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【コンサドーレ】三上GMが退任へ「強化の部分で“ブラックボックス化”していた」新たな組織体制に向けて、社長とGMの会見詳細

2025年03月25日(火) 16時37分 更新

サッカーJ2・北海道コンサドーレ札幌はフロントの新体制を発表し、26年間在籍した三上大勝代表取締役GMの退任を明らかにしました。

コンサドーレ 石水創 社長
「これから生まれ変わる。新しいことにチャレンジする中で、私の意志で今回の人事を決断した」



コンサドーレの石水創社長は25日に会見を開き、三上大勝GMが退任することを発表しました。



北海道室蘭市出身の三上GMは1999年に入社し、強化担当などを歴任。

2022年からは代表取締役GMとしてクラブの『社長業』を兼任していました。



今年1月の石水社長就任以降は、2人が代表権を持つ経営体制をとっていましたが、わずか2か月での方針転換となりました。

コンサドーレ 石水創 社長
「やはり強化の部分で“ブラックボックス化”していた。三上さんの経験や実績に頼っていたので、クラブの資産として残りづらかった」



コンサドーレ 三上大勝 GM
「石水社長から誠心誠意、話をうそ偽りなくいただき、僕自身も納得した形で、卒業するべきだなと判断させていただきました」

石水社長は『組織のスリム化』を掲げていて、三上GMのほか、常勤取締役2人の退任も合わせて発表しています。


■コンサドーレの会見内容詳細

・石水創 社長
「昨日取締役会が開かれ、三上GMが来月24日の株主総会をもって退任することとなりました。昨年の最終戦、私のスピーチの中で『三上さんは日本一のGMです』『今季については代表権を2人が持った形で進めていきます』とお話させていただいたが、1月に私が社長に就任した中ですごく感じたのが、やはり三上さんの影響力がすごく大きいということ」

「何か物事を決めるときに、私自身も含めて、やはり三上さんに確認しないとなかなか決められないというところが、すごく組織の中で感じる。それは何かにつけて『タイショウの確認とった?』とか『タイショウはなんて言ってた?』みたいに聞かれる。そういうところが、クラブとして甘えがあったなというふうに感じており、これからコンサドーレが生まれ変わる、新しいことにチャレンジするという中で、やはり三上さんの存在が大きくなりすぎてしまったなと感じて、私の意思で今回の人事を決断しました」

・三上大勝 GM
「26年くらい、僕自身がもう54歳ですので、人生の半分をこのコンサドーレというクラブに携わらせていただいて、本当に多くの方に、サポーター、パートナー企業の皆様、そしてクラブに関わる皆様、チームのスタッフ、選手に育ててもらったという思いでいっぱい」

「そういった中で、今回このような決断をクラブとしてされる中で、あえて僕の方からお話すると、僕自身も今までチームという領域で『本当はこの選手を残したい』『残さなければいけない』という思いの中でも、次のチームの進化のため、目指さなければいけないチームのために苦渋の決断ということを今までしてきた」

「石水社長からあったように、僕の存在自体が多くの社員・スタッフに依存度が高くなってるというお話があったときに、僕自身としては、逆に僕がコンサドーレを卒業しなきゃいけないという思い。今回、石水社長から誠心誠意、話をうそ偽りなくいただいて、僕自身も納得した形で、卒業するべきだなということを判断した」

「26年間、監督・スタッフ・選手にも伝えさせてもらったが、自分自身で本当嬉しかったシーンは、ホーム・アウェイに関わらず、選手たちが躍動し、勝った後にゴール裏中心にサポーターの方と選手、チーム関係者が喜び合う。それをフロントスタッフが当然のように嬉しく思っている。そういうシーンを見るのが本当に大好きだった」

「自分ができることは、そのシーンを1試合でも多く、1日でも多く作ることだということで、僕なりに26年間やらさせていただいたが、至らないことも多々あった中で、サポーターの皆さん、パートナー企業の皆さん、クラブに関わる多くの方々に育てていただいたなという本当に感謝の気持ちで今日を迎えている」

「ここにいるメディアの皆さんも含め、クラブに対して本当に成長の機会をいただけたと思っている。ぜひ僕もコンサドーレサポーターとして、今後は皆さんと一緒になってクラブを応援したいと思っています。引き続き、皆さん方の力をお借りして、新体制の中でのありたい姿、やるべきこと、クラブの方向性をサポーター、道民市民にお伝えいただけることを嬉しく思っています。本当に26年間お世話になり、ありがとうございました」

