地下鉄に謎の扉…向こう側には何がある?内部へ進むと駅のホームが…緊急事態に脱出するための避難経路 札幌市
2025年04月18日(金) 18時26分 更新
これまで、地下鉄にまつわる数々のミステリーを解き明かしてきましたが、今回挑む謎は…。
■調査依頼
依頼者(えいこうさん 10代 札幌市在住)
「地下鉄・東区役所前駅にいかにも怪しげな扉があります。この扉は何なのか?調べて下さい」
東区役所前駅と言えば、名前の通り、駅前に区役所が存在する札幌市営地下鉄東豊線の駅です。
さっそく現場に行ってみると…。
・調査員
「ありました!ありました!こちらに何やら怪しい扉があります」
こちらが依頼のあった東区役所前駅にある謎の扉。
その扉は、改札を出て右に進むと、正面に立ち塞がる巨大な扉で、細長い隙間が空いています。
ほかの扉と比べても、明らかに異なる形状で、よく見ると扉には何か書かれているが、これはただの衝突注意の札。
何はともあれ調査開始!
Q:あの扉は何か知っていますか?
駅の利用者
「分からないです」
「いや、自分は分からない。向こうに続いているのかな」
そこで扉の隙間から中をのぞいてみると…。
調査員
「奥に何やら通路が見えます。これはいったい何でしょうか?」
確かに扉の奥には、どこかに続く通路が存在しています。
そこで駅周辺の地図を見てみると、駅の出口付近には区役所と学校が存在しているのですが、駅の構内図を見ても…。
調査員
「駅の構内図には何も書かれていません」
そもそも東豊線が開業したのは、1988年のこと。
高度経済成長を経て札幌市は、人口が急増し、深刻な交通渋滞が社会問題に。
そこで誕生したのが地下鉄東豊線でした。
開業時は「栄町駅」から「豊水すすきの駅」までだったが、その6年後、「豊水すすきの駅」から「福住駅」まで延伸されました。
では、これはいったい、何の扉なのでしょうか?
行き詰った調査員が、札幌市交通局に撮影をお願いしたところ、取材の許可が下りました。
そこで、鍵を開けてもらい、さっそく中に入ってみると…。
調査員
「薄暗い廊下が広がっています。正面に突き当たって右に曲がると、そこには階段がありますそして階段の下にも扉があります」
「では、扉を開けてみましょう。この先には何があるんでしょうか?なんと!ホームが広がっています。階段からホームにつながりました」
謎の扉から通路を抜け、階段の先に進むと、そこには地下鉄のホームが広がっていたのです。
これはいったい、どういうことなのでしょうか?
札幌市交通局運輸統括主任 中村保司さん
「この奥は、プラットホーム階とコンコース階をつなぐ避難経路の入り口」
この扉、災害などの緊急事態に、ホームから安全に脱出するための避難経路だったのです。
札幌市交通局運輸統括主任 中村保司さん
「プラットホーム上で大きな事件事故起きた場合、逃げる方向を2方向で確保しなければならないというルールがある」
実は、地下鉄のホームには、「異なる2つ以上の避難経路を設置する」という国の決まりがあるのです。
例えば、東区役所前駅の場合、改札の位置の都合上、福住方面には通常の階段がありますが、栄町方面にはありません。
そのため、栄町方面には避難用の階段が設置されているのです。
というのも、昔、国内では列車火災が度々発生し甚大な被害が出ました。
そこで1975年、地下鉄の火災対策の基準が定められました。
さらに2003年には192人が死亡し、151人が負傷した地下鉄放火事件が韓国で発生。
そのため、日本でも地下鉄の火災対策が強化されたといいます。
こうした経緯から、避難用階段は、東区役所前駅だけでなく…。
札幌市交通局運輸統括主任 中村保司さん
「南北線の幌平橋駅とか、東西線の宮の沢駅にも同じような避難経路が設置されている」
実は、札幌市営地下鉄46駅のうち17駅に、この様な避難経路が設置されていて、例えば、東西線・宮の沢駅のように、ホームから避難経路を通り抜けていくと、改札階に出られるパターンと、南北線、幌平橋駅のように、扉を開けて、薄暗い通路を通り抜けて進んでいくと、地上の中島公園に出られるパターンがあるといいます。
札幌市交通局運輸統括主任 中村保司さん
「札幌市交通局では、職員の教育・訓練を行い、安全を確保しているので、安全安心な地下鉄、札幌市営地下鉄をどうぞ利用ください」
■調査結果
札幌市営地下鉄東豊線、東区役所前駅にある謎の扉の向こうには、災害などの緊急事態の際の避難経路がありました。
・隙間の理由
地下鉄の駅では、地下に空気が滞留しないように、24時間常に換気を行っていますが、ひとつの出口では空気の流れが良くないので、流れを良くするために、隙間を空けているということでした。
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