敷地に侵入し家の中をのぞく人も「知らなかったので本当にごめんなさい」オーバーツーリズム“公害”防止へ…ルール周知のピクトグラムの効果検証
2025年02月21日(金) 20時24分 更新
スマートフォンの向こうにきらめく、港町・北海道函館市の明かり。展望台は火曜日にもかかわらず、この混雑です。
・警備員
「撮り終わりましたら、後ろの人に譲ってあげてください!」
一方、小樽市では。
・住民
「やはりいい気持ちはしない」
中国の旧正月「春節」が終わっても、にぎわいが続く北海道。模索が続くオーバーツーリズム対策を、もうひとホリします。
国内外の観光客に人気の函館山。
・藤田忠士記者
「ご覧のようにいいポイントは三重四重になって混みあっています」
・東京から
「(Q.夜景見えますか?)“くびれ”が見えない、大事な“くびれ”が見えない」
夜景が見頃となる日没前後のロープウェイは、まるで満員電車。そこで考えているのが、観光客の分散です。
・函館市観光企画課 山口快 係長
「『漁火公園』という名称だが“展望スポット”」
こちらはロープウェイのすぐ南側にある漁火公園。高さは展望台よりも15メートルほど低いだけ。
ロープウェイを絡めた素敵な夜景の写真も撮れる絶景スポットです。ところが…
今はほとんどの人が展望台を目指し、漁火公園に向かう人は、ほとんどいません。
・函館市観光企画課 山口快 係長
「わざわざ低い漁火公園に下りて、(景色を)見ようという人がいない」
市は4月以降、展望台と行き来しやすい階段を設置するなど、一帯を回遊型のスポットとして整備し、観光客の分散を図ります。
・函館市観光企画課 山口快係長
「どういった構造物が作れるか考えていく」
一方、こちらもオーバーツーリズムが問題となっている小樽市。
21日朝、JR函館線の銭函駅付近を訪れると、民有地を抜けて海岸沿いに向かう、外国人観光客の姿が…。
現地で許可を得た上で取材しました。
・金子将也記者
「外国人観光客が住宅の裏側に侵入して、写真をたくさん撮影しているようです」
・中国から
「(入っていいかは)分かりませんでした、ごめんなさい。ここに看板を立ててくれれば、私たちがそこに入れないことが分かると思う。
ごめんなさい、私たちが入れないことは理解しています。でも知らなかったので、本当にごめんなさい」
・金子将也記者
「なぜここに来たの?」
・オーストラリアから
「ここには何も(立ち入り禁止など)書かれていないから分からない。行政が何かしてくれるなら私たちは理解できる。だから立ち入り禁止の標識など作ってほしい。すみません」
この一帯は、雪景色や砂浜をバックに写真を撮れることから、中国のSNS上で人気のスポットだといいます。
住民は敷地に勝手に入らないよう、貼り紙などで注意していますが…
・住民は…
「"通行止めのマーク"がついているが、全員ではないがやはり全然無視していく」
こちらの男性は、海岸沿いに行けないようにするため、雪を積み上げたものの、乗り越えた足跡が。さらに…
・地域住民
「『雪だよ!』と家の中をのぞく、こうやって。こうやってのぞくんだ」
そんな状況を改善しようと、21日、新たな試みが。掲げられたのは、住宅地への立ち入り禁止を訴える「ピクトグラム」です。
外国人観光客にルールを理解してもらおうと国が作成し、今後、効果を検証します。
・中国から
「もちろん分かるわ。これは私たちが、しっかりはっきり見えるように大きくするべき」
・観光庁 荒井大介課長補佐
「きのうまで観光地ではなかった場所が、(SNSなどで)"きょうは観光地"というくらい急速に観光客が集まる。国が(ピクトグラムを)作り、すぐ機動的に使えるのは意味がある」
堀啓知アナウンサー)
外国の人たちにルールを伝えるのが特に難しいようですね。
堀内大輝アナウンサー)
VTRにもありました観光庁が作ったピクトグラムですが、他にもこんなものがあります。
堀啓知アナウンサー)
掲示の方法一つとっても、まだまだ工夫の余地がありそうですが、各地でいろいろな取り組みが進められています。
堀内大輝アナウンサー)
道内有数の温泉街がある登別市では、市民や観光業者を巻き込んで、入浴や食事のマナーの周知方法や混雑対策などについて意見交換しているということです。
また、国土交通省によりますと、京都では、お寺や神社の混雑緩和のために早朝や夜間の特別拝観を実施しているということです。
堀啓知アナウンサー)
来てくれた人のためにも、住んでいる住民のためにも、よりよい観光地づくりに工夫を重ねてほしいですね。