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無許可営業の動物園「ノースサファリ」“タテ割り”行政の弊害が事業拡大につながったか…土地開発「未許可」飲食宿泊などは「許可」

2025年02月19日(水) 16時52分 更新

札幌市南区で、無許可のまま156か所もの施設を建て、営業を続けてきたノースサファリサッポロ。18日、すべての施設を撤去するという計画書を、札幌市に提出しました。

・札幌市開発指導課 坪田修一課長
「1~2か月で撤去ということにはならない」



札幌市側は運営会社からの要請で、具体的な内容を明らかにしていませんが、HBCの取材で、撤去の期限が「4年後の12月」ということが新たにわかりました。



ただ、これまでの運営を取材すると、計画が予定通り実行されるのか、懸念も浮かんできました。

ノースサファリサッポロは、施設の建設に市の許可が必要な「市街化調整区域」にあり、札幌市は開園3か月前から去年12月までのおよそ20年間で、17回にわたって撤去を求める指導や勧告を行ってきました。

・ノースサファリサッポロ 運営会社社長
「市街化調整区域の(動物園の)周りにも建造物が多数あって、それで事業者も見かけられたから認識が甘くて、こうなった経緯の原因」



行政からの指導は、施設だけではありません。

まずは、ツキノワグマやコブラなど、危険を伴う動物。

過去に、無許可で飼育し、札幌市が口頭や文書で10回以上指導。野生のアザラシを5年間、登録なしで飼育していたことも発覚しています。



さらに、開園から2年間は、飲食店が無許可のまま営業。いずれも、現在は届出がされています。

・ノースサファリサッポロ 運営会社社長
「保健所からの許可に基づいて運営していたというので、問題ないのではないかという甘さもあったかと思う」



2018年には、「動物と泊まれる」がコンセプトの宿泊施設も無許可でオープン。去年、保健所が施設の撤去勧告を受けていることを運営会社に確認したところ、社長は、こう口にしたといいます。

・ノースサファリサッポロ 運営会社 社長
「都市計画法と旅館業法は関係がない。保健所は許可を出す立場だろう」



こちらは、ノースサファリに関する市の担当部署です。

土地の開発については、都市局が許可を「出していない」一方、野生動物については環境局、飲食店や宿泊施設の営業、危険動物の飼育については保健福祉局が登録や許可を出していました。



実は、行政の手続きを定めた法律では、1つの申請が審査中であることを理由に、ほかの申請の審査を遅らせてはいけないことになっているのです。



ノースサファリのケースでは、施設設置の許可が出ていないものの、動物の飼育や、飲食・宿泊についての手続きは進むことになり、「縦割り」ともいえる構図が、事業拡大を許していました。

今後の進め方について、詳しい中身を聞こうと、19日朝、運営会社の社長を尋ねましたが…。

・髙橋智也記者
「いないようです」

およそ5年後までに、施設をすべて撤去するという今回の計画。本当に予定通り進められるのか、注目されます。

北海道ニュース24