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バレーボールのコート1面分の大きさに描かれたヤマの栄華に注ぐ“地元愛”「緞帳」9年ぶりにお披露目「三笠でしか表せない」北海道三笠市

2024年12月02日(月) 20時55分 更新

北海道三笠市の中学校で、マチの歴史を学ぶ特別授業が行われました。生徒たちに披露されたのは9年ぶりに脚光を浴びたマチの宝物です。

三笠市の萱野中学校です。生徒たちの前に現れたのは巨大なパッチワークの芸術。9年前まで市民会館で使われていたステージの幕=「緞帳」です。



縦7メートル、横16メートル。バレーボールのコート1面分の大きさです。石炭産業で栄えた三笠市らしく、炭鉱のシンボル=立坑やぐらや命がけで働く炭鉱マンなどいきいきと暮らす市民の姿が描かれています。

生徒
「こういったものは初めて見たが、歴史を感じるものだと感じた」



この「緞帳」は1969年、市民会館がオープンするときに作られ、およそ半世紀にわたり市民に親しまれました。



村田峰史記者
「こちらの『緞帳』は廃棄される予定でしたが、現在保存希望者を募集しています」

2015年、会館の改修に伴い「緞帳」も更新が決定。廃棄が検討されましたが、炭鉱をモチーフにしたどん帳は全国的にも貴重なことから三笠市は、保管が可能な譲渡先を募集、地元で会社を経営する坂梨宣行さんが引き取りました。

『緞帳』を引き取った 坂梨宣行さん
「今の時代には、なかなか見ない刺しゅうの「緞帳」だと思う。三笠の大事な文化財なので、保管してみんなに見てもらいたいと思い引き取った」



廃棄寸前だった「緞帳」を譲り受けて、まもなく10年。当時のマチの息吹きを子どもたちに感じてもらいたいと「お披露目」を企画しました。

搬出「せーのよいしょ!」

とはいえ緞帳の重さは、およそ300キロ。倉庫から運び出すのもひと苦労です。



搬入「危ない!」

大人数人がかりでようやく体育館に広げました。



「こっちの字も「鑛(こう)」ですか?」

炭鉱会社が連名で寄贈した緞帳は貴重。昭和レトロなアートも生徒たちには新鮮。よみがえった「緞帳」がマチの歴史を教えてくれます。

生徒
「絵が抽象的で、動物が描かれているのが三笠っぽくていいと思った」

生徒
「炭鉱の部分が、三笠でしか表せないと思った」



『緞帳』を引き取った 坂梨宣行さん
「市民全員が眺めていた、懐かしい「緞帳」だと思う。また何年後かにも、同じように見てもらいたい」



半世紀にわたって三笠市を見つめた「緞帳」はマチの宝物としてこれからも輝きを放ちます。

北海道ニュース24