宿泊料金2%「定率」徴収導入済みの倶知安町、北海道は宿泊料金に応じて3段階「段階的定額制」導入へ…観光地の魅力アップに活用「宿泊税」
2024年12月10日(火) 18時54分 更新
北海道外から訪れる客だけでなく、私たち道民も支払うことになるこの税金「宿泊税」を考えます。どう負担が増えて、観光にはどう活かされるのでしょうか。
・鈴木直道 北海道知事
「(宿泊税の)条例案の修正に向け、道議会のご協力をいただきたい」
10日午後、道議会で鈴木知事は、北海道が再来年4月に導入を目指す「宿泊税」について、理解を求めました。
北海道の宿泊税の仕組みは、道内全域で、宿泊料金に応じて、1人あたり100円、200円、500円の3段階で徴収するもので、年間およそ45億円の税収を見込んでいます。
ただ、宿泊税をめぐっては、後志の倶知安町が、宿泊料金の2%を徴収する「定率制」をすでに導入。
北海道が「段階的な定額制」を導入すると、仕組みが複雑になり、「宿泊事業者にとって過重な事務負担になる」と反発していました。
このため、鈴木知事は、倶知安町については「免税」する方針を表明しました。
・鈴木直道知事
「道宿泊税の相当額を北海道に交付する場合は、道宿泊税を課税しないと最終合意に至った」
倶知安町が、北海道に本来納めるべき金額は、別な方法で徴収するということです。
宿泊税を道内で最も早く導入した倶知安町。スノーシーズンが到来し、外国人観光客でにぎわっています。
・オーストラリア人
「(ニセコは)すばらしくて大好きです!少し道は歩きづらいけど、バスもあるしいいね」
「とても便利で、道案内も十分。人もよくて、アクセスもしやすいです。すばらしい観光地です」
倶知安町では、宿泊税の税収を活用して、観光客への“おもてなし”を充実させてきました。
・岡田純記者
「観光客も多く通るこちらの”ひらふ坂”なんですが、このように雪が降っていても歩道はロードヒーティングで、スキー靴でも滑らず安全に歩くことができるんです。この維持管理にも、宿泊税が使われています」
メーンストリート「ひらふ坂」の歩道は、ロードヒーティングで快適に。
さらに「無料の循環バス」を走らせるなど、車のない観光客でも便利に過ごせる交通網を整えています。
・倶知安観光協会 鈴木紀彦 事務局長
「(循環バスは)約15分おきに運行しています。このように宿泊税の活用事業は、ステッカーを貼って、”見える化”をしている」
・オーストラリア人
「歩き回れるし、ホテルにもバスで行けるし、交通の便がよくてとても便利です」
「(この道はどう?)アメイジング!」
・アイルランド人
「移動しやすくて便利だし、日本語が話せなくても英語を話せる人が多く、とても快適です。バスはとても役立っています」
倶知安町では、食事代や消費税を除く「宿泊料金」に一律2%を課税。
今年度の税収はおよそ5億円を見込んでいます。
・倶知安観光協会 鈴木紀彦 事務局長
「宿泊税の導入前は、シャトルバスにかかるお金、ばく大なお金なんですね。これは国の例えば補助金などを使わざるをえない状況だった」
観光客が減少する夏の魅力も高めようと、2階建てで眺めのいい「スカイバス」を運行。こちらにも宿泊税が使われました。
さらに、観光客だけではなく、地元の町民のためにも使われているんです。
・倶知安観光協会 鈴木紀彦 事務局長
「昨年度からニセコモデルと言われる他県からの応援タクシーを始めています。昨年は札幌から数台のタクシーが入って、それによって住民が本来使いたい地元タクシーがきちんと住民側につけるというのが1つのメリット」
地元の観光協会は、国際的なブランドを長期的に高めていくためにも、宿泊税は有効だと話します。
・倶知安観光協会 鈴木紀彦 事務局長
「恐らくどこの自治体もそうだと思うが、観光財源はなかなか捻出しづらい時代に入った。受益者負担でいくと来た人から徴収する宿泊税の仕組みは、より観光地として持続的な仕組みだと思う」