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空港が大ピンチ“グラハン不足”航空機の安全な発着に欠かせない地上業務の人材確保へ…見学会などPR活動や待遇改善に着手

2024年10月23日(水) 17時43分 更新

コロナ前の賑わいが戻ってきた新千歳空港ですが、今、大きなピンチに直面しています。実は、大事な仕事の働き手が不足しているんです。

巨大な飛行機の下を歩いてくぐり抜け、みんなで離陸をお見送り!かと思えば…。

「こちらが国際線の、荷さばき場になっていまいして…」

”新千歳空港の舞台裏”=荷さばき場で、熱心に説明を聞いているのは、札幌市や空港周辺のマチから集まった高校生と保護者たち。



この「見学会」は、空港での仕事について知ってもらおうと、空港会社と業界団体が企画しました。

空港グランドハンドリング協会 曽原倫太郎 執行理事
「やっぱりグラハンという仕事の認知度が我々が思っている以上に低い…」

グラハン=グランドハンドリングとは、空港で行う地上での業務です。今、深刻な人手不足に直面している「グランドハンドリング」の現状を「もうひとホリ」します!



休日ともなると多くの旅行客でにぎわう新千歳空港。コロナ禍前の姿が戻ってきました。

北海道空港グランドハンドリング部 一色京介 課長補佐
「非常に航空機の需要が増えていて、いまコロナ前よりちょっと多い」



航空機をより多く発着させるためには、より多くの地上で働く「グランドハンドリング」の人材を確保しなければ、空港は機能しません。

空港グランドハンドリング協会 曽原倫太郎 執行理事
「外国の航空会社さんが来るにあたっては、やはり(グランドハンドリングの)人の数がある程度いなければ受けられない。人の確保が大きい課題」



グラフ今年、日本に来た外国人旅行者は8月までに2401万人。このペースで行くと、コロナ禍前の年間3188万人を超え、過去最多となりそうです。

しかし、新千歳空港では、グランドハンドリングの人手不足で、外国の航空会社の新規就航や増便に対応できないという影響が出ています。

問題の解消に向けて企画されたのが、高校生の「お仕事見学会」です。高校生が、離陸直前の飛行機周辺での作業を見学。誘導路へ飛行機を押していくトーイングカーにも試乗しました。



参加者
「ドライバーさんが線の所までちゃんと車輪を持って行くのが、本当に職人技だなって思いました。とても楽しかった!」

一口に「グランドハンドリング」といっても職種は様々。

飛行機を誘導したり、荷物を積み込んだりする「ランプハンドリング」。

飛行ルートの確認や、貨物の重量バランスを管理する「オペレーション」。

空港カウンターで利用客に対応する「旅客ハンドリング」などがあります。



各現場を見学した高校生たちは…。

参加者
「裏の仕事も見られて空港もそうですし、航空業界に対しても興味深くなりました」

参加者
「現役の職員の話を聞いて視野が広がったというか、自分でももっと調べてこの職業について知りたいと思いました」



コロナ禍で航空需要が落ち込んだ時期には、多くのグランドハンドリングのスタッフが職場を離れました。

再び人材を確保しなければならないと、去年、事業者がつくる「空港グランドハンドリング協会」が設立されました。見学会などのPR活動とともに、グランドハンドリングの待遇改善にも取り組み始めています。



空港グランドハンドリング協会 曽原倫太郎 執行理事
「まずは労働条件ですね、しっかり航空会社からいただく委託料の引き上げを図りながら、従業員への還元を増やしていく」
「育児を抱えている女性も増えているのでさまざまな工夫をしながら長く働いて活躍できる環境を今つくってる」

■地上業務の人手不足解消策
・業務の効率化…JALとANAで資格の相互承認、作業車両に自動運転やリモコン操作
・待遇の改善…グランドハンドリングの平均年収 約434万円(前年比+20%)

北海道ニュース24