不漁のスルメイカ漁にあえぐ一方で“じゃないほう”のヤリイカ豊漁に前浜沸く、漁業者も胸を張るおいしさ…豊漁の理由について専門家「よくわからない」
2025年03月10日(月) 19時11分 更新
イカの街、北海道函館市のスルメイカ漁は、1月に過去2番目の不漁で今シーズンの漁を終えましたが、イカはイカでもスルメイカ「じゃない方」のイカに活路を見出そうとする動きが広がっています。
函館観光の顔、朝市。名物は何といってもイカ釣り堀です。
・東京から
「三ツ星ですね。とてもおいしいです」
・群馬から
「スーパーに販売しているやつしか食べたことないから、切ってすぐになんて食べられない」
函館市のスルメイカ漁は、1月で終わりました。
「生けすイカ」の漁獲量は400トン。統計が残る、2005年度以降で2番目に少ない不漁でした。
では、水槽を泳ぐこのイカはいったい…。
・イカ釣堀り 小野寺透さん
「1月からはこのヤリイカ漁が始まる。1月から5月までがヤリイカで6月からまたスルメイカになる」
今の時期、北海道南部で出回っているイカはヤリイカです。
スルメイカと違って足は短く、身はヤリのように長いのでその名が付きました。
「スルメイカと同じじゃなイカ」と思われますが、資源量もかつてのスルメイカと比べると少ないために、値段が高く市場では高級なイカとされています。
北海道内一のヤリイカの産地は、北海道南部の松前町です。
漁師たちが船を走らせる先は。
・藤田忠士記者
「港を出て5分くらいでしょうか。灯りをつけた漁船が見えてきました」
海を回遊し沖合いを漁場とするスルメイカと違い、沿岸の岩場などに産卵するヤリイカは港の防波堤の内側が漁場です。
9日、松前町で水揚げされたヤリイカは9.5トンで今シーズン最多。
漁模様はここ2、3年は「豊漁」でスルメイカとは「雲泥の差」です。
・松前町の漁業者 伊川俊幸さん
「去年はもうだいぶ取ったよ。すごい取った。今季の漁ははまだこれから。ヤリイカは毎年、平均的に取れている。産卵に来るからねこの辺に」
漁業の傍ら、民宿を営む伊川さん。自慢の食事は、もちろん自分で取ったヤリイカです。
・伊川俊幸さん
「生けすに入っているイカと違うから、これが一番うまいんだよ。取れたてのイカって」
漁師が「スルメイカの活イカ」よりさらにうまいと胸を張る「取れたてのヤリイカ」その味は?
・藤田忠士記者
「こりこりしていて、おいしい。噛むたびに味わいが出て最高ですね」
北海道南部では「じゃない方」のイカだったヤリイカが、いま存在感を放っています。
森田絹子キャスター)
松前町も、以前は主力はスルメイカ漁でしたが、函館と同じく2015年を境に減少し、今は水揚げ量ではヤリイカが逆転しています。
そのヤリイカも以前よりは取れてはいませんが、去年は約300トンと豊漁でした。
堀啓知キャスター)
ちなみに、ヤリイカがなぜ豊漁なのか、北海道立総合研究機構の水産技術普及指導所によりますと「漁獲量が一定ではなく、よく分からない」ということです。