Q.当初の方針を覆すに至った最大の要因は?
A.石水創 社長
「もちろん三上さんは代表権を持っていましたので、そういった意味ではその経営責任、6期連続赤字だとか、J2降格というところ、そこに対する責任は非常に重いかなと思う。とはいえ、これまでの功績、それから今でも変わらず私は日本一のGMだと思っておりますので、そこをすごく評価して、継続という形で昨年末の時点では話をした」

「ただ、1月から私が社長に就任した中で、いろんなスタッフ、三上さん自身ともコミュニケーションをとっている中で、すごく感じたのは組織として、私自身も含めて三上さんに対して様々な決定をする中で、『三上さんがいれば何とかしてくれる』みたいな甘えがあったかなというのをすごく感じている。これから新しい役員人事や幹部、あとは組織のシャッフルとか組織のスリム化とか、そういった改革を進める中で、やはり三上さんがいることで今後も甘えてしまうかなというところを私自身感じましたので、それが今回の決断に至った最大の理由」

Q.今後の体制について
A.石水創 社長
「強化について、今後は竹林(京介)強化部長が引き続き。また、鈴木智樹も引き続きトップチームの強化をやってもらう。これまでの三上さんへの依存でいうと、今後はその強化の部分のガバナンス、あるいは外の目からコンサドーレのトップチームの強化はどうなんだというところ、そういった意見みたいなのも必要になってくる。それは来月以降の役員人事を含めて検討している段階」

Q.石水社長から、どのような状況で今回のことを伝えられたのか
A.三上大勝 GM
「誠心誠意、石水社長の方からは、数日前にうそ偽りなく、その依存度を含めてお話をいただき、先ほど申し上げた通り、僕自身が卒業するという形をとるのが、クラブの新しい発展に繋がっていくのかなと思い、納得感を持って話を伺った」

「昨年末から僕自身が責任を取るべきだという中でも、石水社長の方からありがたく『続ける責任を』ということで、当時は言っていただきました。社会も企業もまた、我々のスポーツクラブでも、すごく速いスピードでいろんなことを変化変革をしていかなければいけない中で、このような大きな変更というものがあることは当然のこと、そういうことを含めて納得している」

「個人的な話で申し訳ないが、嬉しかったこととして、石水社長を初め、新しい執行体制の評価を社員にさせてもらった中で、(三上GMへの)評価はトップクラスだったという言葉もいただき、自分がやってきたことはクラブに、大きくマイナスになっていなかったんだなと。ただ、これからのクラブの運営に関して、僕がマイナスになるかもしれないと僕自身が思えたので、そこはすごく割り切りもできたし、クラブのためになることだけを考えている」

Q.自身の今後について
A.三上大勝 GM
「まずはコンサドーレのサポーターに。(退任が決まったのは)本当につい最近のことなので、しっかりと次のチャレンジができるのかを含め、自分自身は皆さんのおかげで育ててもらい、得たものと同時に反省点も当然ある。もう1回外からクラブを、フットボールを見て勉強しながら、英気を養いつつ、次なるチャレンジができるのであれば、また前向きに考えていきたいと思っている」

Q.このタイミングでの決断した理由は?
A.石水創 社長
「私自身が1月に社長に就任して新しい組織を組み立てるにあたって、やはり2ヶ月間要したというところ。もう一つは、4月24日にコンサドーレとしての定時株主総会があるということで、新しい役員人事含めて会社として新たなことを決めていく組織を組成していくタイミングだった」

Q.定時株主総会で新しい組織を作る、その狙いは?
A.石水創 社長
「以前から社外の取締役として見ていた中でも、現在社内社外含めて13名の取締役がいる。少し取締役の数が多いかなと思っていて、来月からの新しい役員人事というのは約半分ぐらいに減らし、スリム化した形で運営していきたいと考えている」

Q.チーム強化への影響は?
A.石水創 社長
「今季というより、2年後3年後に影響がもしかしたら出てくるかなと思っている。26年という長い間、三上さんにやっていただいたので、すごく影響はあるかと思う」

「ただ一方で、やはり強化のところで、ブラックボックス化していたかなというところもある。これは三上さんが日本一のGMだからこそ、いろいろなところで三上さんの過去の経験だったり、実績に頼っていた部分があったので、少しクラブとしての資産として残りづらかった。そういう意味で強化のガバナンスというところ、あとはオープンにした形で今後は強化を進めていきたい」

