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“家族”の死を乗り越え…車いすで兵庫・中国地方1000㎞走破に挑戦 中環さん52歳「嫌なことや苦しいことがないと、感謝しなくなっちゃう」

2024年10月18日(金) 16時58分 更新

2024年も挑戦が始まりました!北海道札幌市の52歳の女性が車いすで、兵庫と中国地方、あわせて1000kmに挑む。病と戦いながら、なぜ走り続けるのか?絶望を乗り越え、無事ゴールできるのか?調査します。

依頼人(いっちゃんさん・50代・札幌在住)
「車いすで日本一周に挑戦している女性がいます。調べて下さい」

皆さんは、こちらの女性を覚えているでしょうか?北海道札幌市に住む中環(なか・たまき)さん、52歳。

15年前の交通事故で左半身にマヒが残る体でありながら、それでも車いすで日本一周に挑戦しています。



中環(なか・たまき)さん(52歳)
「やりたいことはやらなきゃ損」

その言葉通り、中さんは決して諦めません。これまで3年間で沖縄、四国、九州と、総距離2,300kmを達成。そして、2024年も新たな挑戦が始まりました。

中環さん
「お願いします。じゃあねー」

10月8日火曜日午後1時10分、兵庫県尼崎市を出発し、29日間で、兵庫から中国地方1178kmを走破する過酷な挑戦が始まりました。



日常生活で使っている車いすに、11kgの荷物を背負い、1日40km、道中はテント泊で、食料はコンビニで調達します。しかし2024年は…

中環さん
「これメッシュで最高。汗かいてもベタつかないから着やすい」



世界的なアウトドアメーカーのモンベルが、もんすけ調査隊が放送した中さんの挑戦を見て、ウェアや道具を提供してくれたのです。装い新たに兵庫の街を快走する中さん。

中環さん
「じゃじゃーん(差し入れ)。みんな優しいです。少しずつ食べながら頑張ります」



そして中さんはいつもポジティブ。

中環さん
「やらない理由をずっと探していたんだけど、後悔しないかな?と思って。失敗に終わっても1メートルは進んでいる」

前向きに困難を乗り越える姿勢には、多くの人々が勇気と希望をもらっています。

骨形成不全症 長谷川宙さん(20歳)
「僕もスポーツをやっているので、諦めないで最後まで頑張ろうと思う」

中さんのサポーター 密本眞弓さん
「人はいいときばかりだけでなく大変なときもあるけど、彼女も頑張っていた、自分も大変だけどなぜ弱音を吐いているんだって。もっと前向いて生きれるというモデルを見せてもらっている」

しかし、この日はどこか様子が違いました…。

中環さん
「まだ10kmだけど、その10kmが走れているのが信じられない」

10km走った休憩地点で、突然、涙を流したのです。実は私たちは、挑戦開始の2週間前、中さんの自宅を訪れていました。

中尾大輔記者
「4年目になるけど体力はどう?」

中環さん
「どうなんだろう。無くなってはいると思うけど、でも体力がないからと言ったら、それがまた言い訳になっちゃう」

この日、中さんの表情はどこか暗く、力強い瞳に迷いが浮かんでいました。いったいどうしたのでしょうか?

中環さん
「7月23日にファーガスとお別れして、そしたら思いのほか気持ちが落ちて…」

中環さん
「そばに行ってあげたい気持ちがあるけど、それはダメ、それはダメと思ってる。ファーガスには感謝だね。『ありがとう』って言葉しかない」

12年間、家族として苦楽を共にしてきた介助犬のファーガス。中さんが障害を負い失意のどん底にいた時も、生きる希望を与えてくれた、かけがえのない存在でした。



しかし、そのファーガスが7月23日、14歳で天国へと旅立ってしまったのです。

中環さん
「8月上旬くらいまでは、今回のチャレンジは止めようって。止めようと思った。止めようと思ったけど、なんか止めたら後悔しそうで」



中環さん
「でも不安は不安。今までみたいにゴールできるのか、今までで一番不安」

喪失感は、中さんの心を深く蝕み、厳しい挑戦への不安は募るばかり。さらにファーガスの介護に追われ、トレーニング不足の体は重く、資金面でもひっ迫し、まさに八方塞がりだったのです。

自宅の取材から12日後、挑戦に出発するため、深夜のフェリーターミナルに中さんが現れました。

中環さん
「メンタルの面ですごく弱くなっていて…すごく不安。行かなかったら不安な要素がずっと残りそうだし、そのせいにしちゃうでしょ。
自分が頑張って納得いくことをしたら、いろんなことを『なんだ』と思えるかなと」

挑戦2日前でも、まだ気持ちは揺れていたが、ひとりで小樽港を出発しました。

そして挑戦初日…

記者
「今回、道の起伏が激しいみたいですが?」

中環さん
「嫌なことや苦しいことがないと、日常生活が当たり前に思えて感謝しなくなっちゃう。嫌なことはアンラッキーではない」

メンタルの壁を少し乗り越えた中さん。愛犬ファーガスの遺骨を胸に、長女・岬さんが作製したフラッグを背負い、心もスタート地点に立ちました。



さらに…

中環さん
「ショックなことがあって、次の日から食べ物を受け付けなくなって、1日0食だった。サポートさんに『食べなさい食べなさい』と言ってもらい、きょうは久しぶりに1日3食。」

ファーガスを失った悲しみから、ほとんど食事を取ることができなかった中さん。悲しみ、不安、疲労、全てを振り払い、10km走り切った時、ようやく心が解放され、目から涙が溢れたのです。

中環さん
「応援してくれている皆さんのおかげ。頑張ろう。走れていることが何よりうれしい」

涙を拭いながら、自分を奮い立たせます。



日没が迫る中、雨が降り始め、風速6mの風が容赦なく襲う。それでも中さんは、ひるむことなく、力強く車輪を回し続けました。

出発から4時間半がたち…

記者
「お疲れ様です」

無事、挑戦1日目には20kmを完走しました。

中環さん(52歳)
「行きますよ、行きます。不安なこといっぱいあったけど、走り出したら自分に負けたくない」

28日後、中さんは笑顔でゴールできるのか?愛犬ファーガスの思いを胸に、中さんの挑戦はまだまだ続きます。

調査結果です。

中さんは、2024年は兵庫と中国地方、1,178kmに挑戦するとのことです!

スタートから10日間で約390kmを走行した中さん。10月18日時点で広島県を走行、10月20日には山口県に入る予定だということです。

ただ予定のスケジュールから1日ほど遅れているということで、この先も安全に進んでほしいところです。

11月5日、中さんが無事ゴールする事を願っています。

もんすけ調査隊では、視聴者の皆さんのギモンや地域の問題について調査していきますので、ぜひ、投稿をお寄せください。

北海道ニュース24