釧路湿原に危機迫る…メガソーラー計画に住民と設置業者で意見対立「希少生物の生息環境を脅かす」「繁殖期を避け影響ない」条例制定前に“駆け込み”設置の動きも
2025年04月04日(金) 18時45分 更新
「もんすけ調査隊」です。再生可能エネルギーとして注目されている太陽光発電で北海道内の建設予定地で新たな問題が発生しました。
◆5月に値上げされる電気料金
3月、経済産業省は、再生可能エネルギー普及のため、電気料金に上乗せしている割賦金を、5月から引き上げることを発表。
平均的な家庭で月1592円、年額1万9104円になる。
これは再エネの普及により電力会社の買取量が増えたことなどからだという。
もんすけ調査隊でも、去年、釧路湿原を調査したところ、おびただしい数のソーラーパネルが大地を覆い尽くしていることが明らかに。
あれから1年…新たな問題が噴出しているということで、調査員は再び釧路へ飛んだ。
◆メガソーラー建設計画をめぐり地域住民と設置業者が意見対立
・調査員
「ありました。大きな道路の横には、見渡す限りのソーラーパネルが広がっています」
実は今、釧路市内での太陽光発電所の開発計画が増えていて、釧路市でのメガソーラー建設計画を巡り、地域住民と設置業者の間で激しく意見が対立しているというのだ。
定期的に勉強会を開催している住民団体は、切実な声を上げる。
・住民団体『もっと釧路湿原』
「不安の声が多い。見る機会が増えている中で、本当にこのままでいいのかなと、なぜ止められないんだろうなと」
釧路市議会でも懸念の声が…
・釧路市 大越拓也議員(3月6日議会)
「メガソーラーの開発計画が釧路市内で急増し、これら希少生物の生息環境を脅かすとの懸念が高まっている」
例えば、北斗遺跡の隣接地にも、巨大なメガソーラーを建設する計画が進行しており、古墳がソーラーパネルに囲まれた奈良県のように、歴史的景観が損なわれないかと不安の声が高まっている。
◆現地は絶滅危惧種オジロワシの生息地
さらに釧路湿原のすぐ近くには、2万5000平方メートルにも及ぶ巨大なメガソーラーの建設計画が進行しているのだが…
・猛禽類医学研究所 齊藤慶輔代表(3月)
「オジロワシがいることも事業者は認識していて、事業地から5mとか6mしか離れていないことも把握している」
そう語るのは、環境省からの委託で、傷ついたオジロワシやオオワシなどの治療をしている猛禽類医学研究所の齊藤慶輔代表だ。
齊藤代表らの調査で、建設予定地からわずか5mほどの場所に、オジロワシが巣を作り、十数年も子育てしていることが明らかに。
オジロワシと言えば、絶滅の危険が増大しており、法律でも保護されている貴重な鳥だ。
・猛禽類医学研究所齊藤慶輔代表
「間違いなく影響が出ます。(工事の影響で)巣を捨てる可能性は十分にあるし、巣立った幼鳥がソーラーパネルの陰に隠れてしまって、親からエサをもらえないで、最悪、餓死する。それが5mとか6mという距離です」
齊藤代表は、工事の騒音や人の往来、そして設置されたソーラーパネルの影響で、幼鳥が命を落とすことを危惧し、署名活動を行っている。
◆設置業者は「法令を遵守して手続きを進めている」
一方、メガソーラーの設置業者は取材NG。
ただ、2度開かれた住民説明会では…
設置業者は「法令を遵守して手続きを進めています」「繁殖期を避け騒音の少ない重機で工事を行うので、オジロワシへの影響はない」と話していた。
だが、さらなる問題を指摘する声も…
・釧路市環境審議会 神田房行会長
「今、ソーラーができると、火災が起きるリスクが非常にある。悪くすると、市街地の方まで広がって、市民の生活に直接影響する可能性が高いので危惧している」
実際に去年、鹿児島県のメガソーラー施設で、鎮火まで20時間以上かかった大規模な火災が発生するなど、全国各地で太陽光発電所の火災が頻発しているのだ。
そして感電の危険性があるため、消火に時間がかかるという問題も。
◆山火事に強い危機感
神田会長は、岩手県大船渡市で発生した大規模な山火事を目の当たりにし、住宅地にまで火が広がったり、釧路湿原が焼け野原になったりするのではと、強い危機感を抱いている。
・釧路市環境審議会 神田房行会長
「去年の枯草の葦が燃えると、あっという間に広がって、1日から2日で湿原全体が火事になる」
そんな住民の不安を解消すべく、いま釧路市に新たな動きが…
・釧路市 鶴間秀典市長(3月6日議会)
「スピード感を持って、条例化を進めていくということに変わりはありません」
現在、釧路市では、太陽光発電所を規制するための条例案を作成しており、市内全域を許可制にしたり、廃棄費用の積み立てや損害賠償責任保険の加入を義務化するなど、6月の議会への提出を目指している。
◆条例制定前に“駆け込み”設置か
しかし、市の動きの裏で、さらなる問題が発生しているという。
・釧路市環境審議会 神田房行会長
「ここにきて、建設業者が条例ができる前に駆け込みで、太陽光パネルの設置をやってしまおうというのが大問題で、なんとか止められないだろうかと」
なんと釧路湿原では今、条例が制定される前に、太陽光発電所を建設しようと、駆け込みで工事が進められているという。
10年後、釧路湿原は、どの様な姿になっているのか?
《調査結果》
3月21日、釧路市は、オジロワシの営巣に影響する可能性が高いことから文化財保護法に基づき、少なくとも5月下旬まで建設予定地に入らないように、設置業者に対し通告しました。
すると設置業者は、1日、釧路市役所を訪れ、計画の一部を変更することを伝えたということです。
しかし、猛禽類医学研究所の齊藤代表によると、修正案でも営巣地から500m以内に工事予定地があり、オジロワシの営巣に影響を及ぼすと指摘しています。
釧路市では、ソーラーパネルを規制する条例を現在作成中ということですが、環境への配慮と地域の理解を得たうえで、制定してほしい思います。