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切迫する“千島海溝”巨大地震、年間8センチのひずみ判明…専門家「次の地震は非常に近い」小6女児が手紙で訴え「悲しい顔を見たくない、津波避難タワーが必要」

2025年03月11日(火) 18時13分 更新

東日本大震災から11日で14年。

30年以内に起こるとされる「千島海溝沿いの巨大地震」で北海道東部では、津波対策が進む中、気になる観測データもあります。
(VTRの前半に津波の映像が流れます。ストレスを感じる方はご視聴をお控えください)

■切迫する“千島海溝”巨大地震

北海道東部の観光の拠点、JR釧路駅です。

・駅構内のスピーカー音声(訓練)
「大津波警報が発令されました。直ちに避難してください」

2月、津波避難訓練が行われました。

・JR職員(訓練)
「直ちに高い場所に逃げてください、避難場所はロイヤルインです!」

海から1キロの場所にある釧路駅。



津波の第1波は、地震発生から33分で海岸に到達し、海抜2.4メートルの駅では、最大5メートルの津波が予想されています。

JRの職員は、利用客を避難場所の隣のホテル 、10 階まで誘導します。

・JR北海道釧路支社企画グループ 栗田紘太郎さん
「釧路駅は2階までが津波の浸水が想定されている 。今後もよりリアリティがでるように様々な客を想定して検討したい」

容赦なく身近に迫る津波。これは去年の能登半島地震の映像です。

■30年以内確率40%

北海道の沖合に延びる千島海溝。



政府の地震調査委員会は、このエリアで今後30年以内に、東日本大震災クラスの地震が発生する確率を「7%から40%」としています。

地震が冬に発生した場合、津波による死者数は最悪10万人と想定しています。



釧路市の隣、釧路町です。

2月、2基の避難タワーが完成しました。

高さは10メートル、約400人が避難でき、冬の避難を想定して暖房も完備しています。

総工費は、2基あわせて14億円。3分の2は、国の補助金で賄われました。

・住民女性(83)
「いざとなったら家2階建てだから、2階上がっているかなと思ったけど、少し運動して歩けるようになって、ここにお世話になろうと思っている」」

釧路町セチリ太地区。近くを釧路川が流れるこのエリアは、最短30分で、5メートルの津波が予想されています。

釧路川沿いに住む本間孝一さん(86)です。

・本間孝一さん(86)
「いや助かっている、うちなんて目の前が釧路川だから万が一津波があったらどこに逃げようかなとは思う。今回立派な施設が立ち上がったので3分4分で行けるから心強い」

住民1900人のうち、37パーセントが高齢者。

避難タワーが完成する前までは、半径500メートル以内に高い建物がない「避難困難地域」でした。

■避難タワー整備のきっかけは小学6年女児からの手紙

津波から命を守る避難タワー。建設のきっかけは「小学生からの手紙」でした。



・齊藤純那さん(15)
「釧路町が東日本大震災みたいなことになってしまったら、自分も悲しいし、ほかの人も悲しいと思うので」

齊藤純那(じゅな)さん、15歳。3年前、小学6年生の授業で、釧路町長に1通の手紙を書きました。

・手紙の内容
「私は、家族も友達も地域の人も失いたくないし、悲しい顔を見たくないです。その命を一人でも多く救うには『津波避難タワー』が必要なのではないでしょうか」

手紙を受け取った小松町長は、こう振り返ります。

・釧路町 小松茂町長
「避難タワーが必要だと具体的に提案されたことが非常に衝撃的で、小学校6年生ながらにそういった不安を抱えているんだ」

・齊藤純那さん
「海抜がとても低いので、あまり周りに高い建物がないので不安がありました」

齊藤さんの家では、純那さんのアイディアで、先月から、新しい取り組みを始めました。



・齊藤純那さんの母 希菜さん(36)
「最近、防災のミニポーチをみんな家族持つようにして、仕事に行くときも持っていくし、常にどこかに行くときは持って行っている」

ポーチに何が入っているのか、特別に見せてもらいました。



水、ホイッスル、カイロそして、離れて被災しても寂しくないよう、家族の写真。

・齊藤純那さん
「もし学校に行っているときにこのポーチを持っていたら、生き延びられると思うので、重たくても命を守るためには必要だと思う」

■観測で判明…年間8センチのひずみ「次の地震は非常に近い」

そんな中、巨大地震と大津波の発生想定されている千島海溝で「ひずみ」がたまり続けていることが、わかったのです。



・北海道大学 地震火山研究観測センター 高橋浩晃教授
「5年間根室沖の海底の動きを調べた結果、次の地震を起こすエネルギーがたまり続けるということ、が確からしいということが分かった」

北海道大学と東北大、海洋研究開発機構の研究グループは、根室沖の海底にGPSを置いて、2019年から5年間にわたり、海底がどれくらい動いているのか調査しました。

その結果、海側のプレートが年間「およそ8センチ」移動。



海側のプレートが沈み始めている場所の観測点も、同じように「およそ8センチ」陸側に移動していることがわかりました。

これは、海側のプレートが沈み始めて場所で、プレート同士が強くくっついている所があり「ひずみ」がたまっていることを示すというのです。

・北海道大学 地震火山研究観測センター 高橋浩晃教授
「やはり次の地震は非常に近いんだということを示す結果になっている」
「地震を起こすひずみエネルギーがたまりつつあることが分かったので、釧路十勝太平洋の沿岸については、より対策の強化を行政も住民の方もぜひ進めていただきたいと思う」

百年単位で繰り返されるともいわれる海溝型地震。防災に終わりはありません。

北海道ニュース24