Q.後任に求めることは)
A.石水創 社長
「強化部長の後任は竹林強化部長。竹林さんには竹林さんの良さがありますし、三上さんには三上さんの良さがある中で、新しいコンサドーレの形を作っていきたい。また、そういうところでいうと、強化だけではなくて、経営のところ。ここでも三上さんに関わっていただいていたので、来月新しい幹部役員を含めた形で、幹部合宿というものを開きながら、クラブのフィロソフィーであったり、フットボールフィロソフィー、そういったものをこれから作っていきたいと思う」

「やっぱり人は、ずっとクラブにいるのはなかなか難しいと思っていて、それは選手も監督も私自身もそうだが、いつまでもクラブに関わっていることは個人的な状況やタイミングもあり、なかなか難しいと思う。その中でも、そのクラブのフィロソフィー、フットボールのフィロソフィーというところはすごく大事になってくる。会社でいうところの経営理念だったり、あるいはそのミッション、ビジョン、バリューといったところを我々は見ながら仕事をしていく。そこをきちんと策定してやっていきたい」

Q.今後、ゼネラルマネージャーという役職は?
A.石水創 社長
「考えていない。いろいろなクラブがあると思うが、ゼネラルマネージャーがいないクラブもたくさんあるので、全員でカバーしながらやっていきたい」

Q.組織の改革を進める中で、具体的にクラブの課題・問題点として感じていること
A.石水創 社長
「組織的な課題でいうと、やはり幹部社員。マネジメント層を含めて、やはり多いかなと感じています。役職の数が多い。本来であれば、役割の中で仕事をするというのが普通だと思うが、役職に引っ張られるあまり、本来の役割を持って仕事をしなければいけないポジションに人がいないというところ、それは現場も含めて多々見られたので、そういったところがコンサドーレの今までの課題だと感じている」

Q.三上さんがこれまで培ってきたものが、下の世代に伝わっていないのか
A.石水創 社長
「これは三上さんだけの問題ではなくて、クラブ全体に言えること。今季のスローガン『FULL COMMIT』にも込められてはいるが、誰か1人がということではなくて、全員が全責任を持ってクラブの目標、目的に向かって進んでいく、意思決定をしていく、行動していく。これがすごく大事だと思っているので、そういうクラブにしていきたい」

Q.思い出と、サポーターへの思い
A.三上大勝 GM
「思い出は数多くあるので、ただ本当2007年だったと思うが、僕自身が強化責任者だったときに、当時の役員等々から、『今年J1に上がれなかったらクラブが無くなってしまうかもしれない。そういう覚悟を持ってやってほしい』ということを伝えられ、できる限りのことを当時のクラブ職員とやらさせていただいて、何とかその年J2で優勝した。クラブを続けられるということは、すごくよかった思い出。その他にも数多くの思い出があるんですけども、本当に全てがいい思い出。失敗もあるが、それも含めて僕の中ではいい思い出だったというふうに思う」

「サポーターに関しては、本当にサポーターの皆さんが力をくれたことによって、ここまで一定のサイズまで来たと思う。皆さんもご存知のようにJリーグ全体が共存から競争に入っている。その中でクラブがもうひと伸びするところで、クラブだけでは絶対できない。そういうところで、サポーターの力は、すごく大きなものになると思ってますので、引き続きクラブへの支援、そして叱咤激励を含めて一緒にクラブを作るという、今まで通りのスタイルを続けていっていただきたい」

Q.「今季の成績は関係ない」という社長の言葉をどう捉えるか
A.三上大勝 GM
「まず当然、常に成績によっての責任ということは、昨年もそうですし、今年の開幕の4連敗でも当然感じているし、責任を果たさなければいけないと思っている。ただ幸い、クラブとして勝つということを重要視しながらも、そこで躍動する選手が実際に楽しみ、そして成長できるサッカーで、かつ見ている人も魅了する。少なくても先日までは、その方向性でクラブとして一体性を持って、やらさせていただいていた」

「皆さんにすごく開幕4連敗も含めて心配をさせたが、やっていけるという手応えもある中での、ここ数週間、1ヶ月という状況だった。責任ということでいうと、昨年の時点で自分の中で責任を取るべきだというところから、継続することでの責任に換えたこともあって、どうやってこの状況を打破するか、表現できるようにするか、そちらだけを考えていた1か月だった」

北海道ニュース24