマチにあるわけではなく、北海道内は8市町村だけですので、ご注意ください。
堀)
札幌市のデータによると2023年度、救急搬送された人の半分以上が入院を必要としない軽症という現実があります。
「安易な利用を減らす」ための有効で具体的な知恵が求められています。