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【女性教諭殺害】差し戻し審で「殺人罪」適用で片桐朱璃被告に1審より重い判決…元裁判官「国民の感覚を反映させる必要」札幌高裁の判断は適切と解説

2025年02月20日(木) 20時28分 更新

片桐朱璃被告(38)
片桐朱璃被告(38)

3年前、北海道帯広市で元同僚の女性教諭(当時47)を殺害した罪などに問われている男のやり直しの裁判員裁判で、釧路地裁は「殺人罪」を適用し、被告に懲役12年の実刑判決を言い渡しました。

高校教諭だった片桐朱璃被告(38)は2022年5月、帯広市で元同僚の宮田麻子さん(当時47)の首を車のシートベルトで締めて殺害するなどした罪に問われています。

殺害された宮田麻子さん(当時47)
◆釧路地裁は「同意殺人罪」適用し懲役6年6か月の判決
釧路地裁で行われた1審では、「同意殺人罪」が適用され懲役6年6か月の判決が言い渡されました。

しかし控訴審で札幌高裁は「1審判決は宮田さんの心理状態などを総合的に検討する視点を欠いていて不合理」として、審理を釧路地裁に差し戻していました。

差し戻し審で弁護側は、あらためて「同意殺人罪」の適用を求め、検察は「宮田さんは被告だけが生き残ることには同意していない」として「殺人罪」の適用を求めていました。

遺体発見現場(2022年 北海道帯広市)
◆差し戻し審で釧路地裁は「殺人罪」を適用し懲役12年の判決
20日の判決で釧路地裁は「被害者は被告に執着していて、被告のみが生き残ることを許容していたとは考えづらい」として「殺人罪」を適用。

「被害者の力が抜けてから10分以上首を締め続けるなど被告の殺意は強固で、遺体を遺棄したことも尊厳を軽んじる身勝手な犯行で軽視できない」として懲役12年の実刑判決を言い渡しました。

裁判員の男性
「決定的な証拠がない中で、被告の話をもとに進めていく難しさがあった」

補充裁判員の女性
「差し戻しっていうパターンがあるんだというところからだった。普通の事件に比べると複雑さがあると感じた」

片桐朱璃被告(38)
◆裁判員裁判の差し戻し審は、道内で2例目
判決の差し戻しが裁判員の判断に与えた影響や、裁判員裁判の判決を差し戻すことの是非について、元札幌地裁裁判官の内田健太弁護士は、札幌高裁の判断は裁判員制度の目的に則っていると説明します。

元裁判官・内田健太弁護士
「裁判所法第4条で、上級審の裁判所の判断は、下級審の裁判所を拘束すると定められている。今回の判決も『同意の有無』については、おおむね札幌高裁の判断内容に沿った判断になった」

また裁判員裁判の判決を差し戻したことについては…

「再び裁判員を選び直すことになり、国民の負担が増加する可能性がある点などから賛否が分かれている。ただ、今回の事件については一審で同意殺人罪を前提とした量刑しか話し合われておらず、殺人罪を前提とした場合の量刑に国民の感覚を反映させる必要もあった。判決を差し戻した札幌高裁の判断は、裁判員制度の目的に沿うものとして適切だったと考える」

片桐朱璃被告(38)
控訴について片桐被告の弁護人は「被告人の意向を確認して判断する」としています。

北海道ニュース24