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聴覚障害者の58歳男性 挫折を乗り越え夢のバス運転手へ「お客様を乗せるのが楽しみ」バス会社は人手不足解消の「救世主」と期待

2024年08月19日(月) 19時28分 更新

 北海道苫小牧市のバス会社が、北海道内で初めて聴覚に障害がある男性を運転手として採用しました。運転手になりたい男性と運転手を確保したいバス会社の思いがマッチし、デビューも間近です。

指導教官
「ゆっくりでいいからね、ゆっくりで」



苫小牧市のバス会社に7月、入社した大沢勇一さん。58歳の新人運転手です。教官の指導のもと路上教習を重ねています。



指導教官
「道路は道なりにカーブね。十字路があるから、右折ね」



大沢さんは生まれつき聴覚に障害があります。2人であらかじめサインを決めて教習に臨んでいます。



日軽北海道 大沢勇一さん(58)
「父親が大型車の運転手で自分も運転手になりたいと思っていた。お客様を乗せるのが楽しみ」



2016年の道路交通法の改正で、聴覚障害者でも補聴器を装着し、一定レベルの聴力があれば運転ができるようになりました。

別の仕事をしながらも、運転手の夢を抱き続けた大沢さんは6年前に「大型二種免許」を取得。

北海道内のバス会社に数多くエントリーしましたが、乗客や従業員とのコミュニケーションに不安が残るとして受け入れてくれる会社はありませんでした。

一方、このバス会社は、企業の送迎バスに乗務する運転手の確保に悩んでいたとき、国の室蘭運輸支局を通じて大沢さんが運転手として就職を希望していることを知りました。



日軽北海道 サービス事業部 松原浩二課長
「正直言って『救世主』です。会社でもリスクを負っても大丈夫なのかと(議論は)あったが勇気を出して採用した」



北海道内で、聴覚障害者がバス運転手に採用されるのは初めてです。



大沢勇一さん
「すごく喜んでうれしかった。自信を持って運転したいし遠距離の運転にも挑戦したい」

憧れの仕事に就き運転技術を磨く大沢さん。

早ければ9月下旬にも乗務に当たる予定です。