加齢とともに発症リスクが高まる『帯状ほう疹』針に刺されたような痛みや後遺症も…4月からスタートする65歳以上が対象の予防ワクチンの定期接種がキニナル
2025年02月26日(水) 19時48分 更新
加齢とともに発症リスクが高まるといわれる…『帯状ほう疹』。
この4月から、65歳以上が対象の予防ワクチン定期接種が始まります。
70代女性「かゆい痛い、痛いかゆい」
80代女性「すごい痛がゆい、痛くてかゆくて」
80代女性「ちくちくですごいですよ、針に刺されたような痛み、『帯状ほう疹』だからすぐ病院に行きなさいと」
耳の後ろから首にかけ赤くはれあがった様子、強い痛みとともに出る発疹や水ぶくれが特徴の『帯状ほう疹』です。
加齢とともに発症リスクが高まるというこの病気に対し、札幌市をはじめ全国の自治体で新年度から、65歳以上が対象の予防ワクチン定期接種が始まります。
期待される効果は?あらためてどんな病気なのか?札幌市桑園にある皮膚科の専門医、米田明弘医師に聞きました。
桑園オリーブ皮膚科クリニック 米田明弘 院長
「『帯状ほう疹』は、水ぼうそうのウイルスに一度かかったら、そのウイルスがずっと体に残っているんですね」
「ある意味、長期間眠っているんですけれど、免疫力が低下したときに(水ぼうそうのウイルスが)ぶり返して、発症する病気」
子どものころにかかった“水ぼうそう”。その原因となる『水痘・帯状ほう疹ウイルス』は、体の中に潜み続けます。
数十年の時を経て年齢を重ね、体内の抗体や免疫力が下がるタイミングで『帯状ほう疹』として発症します。
80代女性
「何年か前になってる。(発症すると)包帯のようになるって聞いているんですけれど、私は(発疹が)5粒ぐらいできただけで…すっごい、痛がゆいです」
60代男性
「首筋や体でちくちくするのから始まって、徐々にひどくなって、ポツポツができてみたいな感じで…」
「仕事が立て続けにあって休めなくて、寝る時間も少なくてというところに(発疹が)出てきた」
桑園オリーブ皮膚科クリニック 米田明弘 院長
「一番『帯状ほう疹』で問題になるのは、後遺症として“帯状ほう疹後神経痛が、ずっと痛みが残る状態になるのが問題。これがやっかいです。高齢者ほどなりやすいし(後遺症が)残りやすい」
発症や後遺症のリスクを下げるのが、予防ワクチンの接種です。
ワクチンは現在2種類あり、これまでは50歳以上が任意で受けることができました。
今年の春から65歳以上への定期接種が始まることについて、専門医はこう話します。
桑園オリーブ皮膚科クリニック 米田明弘 院長
「発症リスクを抑えて、重症化のリスクも抑える、高齢の方は注射を打った方がいい、なってしまってからではどうしようもないので、予防できるものに関しては(予防ワクチンの接種を)しておいた方がいい」
◇《『帯状ほう疹』予防ワクチンの効果は?》
森田絹子キャスター)
予防ワクチンは2種類あります。予防効果などについて、どんな違いがあるのかまとめました。
①【生ワクチン】の予防効果
・接種後1年で約60%、5年後で約40%とされています。
・ただし、免疫抑制の治療を受けている人や妊娠中の女性は選ぶことはできません。
②【組換えワクチン】の予防効果
・接種後1年で約98%。接種から10年後でも約70%と高い数字です。
・しかし2回の接種が必要となり、費用は割高です。
医療機関ごとに異なりますが、取材した皮膚科では現在【生ワクチン】で8800円。
【組換えワクチン】は1回の接種が2万2000円で、2回必要なので4万4000円となっています。
ただ今年4月にスタートする定期接種には“補助”がありますので、実際の費用負担が、どれくらいになるかは、3月に詳細が発表されることになっています。
◇《予防ワクチン定期接種の対象者は?》
全国の自治体で4月1日から『帯状ほう疹』予防ワクチンの定期接種が始まります。
対象者は、新年度に65歳になる方、つまり生年月日が、1950(昭和25)年4月2日から1961(昭和36)年4月1日までの方です。
そして新年度に70歳、75歳、80歳…といった具合に、5歳刻みで、100歳になる方までを対象としています。
そのほかにも、対象となる方がいますが、今回の5歳刻みの接種を5年続けて実施することで、現在の高齢者に行きわたらせることを想定しています。
なお、こうした取り組みが終わってからは、新しく65歳になる人が『帯状ほう疹』予防ワクチンの接種対象となります。