「見て見ぬふりはもう出来ません」“ガザへ届け”小学生が紡ぐ朗読劇 パレスチナの同世代の子どもたちと「笑い合いたい」願い込めて
2025年03月22日(土) 13時00分 更新
『停戦合意』から一転、先日イスラエル軍による大規模攻撃を受けたパレスチナの『ガザ地区』。
ここの難民キャンプで暮らす子どもたちに思いをはせるのが北海道網走市の小学3年と4年の子どもたちです。
ガザの子どもたちとも笑い合いたい!と『朗読劇』に挑戦する姿を取材しました。
・朗読劇
「世界の子どもたちはナニで笑っているんだ?パレスチナ編」
「したいことが出来ないのはいやだ」
「壁の外に出るなんて指図されるのはいやだ」
20日、北海道網走市で行われた朗読劇。
演じたのは、網走南小学校に通う3年生と4年生の男女6人のメンバーです。
テーマは…。
・朗読劇
「ガザザザーン。ガザザザーン」
「え?パレスチナって国じゃない?どういうこと?」
「戦争に負けちゃったから?」
「自分たちの土地じゃなくなった?」
「取られたの?乗っ取られたの?」
停戦合意から一転、18日にはイスラエル軍が大規模な攻撃を再開したパレスチナ自治区の『ガザ』についてです。
仕掛け人は、網走市の隣・大空町に住む講談師の三代目、神田山陽さんです。
きっかけは、去年9月に網走南小学校で開いた特別授業。
その時にメンバーを募集し、集まったのが6人でした。
メンバーの理愛さん(小4)
「最初、なんだこいつ…って思ったけど、おもしろそうだから入ろうかなって思いました。だいたい遊んでいるので、遊ぶことが楽しいです」
メンバーの優心さん(小3)
「いっぱいしゃべれる。(台本を)覚えることが大変で、なんかちょっと難しい…」
神田さんが子ども達との『朗読劇』を企画したのは、今回で2回目。
前回の公演では『ガザと網走の違い』や、『パレスチナ問題について自分達はどう考えればいいか?』がテーマでした。
2回目の今年は、パレスチナやガザ地区で、特に子ども達が苦しんでることを知ってもらうだけではなく、『笑い』もテーマに盛り込みました。
・練習のようす
「いきまーす!野球でバッターをやりたがらない動物はなんだ?」
「正解は…オラ打たん。オラウタン。オラウータンでした」
講談師の神田山陽さん
「(ガザの)子どもたちを『どうやって励ましたらいい?』『どんな言葉があるかな?』っていうところからスタートした。『おもしろいことしたい』『笑わせたい!』というのが、あの子たちの思い。(ガザの子どもたちを)笑わせて、励ましたい」
6人のメンバーは、合宿や神田さんからの”宿題”を通して、パレスチナ問題について勉強。
休みの日にも稽古を重ねてきました。
メンバーの美杏さん(小4)の母
「家でも結構、自分で調べて勉強して、(パレスチナ問題は)私も分からないので、いい経験。いろんな知識を学んでいる」
メンバーの亮太くん(小3)母
「子どもたちが喜んで、学校から帰ってきてすぐ(ガザのこと)調べて学んだことを、私たちも学ばせてもらっている」
そうして迎えた、20日の網走市での本番当日。
会場には同級生やその家族など、約90人が集まりました。
・朗読劇
「題して…『大事なセリフの途中で、まさかの生理現象』」
「正当な…ヒッ、権利の…ヒッ、承認…ヒッ。ご一緒に!」
遠く離れたパレスチナの同じ世代の子どもたちへ「笑い合いたい」「励ましたい」と演じ切った朗読劇は約45分。
その最後のメッセージは…。
・朗読劇
「見て見ぬふりはもう出来ません。でも、子どもになにができるでしょう」
「何もわかってないけど心配してもいいですか?この朗読劇をパレスチナの辛い気持ちでいる友達に捧げます」
6人の思いは早速、会場に来た友達や大人たちにも届いていました。
来場者
「(ガザについて)今まであんまり考えたことなかった。これからは考えてみたい…」
「難しいテーマだと思うけど、子どもたちなりにすごい考えてやってて、すごいなって思いました。身近なところから何かできたらいいなという気持ちになりました」
そして半年間、神田さんと一緒にこの朗読劇を作り上げてきたメンバーたち。
メンバーの美杏さん(小4)
「ちょくちょく忘れたところもあったけど、上手くできたと思いました。(ガザの子どもたちへ)あなたたちは、これを見て元気を出してくださいという感じで伝わったらいいと思う」
メンバーの亮太くん(小3)
「戦争とかが続いたりしているから、戦争とかをしないために、ガザの子たちは大変なんだよってことを伝えたいです」
この朗読劇は、札幌でも見ることができます。
■網走南小学校の小学生による朗読劇
・札幌市こどもの劇場やまびこ座
・22日(土)午後6時~/23日(日)午前11時~
・大人1000円 子ども500円
※収益はガザ地区の子どもたちに寄付します。