親が勝手に借りた“奨学金”日本学生支援機構から180万円の返済を命じられていた女性が地裁で逆転勝訴
2025年03月21日(金) 17時30分 更新
親が勝手に奨学金を借りたにもかかわらず、返済を求められた北海道内の大学に通っていた女性に対し、札幌地裁は一審の判断を覆し、逆転勝訴の判決を言い渡しました。
元学生の代理人 橋本祐樹 弁護士
「元学生側が逆転勝利をしました」
札幌市の40代女性は、道内の大学に通っていた2000年から2003年までに、自身の名義で奨学金合わせて180万円を借りたとして、日本学生支援機構から返済を求められました。
日本学生支援機構は、女性が自ら署名・押印して奨学金を借りたと主張。
これに対し女性側は、父親が母親のがんの治療費にあてるため、両親だけで相談し、母親が署名、父親が押印して無断で借りたもので、女性には返済義務はないと主張しました。
札幌簡裁は、「契約に女性が全く関与していなかったとは考えられない」などとして、2024年4月、女性に返済を命じました。
しかし、2審の札幌地裁は女性の父親の証人尋問などを行い、「父親の証言から、奨学金の手続きは、女性に秘して父親と母親が行ったもの」として、3月、女性に逆転勝訴の判決を言い渡しました。
元学生の代理人 西博和 弁護士
「あるべき主張・立証のルールに従って判断してもらった。この判決を1つの型にしてもらいたい」
札幌では2025年に入り、控訴審の逆転判決が少なくとも4件、相次いでいます。
最高裁のデータによると、民事訴訟で1審判決が取り消される確率は約20パーセント。
刑事事件で、被告人が逆転無罪を勝ち取る可能性は、わずか0.3パーセントしかありません。