タブー感や恥ずかしさが根強い“性教育”に新しい形…人権の尊重をベースにした『包括的性教育』アドバイザー山田亜弥さん「大人のあり方を問う学びでもある」
2024年11月08日(金) 21時06分 更新
いま新しい形の「性教育」が注目されています。一人ひとりを大切にするということをベースにした「包括的性教育」です。
「生」教育アドバイザー山田亜弥さん
「私たちみんないろいろな価値観を持っている、一人ひとり違ってみんないいよねということを小さいときから学ぶ」
北海道江別市にある市民会館に集まったのは、市内の小中学校の先生や教育委員会のメンバーたち。
講師をつとめるのは、新しい性教育の大切さを伝える活動をしている山田亜弥さんです。
性教育といえば、生殖に関わるからだの仕組みや性行動を学ぶとイメージする人も多い中、山田さんが訴えるのは「包括的性教育」です。
「生」教育アドバイザー山田亜弥さん
「大人たちが性教育を学んでいないこともあって、社会全体にタブー感や恥ずかしさもまだ根強く残っていて、私たちが生まれながらに持つ権利を大切にという性教育が国際的なスタンダード」
包括的性教育はユネスコが作った国際的なガイドラインなどに基づき、「人権の尊重」をベースとして人間関係のあり方やジェンダー平等などを学ぶものです。
また、今の国の学習指導要領では「妊娠の経過は取り扱わない」などとする、いわゆる「はどめ規定」が存在。
教育現場が性教育に抑制的で子どもたちが自分たちのからだについて十分に知る機会がない現状もあると指摘します。
「生」教育アドバイザー山田亜弥さん
「一人ひとりの幸せについて考える『人権教育』だということをまずは感じてほしい。大人のあり方を問う学びでもあるので自分を見つめ直す機会にもなってもらえたら」
一人ひとりが尊重され、幸せになる。
それを目指すのが性教育だという意識改革が必要とされています。
あらためて包括的性教育は、従来の生殖や性的行動がメインのものではなく、「自分や相手を大切にする」人権を切り口として、人間関係やジェンダー平等なども学び、よりよい生き方に導いていくというものです。
取材した山田さんは、こんなことも強調していました。
人がそれぞれ持っている周りとの「境界」です。
「これ以上知られたくない」、「近づいてほしくない」と感じるラインのことで一人ひとり違います。
なので相手に何かをするときは、明確な「同意」をもらう必要があります。
「なんか嫌だな」と思ったらその気持ちに従って「嫌だ」と言うことが大切です。
そしてこの「嫌だ」はイコール「あなたが嫌い」というわけではないんだと、小さいうちから知っておく必要があると話しています。
性被害を防ぐためにも、友だちどうしの関係でも大切な知識だと思いますが、「性的同意」などは問題になっています。
どうすれば子どもたちが自分や相手を大切にする心をもって成長していけるか、大人の意識をアップデートすることがカギではないかと思います。