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撮影快調の連続ドラマ『三笠のキングと、あと数人』の舞台 炭鉱で栄えた三笠の歴史を受け継ぐ“北海盆おどり” 巨大なやぐらを囲んで踊る地元の思いと新たな試み 北海道三笠市

2024年08月15日(木) 19時09分 更新

 北海道のお盆のシーズンといえば、あのメロディーと踊りを思い出す人も多いかもしれません。『北海盆おどり』の季節が、今年もやって来ました。 



堀内大輝アナ
「お囃子と太鼓の音が響いています。そして、提灯がすごくキレイですね。映えますねー」

北海道三笠市で、13日から始まった『三笠北海盆おどり』です。

堀内大輝アナ&地元の人
「行きましょ!行きましょ!」

地元・三笠の人
「今年はすごい盛大で、子どもたちも楽しんでいてよかった」「見ているより、踊った方が楽しい」

『北海盆おどり』の歴史と、受け継ぐ人々の思いを、今回は“もうひとホリ”します。



北海道三笠市で撮影が進む、HBC北海道放送制作の連続ドラマ『三笠のキングと、あと数人』。

物語は『北海盆おどり』を巡り、生きづらさを抱えた若者たちが、マチとともに成長するハートフルコメディで、来年春に放送予定です。

主演の高杉真宙さんと柄本時生さんに“盆おどり”の思い出を尋ねてみました。

W主演の柄本時生さん
「小学校の頃にやっていた記憶がある(ちょっと踊るような感じ)」



(Q.今回のドラマで踊ることになったら…楽しみ?)

W主演の高杉真宙さん
「迷惑かけたくないな、と思います」



W主演の柄本時生さん
「その時、振り付けを間違えたりとかあったらな…」

W主演の高杉真宙さん
「前の人の足を踏んだりとかして、あーっ!とかいってやりたくないないですよね…」

W主演の柄本時生さん
「ないよなー」

明治時代に炭鉱で栄えた三笠。その頃の盆おどりの歌が原型となり、戦後に「北海盆唄」が誕生。

三笠が“発祥の地”とされています。



三笠北海盆おどり実行委員会 事務局 若山勇治 事務局次長
「昔、三笠の幾春別町で(唄の原型を)見いだした“今井篁山”というかたがいる」

「そのかたが幾春別の賑わっている場所の盆おどりを見て、感銘を受けて、そこの歌を世の中に広めていったという経緯がある」

先週、地元の保存会が、盆踊りの最終チェックを行っていました。

本番は、1時間半にわたって踊り続ける北海盆おどり。番組スタッフも、踊りを教えていただき、体験することに…。

四倉悠策記者
「いま10分も踊っていないと思うんですけれど…結構、汗をかいてます」

三笠甚句保存会 斎藤優子会長
「すーごい汗かいたでしょ?」

四倉悠策記者
「いやー大変です」



保存会では、三笠への移住者や地元の子どもたちへ、盆おどりを教える活動を続けています。

三笠甚句保存会 斎藤優子会長
「中学生の子どもたちに教えに行ったら、本当にキレイに踊ってくれる。踊りに誘われて、みんなと交流がとれるのが私は好き。三笠は、このやぐらがあるうちは(盆おどりを)やっているんじゃない」

『三笠北海盆おどり』のシンボルは、約8メートルの巨大やぐら。炭鉱時代のやぐらを再現しました。



三笠北海盆おどり実行委員会 事務局 若山勇治 事務局次長
「やぐら自体、昔は木の電柱の廃材を使って建てていたようです。幌内地域、あと幾春別地域で、特に競って大きなやぐらをより建てて、盛り上げて、盆おどりをやっていたようです」

やぐらにあがり、お囃子を担当するみなさんも、『北海盆おどり』の歴史を未来へつないでいきます。

三笠民謡篁潤(こうじゅん)会 工藤 恭子 三笠支部長
「民謡を始めてから50年になります。やっぱり、もっともっと(たくさんの人に)受け継いでもらって盛大にしてほしい」

お囃子歴5年 伊賀優那さん(14)
「面白そうだからやってみようみたいな感じで(始めた)。とりあえず1年間練習してきた分を、やぐらの上で出したらいいかなと」

伝統の『北海盆おどり』ですが、こんな変化も…。

三笠北海盆おどり実行委員会 事務局 若山勇治 事務局次長
「今年からの取り組みになるけれど、今までは大体80個ぐらいの提灯を飾っていたが、全部で560個、7倍ぐらいの提灯を飾って、今まで以上に、賑わいのある“盆おどり”にしたいということで、取り組んだ」

さらに『みかさ盆ランタン』と銘打って、LEDで光るランタンを空に浮かべるイベントを初開催。『北海盆おどり』に、新たな魅力を加える取り組みを始めています。



三笠北海盆おどり実行委員会 事務局 若山勇治 事務局次長
「三笠の、本当に郷土文化なので、これは絶やさないで、ずっと延々つないでいきたいと思っている」


郷土の慣わし、文化を世代を超えてつないでいくために、工夫を凝らした演出やイベントを取り入れている背景には、こんな事情があります。

『三笠北海盆おどり』は、5年前には3日間で、約2万4千人が訪れていました。この数字は、マチの人口の3倍以上にあたります。
ただ、コロナ禍で、2年間の中止と、短縮開催があって、去年ようやく、4年ぶりに2万人を超えました。

◆《『三笠北海盆おどり』入込数の推移》
 2019年 2万4300人
 2020年 中止
 2021年 中止
 2022年 2日間に短縮 1万7500人 
 2023年 2万1400人   

さらに入場者を増やして、次の世代に引き継いでいきたい…との思いから、工夫を重ねています。

大きなやぐらを囲んで踊る『三笠北海盆おどり』が、これからも変わらずに、地元の人たちの心をつなぐ踊りとメロディーとして、日本の経済を支えた炭鉱の歴史とともに、脈々と受け継がれていってほしいと、改めて感じました。