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海のないマチで津波防災を学ぶ「自身の避難ではなく、ほかの地域の人を受け入れる」元自衛官がマチの防災対策担う

2025年03月18日(火) 16時54分 更新

海のない北海道七飯町で2月、中学生たちが津波防災を学びました。

七飯町情報防災課 菅井和典 防災・危機対策官
「地震が起きてから、いま1時間半経過しました。津波は1回では終わらないです」



2月、七飯町の中学校で行われた防災訓練です。

スライドに映し出されたのは函館市の津波シミュレーション。

でも、七飯町には津波は来ません。

七飯町情報防災課 菅井和典 防災・危機対策官
「みんなの頭の中で、どんな様子になっているか想像してみてください。この津波が来るところには絶対いてはいけない」



生徒に説明するのは七飯町職員の菅井和典さん。

陸上自衛官として函館市で勤務していた2011年、東日本大震災の災害派遣で岩手県宮古市の田老地区に赴き、避難所で食事の支援を行った経験があります。

七飯町情報防災課 菅井和典 防災・危機対策官
「現地で立ち上がって、汗をかいてマチおこしをする人たちを見て、私も少しは地域の役に立てるなら頑張るべきかなと」



54歳で自衛官の定年を迎え、地元の函館市に近い七飯町に再就職した菅井さん。

いまは自衛官の経験と知識を活かし、マチの防災対策を担っています。

2月の防災訓練。

菅井さんは津波の説明に続いて、ベッドの組み立て方を中学生に指導しました。

七飯町では、避難者用に段ボールベッドではなく、キャンプ用の組み立てベッドを備えています。



コンパクトで収納に場所を取らず、濡れても使えるところが便利です。

参加した中学生
「マットレスより硬いが普通に寝られる。床より全然OK」



七飯町にも災害リスクはあります。

北にある駒ヶ岳が噴火すれば、町内にも火砕流などのおそれがあります。

一方、西側に目を向けると、隣の北斗市は海に面していて、日本海溝沿いの巨大地震では最大9メートルの津波が襲来すると想定されています。



仕事や学校、病院などで北斗市や函館市に通う町民もいて、「海のない」七飯町にとっても津波は決して他人事ではないのです。



七飯町情報防災課 菅井和典 防災・危機対策官
「この地域に住んでいる方が、自身の避難ではなく、ほかの地域の人を受け入れるということは伝えていく必要がある」



菅井さんは、防災で大切なことは自治体特有の縦割りではなく、生活圏の重なる近隣のマチと「面」で対策することだと考えています。

北海道ニュース24