「家も貸してくれない…自分1人で生きていくには難しい」高齢窃盗団88歳の主犯に懲役4年6か月の実刑判決“服役と出所”50年以上繰り返してきた被告が拘置所で記者に語った言葉
2024年11月26日(火) 19時06分 更新
北海道江別市の空き家などで金品が盗まれ、高齢の男3人が逮捕された事件で札幌地裁は26日、主犯の88歳の被告に実刑判決を言い渡しました。
服役と出所を50年以上繰り返してきたという被告。なぜ更生できなかったのか、HBCの単独取材に答えました。
「今度は生きて帰られないが、また、この歳で懲役に行くのは恥ずかしい」
88歳の海野秀男被告。拘置所で記者をまっすぐ見つめながら、こう話しました。
海野被告は5月、江別市の空き家に侵入するなど、常習的に窃盗を繰り返した罪に問われています。
海野被告は、刑務所の中で知り合った松田秀美被告に、現場までの運転手を依頼。ともに犯行を繰り返していました。
これまでに受けた有罪判決は、15回にのぼります。
札幌刑務所に3回、月形刑務所に1回など、50年以上、服役と出所を繰り返してきました。
今月11日の被告人質問では、裁判長とこんなやり取りもありました。
渡邉史朗裁判長
「今回のことは、責任を取ってもらわないと、仕方がないのですが、できれば、人生長生きして、しゃばで終わってほしいと思っているので、もし出られたら、どうやって暮らそうか、ちゃんと考えてくださいね」
海野秀男被告(88)「はい、すみません」
なぜ、犯罪を繰り返したのか。札幌拘置支所で判決を待つ、海野被告にHBCの記者が尋ねると、次のような言葉が返ってきました。
海野秀男被告(88)
「悪いことさえしていれば、金はできたから(犯罪から)抜けられなくなった。まともな仕事はしたことがない」
13歳で静岡県の実家から家出して以来、窃盗や強盗を繰り返し、生活費を稼いできたという海野被告。
身寄りがなく、刑務所で知り合った暴力団関係者などを頼ってしまったといいます。
海野秀男被告(88)
「自分の住んでいる社会には、まじめな人間なんて1人もいない」
「悪いことする奴らはは、仲間に対しては、男気がある奴が多い。恩に感じて、なんとか楽させてやろうという気持ちになって、盗みをして」
55歳になり、体力の衰えを感じて、初めて盗みをやめようと決意しましたが、そう出来なかった海野被告なりの“理由”を、こんな言葉で記者に伝えました。
海野秀男被告(88)
「歳が歳だから、家も貸してくれない。私たちを使ってくれるところは土木関係とかならあるが、体力に自信がない。若さに任せて悪いことをやったから、自分1人で生きていくには難しい時代になった」
そして11月26日、札幌地裁は88歳の海野被告に、懲役4年6か月の実刑判決を言い渡しました。
次に刑務所を出るとき、海野被告は93歳になります。