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トレーニングの現場でも大注目の秋の味覚“さつまいも” 甘くてホクホクがたまらない人気の味は年々進化して品種は20年で約2倍 北海道では作付面積が急増“さつまいも文化”を根付かせようとする動きも活発化

2024年09月30日(月) 19時36分 更新

北海道の食を深堀りして、その価値を考えるシリーズ「食の未来を考える」です。

寒くなってきたこの季節に恋しくなる“秋の味覚”「さつまいも」。九州や本州が産地のイメージですが、北海道産がいま注目されています。

激しいトレーニングの後に、カバンから取り出したのは“さつまいも”。

パーソナルジムの利用者
「筋トレは食事制限がある。満腹感が得られて、食物繊維もとれる。甘いものも食べたくなる、それもカバーできる」

札幌のこのパーソナルジムでは“さつまいも”とトレーニングの相性の良さから、利用者に摂取を勧めています。

パーソナルジムトレーナー 高橋大翔さん(理学療法士)
「筋肉を大きくするためには、栄養を補給する腸内環境が悪いと、摂取した糖質やたんぱく質が、栄養として体に行かない」



「さつまいもはそういうところ(食物繊維)をしっかり補給できる糖質。さつまいもを食べたほうがいいか、間食に干し芋はどうかという、客からの質問は確実に増えている」

意外なところでも注目されている秋の味覚“さつまいも”。肌寒くなってきたこの季節に、恋しくなる人も多いのでは…。

さつまいもの研究も進み、品種はここ20年で約2倍になりました。今ではスーパーで好みの品種を選ぶ買い方が、定番です。

スーパーの買い物客
「おすすめは“シルクスイート”。柔らかい、甘い」

「ここはいろんな(さつまいもの品種)があるから、選ぶのが楽しい」

コープさっぽろソシア店 阿部祐次 店長
「2018年から(焼き芋)売り場を広げた。価格的にも安価な値段で買えるため、買いやすいと好評をもらっている」

「最初から比べると売り上げは1.5倍になっている。最近20代が購入することが多くなっている。デザート感覚で買う人が多い」

昔から親しまれてきた、焼きたてホクホク!…だけではなく、さつまいもの楽しみ方は、今やさまざまです。

恵庭の焼き芋店『imoimo(いもいも)』では、年間約8トンのさつまいもが、いろいろな姿に大変身。表面をパリパリに焼き上げた『焼き芋クリームブリュレ』に…。

焼き芋ブリュレと、焼き芋ペーストが乗った人気No.1『焼き芋ブリュレアイス』です。



購入客「濃厚・甘い、濃密」



購入客「アイスとよく合う」

実は、さつまいもの“年間購入数量”全国トップは北海道。全国平均を1kg以上も、上回ります。



さつまいもアンバサダー協会の奥野靖子さんは、北海道の“じゃがいも文化”で、ホクホクした食味への慣れが、さつまいもの人気につながっていると話します。

しかし、現在、店頭に並ぶものは、ほとんどが道外産。道産のものは見当たりません。そんな中…。

「北海道でも、さつまいもの収獲シーズン到来です!」

道産さつまいもが、さらに美味しく!いま新たな可能性が広がっています!

北海道石狩地方の新篠津村の農業、高田興一さんの畑では、今シーズンの収穫が始まっています。



サッカー場約3個分の、2.3ヘクタールの広さで、3年前から本格的にさつまいもの栽培を開始しました。

JA新しのつ 甘藷部会 高田興一部会長
「(さつまいも栽培のきっかけは)北海道の気候が変わってきて、さつまいもを作りやすい気候になってきた。新しい産地を探しているということを、さつまいもに携わる人から聞いたことがきっかけ」

採れたての“さつまいも”…高田家定番の食べ方は?

記者
「ほのかな甘みが感じられて、やっぱりこのホクホク感がたまらないです」

実は、北海道内のさつまいも作付面積は、ここ3年で約4倍に急増しています。



食品加工研究センター 吉川修司部長
「北海道のさつまいもの特徴としては甘い。あともう一つは水分が多い」

冷涼な地域で育てることが難しかった“さつまいも”。品種改良や温暖化により、北海道でも育つようになり、寒暖差が甘くなりやすい性質を生み出しているということです。

北海道内で“さつまいも”の食文化を根付かせようと、6月には、生産者や加工業者、流通業者などで構成するプロジェクトが発足。



北海道の“さつまいも文化”は今後、加速しそうです。

JA新しのつ 甘藷部会 高田興一さん
「『北海道で“さつまいも”を作る』というと、何を言っているんだという感じだったが、北海道でも“さつまいも”が作れることをたくさんの方に知ってもらい、(北海道が)産地として認知されることを願う」



心とお腹を満たす“道産さつまいも”、その挑戦はまだまだ続きます。

森田絹子キャスター)
北海道でも“さつまいも”の栽培が伸びていますが、課題もあるようです。

取材した『さつまいも北海道プロジェクト』の對馬貴子(つしま・たかこ)さんによると、採れたての“さつまいも”は、とてもデリケートということで、専用の洗浄機や保管庫が必要です。

ただ、北海道にはまだ限られた数しかないということです。

堀啓知キャスター)
“さつまいも”を受け入れる、北海道での体制作りが今後、もっと本格的に必要になってきそうです。
 
北海道産の“さつまいも”は、10月中旬ごろから、スーパーにも並び始めるということです。

道産の“さつまいも”が今後どのように広まっていくか楽しみです。