半世紀愛される「ナップランド」って?小樽っ子愛用の通学かばん ナップザックとランドセルを組み合わせた“独自”アイテム誕生のヒミツ
2025年03月04日(火) 20時29分 更新
もうすぐやって来る入学シーズン。
小学校の入学式と言えば真新しい、ピカピカのランドセルが頭に思い浮かびますが、北海道小樽市では、独自に開発された通学かばんが長年、愛用されています。
流行りの淡いカラーが特徴のランドセルの数々。
次の、その次の春に向けたランドセル商戦がスタートする中、小樽市ではランドセルではなく“独自”の通学かばんが定着しています。
4日の小樽市です。
雪の通学路を歩く小学生たちが背負っているのは、地元では「ナップランド」と呼ばれています。
ナップザックとランドセルを組みあせた造語です。
小樽市内の老舗のかばん店です。
当たり前のように「ナップランド」が並んでいます。
小樽市内の新1年生の約5割から6割がランドセルの代わりに購入するといいます。
バッグのムラタ 村田達哉 会長
「小学校の先生から『小樽は雪が多くて通学大変なので、軽いかばんできないものかな』と先代の社長に相談があって、軽いナイロン製のかばんを作った」
「ナップランド」が誕生したのは今から半世紀前の1970年代。
きっかけは、坂道も多く雪も多い小樽の子どもたちに、軽くて歩きやすいかばんで安全に通学してほしいという先生たちの願いでした。
こちらは、1986年の「学校販売」のチラシです。
Q.記者「背骨の変形を防ぐ?」
A.小樽市総合博物館 石川直章 館長
「(ランドセルは)成長期の子どもたちの成長にとってよくないという意見もあった」
当時のランドセルは高価な上、本革で重く、雨や雪にも強くありませんでした。
そこでランドセルに代わるものとして、価格的に安く、丈夫で軽いナイロン製の「ナップランド」が徐々に広まっていったのです。
小樽市総合博物館 石川直章 館長
「小樽市内であればナップランドのほうが主流、かつぐことに抵抗も感じず、買いやすい」
昭和から平成、そして令和のいまも小樽市で愛される「ナップランド」。
発売当初は赤と紺の2色だけでしたが、今では人気のラベンダーなども加わり、あわせて12色に増えました。
また、時代に合わせタブレットや水筒を収容するため、サイズもひと回り大きくなりました。
バッグのムラタ 村田達哉 会長
「今後も改良を重ねながら、お客さまに寄り添ったかばん作りを目指していきたい」
地域の事情がきっかけで誕生した「ナップランド」。
世代を超えて愛され続けています。