【旭川女子高校生転落殺人】当時19歳の女に懲役23年の実刑判決「筆舌に尽くしがたい恐怖の上で殺害」弁護側は控訴せず 北海道で初めて実名公表の「特定少年」裁判
2025年03月07日(金) 16時40分 更新

北海道旭川市で女子高校生(当時17)を橋から転落させ殺害した罪に問われている当時19歳の女(20)の裁判員裁判で、7日、旭川地裁は女に懲役23年の実刑判決を言い渡しました。
当時19歳の女は去年4月、内田梨瑚被告(22)と共謀して女子高校生を車で連れ去り、旭川市郊外の橋の上から「落ちろ」「死ねや」と言うなどしてから川に転落させて殺害した罪などに問われています。
先月27日の初公判で、被告の女は起訴内容を認め、弁護側は「大半は内田被告からの指示だった」として情状酌量を求めていました。内田梨瑚被告(右)
5日の論告で、検察は「犯行は極めて残虐かつ悪質で、責任は内田被告と大きく異なるものではない」「最期まで苦痛を与える方法で極めて残虐で悪質」として懲役25年を求刑。7日の法廷(旭川地裁)
一方の弁護側は「立場は従属的で更生可能性も高い」として懲役15年が妥当と訴えていました。
■裁判長「被害者は長時間監禁され、筆舌に尽くしがたい恐怖の上で殺害された」
7日、小笠原義泰裁判長は懲役23年とした判決理由を次のように述べました。
・被告には生命や人格の尊重が見られず、犯行態様は残酷で極めて悪質
・被害者は長時間監禁され、橋に連れていかれ、筆舌に尽くしがたい恐怖の上で殺害された
・被告は被害者を監禁中、コンビニで助けを求めた被害者を自ら引きずり出し、その様子が防犯カメラに写り捕まるかもと思って激怒し、感情の赴くまま犯行に及んだ
・動機は身勝手で理不尽、酌むべき事情全くない
・衣服を脱がせ土下座する様子を動画撮影したり、橋の上で被害者の背中を押したりする行為は、いずれも内田被告の指示と認められ、被告の役割は内田被告に比較すればやや小さい
■まっすぐ正面を向き主文を聞いた被告の女小笠原義泰裁判長
7日、被告の女は、グレーのシャツに黒のズボン姿で入廷すると、軽く一礼をしました。
開廷後、裁判長に証言台の前に立つよう促され、裁判長が主文を読み上げる間、まっすぐ正面を向いたままでした。
そして、主文を言い渡された後も微動もせず、裁判長に座るように促されました。
裁判長が読み上げる判決理由を身動きせず聞いた被告の女。
裁判長から「判決内容はわかりましたか」と聞かれると「はい」と涙をこらえて答えました。
裁判は15分ほどで閉廷し、被告の女は両手で涙をぬぐい法廷を後にしました。
女の弁護人によりますと、女は控訴しないということです。事件の現場(去年6月 北海道旭川市)
■遺族側「17歳の娘が失った一生を考えると…」
裁判後、遺族は次のコメントを発表しました。(全文)
・判決について
検察官の懲役25年という求刑も、裁判所の懲役23年という判決も、法律の範囲内で私たち被害者遺族の気持ちを汲んでくれたということは理解しているものの、17歳の娘が失った一生を考えると、23年でも軽いという思いです。
・被告人について
今でも被告人を許すことはできませんが、娘が川に落ちるまでの被告人の供述は、自らの保身だけでなく、本当のことを言っているように感じ、そのことによって、娘の最後を知ることができました。
被告人には、自ら行ったことに真摯に向き合い、反省してもらいたいです。
・最後に…
捜査に協力してくださった方々、神居古潭にお花、飲料、文具などをお供えしてくださった方々、これを管理してくださった方、そして娘のために手を合わせてくださった全ての皆様の優しい御心に、親族一同、厚く御礼を申し上げます。(以上)
この裁判は、検察が18歳と19歳の被告を「特定少年」として氏名を公表した、北海道で初めての裁判です。