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ナイトクラブのイベントでサルにジュース…相次ぐ法令違反の果てに閉園のノースサファリ、一部動物を静岡県の閉園中のテーマパークに移動か?

2025年03月11日(火) 16時47分 更新

建物の無許可建築が問題となってい動物園「ノースサファリサッポロ」(札幌市南区)が、9月末で閉園することを発表しました。

飼育されている動物たちはどこへ行くのでしょうか。



・近隣の住民
「不信感だらけです。開園当初から話は違法建築というのが出ていたので」

こう話すのは、札幌市南区の「ノースサファリサッポロ」の近くに住む住民です。

・ノースサファリサッポロのホームページ
「この度、当園は法令上の問題を受け止め、閉園することを決定しました」

10日突如として「9月末までの閉園」を発表したノースサファリサッポロ。

法令違反を繰り返し20年間にわたって運営を続けておきながら、なぜいま、閉園を決めたのか。

そして、飼育されている動物たちはどこへ行くのでしょうか。

閉園の発表から一夜明けたノースサファリサッポロ、平日の11日は、アクティビティのみの営業のため客の姿はまばらでした。



・東京からの客
「閉園しちゃうというのを聞いて、行っておいた方がいいかなと」

・静岡からの客
「ここにいる動物が可愛そう、これからどうなるのかなと」

きっかけは先月、園が札幌市の市街化調整区域に無許可で建物を建築したまま、20年にわたって営業を続けていた事実が明るみになったことでした。

これは、これまでに確認されているノースサファリサッポロの法令違反です。

・旅館業法
・食品衛生法
・道路法
・動物愛護管理法
・都市計画法
・国土利用計画法
・水道法
・建築基準法
・普通河川管理条例



無許可で飲食店や宿泊施設を営業した旅館業法違反と食品衛生法違反など札幌市の指導を受けて、すでに是正されたものがある一方…

市街化調整区域での156棟に及ぶ無許可建築や河川敷での違法建築など、現在も違反状態が続いているものもあります。

こうした問題の中でも、札幌市に対して数多く寄せられていたのが、動物の飼育方法をめぐる苦情です。



・札幌市に寄せられた苦情
「クラブにキツネとかサルとかフクロウを連れてきてナイトサファリをやっている。動物に人用のジュースやお酒を無理やり飲ませている」



これは2017年にノースサファリサッポロがススキノにあったクラブと共同で開いていたイベントに関する苦情です。

市が確認した結果、動物に酒を与えていた事実はなかったものの、サルにジュースを与えていたため、やめるよう指導しました。

こうした動物の飼育や展示方法をめぐる札幌市の指導は、30回以上に上ります。

ノースサファリサッポロは去年、園の北東に9万8000平方メートルの土地を取得。付近に住む男性は閉園の方針を聞いてもなお、不安を感じています。



・近隣の住民
「閉園を決断したのは、私たちとしてもスッキリするいい話。ただ、こっちに動物園を新しく開園するのか、しないのか含めて全く説明がないので」

動物園の経営に詳しい専門家は、度重なる法令違反が明るみになったことが、閉園につながったと見ています。



・帝京科学大学 アニマルサイエンス学科 佐渡友陽一准教授
「行政の指導だけでは今まで全然従ってこなかったところ、それが今回非常に大きな転換をした」
「旅行代理店とか移動動物園を依頼していた団体とかが、コンプライアンスの意識が非常に低いところだと明らかになった以上、もう依頼できないと考えるようになったことが、大きな影響を与えたのでは」

今後の大きな課題は、500匹余りいる動物の取り扱いです。

札幌市は、全ての動物の移動計画を今月中に示すよう、運営会社に指導しています。

運営会社は動物をどこに移動するのか、明らかにしていませんが、静岡県富士宮市の担当者が、HBCの取材に応じました。

・静岡県富士宮市の担当者
「1回電話がありました。2月5日ですかね、運営会社のサクセス観光から。動物をここで飼いたいよという内容です。法律上の手続きが必要になるのでそれをクリアしてもらえれば」



運営会社は今年に入り、富士宮市にあるテーマパーク「富士花鳥園」の運営権を取得。ここに一部の動物を移動させることを検討しているとみられます。

運営会社は、動物たちにとって最善の環境を提供できるよう尽力するとコメントしています。その言葉は守られるのでしょうか。

堀啓知キャスター)
ノースサファリサッポロが10日、9月末までの閉園を突如、発表しました。法令上の違反を重く受け止めた、ということです。

閉園するというものの、500匹あまりいる動物たちの行先については「移動・撤去」するとしているだけで、具体的なことは明らかになっていません。

堀内大輝キャスター)
今後、どういった対応が考えられるのか。動物園の経営に詳しい帝京科学大学佐渡友陽一准教授に聞きました。

◆飼育動物の今後
・別な施設が500匹もの動物をまとめて引き受けるのは考えられない⇒引き取ってもらえる動物から少しずつ移動か
・ライオンなど人に危害を与えうる「特定動物」も多数⇒普通の施設では受け入れられず移動は難航も

堀キャスター)
これだけの動物を受け入れるのは、どれほど費用が必要?

◆ライオンの飼育
・エサ代1頭当たり15~18万円(月)
・飼育施設は、数百万から数千万円と幅があるようですが、かなりの費用が必要なことが分かります。

堀内キャスター)
ノースサファリにはライオン以外にも…ツキノワグマやベンガルトラなど特定動物だけで7種類いて、引き取るとしてもそれぞれ相当の費用が必要とみられます。

堀キャスター)
10日の取材で、静岡県富士宮市にある「富士花鳥園」も、動物の移転候補に上がっていることがわかりましたが、どんなことが課題に?

◆飼育動物の今後
堀内キャスター)
ノースサファリの運営会社は、無許可建設の問題が明るみに出る直前に静岡県富士宮市にある「富士花鳥園」を取得花と鳥の鑑賞などができるテーマパークだったのですが、現在は営業していません。

佐渡友准教授によりますと、オリを作ればライオンなどを移すことは可能ということです。

ただ、札幌市でやってきたように「既成事実を積み重ねて、ごり押しで許可を取る」手法が繰り返されないか、懸念がある。と指摘しています。

堀キャスター)
法令違反を理由に閉園を決めたわけですから、動物たちの移動は、決まりを守って安全に進めてほしいと思います。

北海道ニュース24