大量発生で“厄介者”だったオオズワイガニ、今は浜の「救世主」に…大きく成長し人気急上昇“カニ王国”鳥取県の料亭でも「皆さん飛びつく」
2024年12月13日(金) 19時59分 更新
お正月を前に、カニの美味しい季節が到来。去年、大量発生したオオズワイガニは今、どうなっているのか?調べてみると安いのに美味しい、驚きの変化がありました。
今日は、札幌市北区の「でる」さんからの依頼です…
・札幌 北区の「でる」さん 50代
「そろそろカニの季節ですが、大量発生したカニは、今どうなってる?」
去年の春頃から、日高沖や噴火湾などで、オオズワイガニが大量発生。網が切られるなど、大きな漁業被害がでたことから、海の”厄介者”と呼ばれ1杯100円で投げ売りされたカニだ。
そのカニは今、どうなっているのか?さっそく札幌市内のスーパーに行ってみると…
・中尾大輔調査員
「ありました!オオズワイガニを発見しました。1匹580円で、隣は358円です」
店内には、2種類のオオズワイガニが山積みになっており、去年よりも少し立派に見えるが…
・吉本水産 東城哲也店長
「今も継続して入ってきている。あのときは小さかったが、今は大きくて、実入りのいいものを売っている」
やはり!オオズワイガニは、去年よりも大きく成長し、実入りもよくなったという。となれば気になるのは味だが。
・吉本水産 東城哲也店長
「食べてみるとオオズワイガニでも本ズワイガニでも遜色なく、言われないと気付かないと思う。オオズワイガニ580円のものを本ズワイガニだと1200円~1300円」
なんと、味は遜色ないのに、オオズワイガニであれば、本ズワイガニの半額以下で買えちゃうのだ。
では今もオオズワイガニは、大量発生しているのか?えりも町に行ってみると…
・調査員
「水槽の中には、おびただしい数のオオズワイガニがいます」
えりも漁協の加工場には、数えきれないほどオオズワイガニがひしめき合っている。ということは、今も漁師は困っているのか?
・えりも漁協 金子武彦参事
「いまオオズワイガニなくして、生活はできません。去年の春先は小さいサイズだった、どんどん大きくなってきて直売店では最低でも1000円、大きいもの1300~1400円。年末にかけてはさらに値段が上がるんじゃないかなと」
去年は200gほどだったオオズワイガニが、今年は500gほどまで成長。大きいものだと700gもあるのだ。そして去年まで獲っていた小さいカニは、4月から資源保護のため海に戻しているという。
・えりも漁協 金子武彦参事
「去年以上売れてます。2021年秋に赤潮が発生して、「真つぶ」が取れなくなった。その後オオズワイガニが大量に取れたので、今はオオズワイガニは救世主」
大きく成長したオオズワイガニは、ボイルして身をほぐしたものをインターネットで販売したり「ふるさと納税」の返礼品に選ばれたりするなど、今や、えりも町の特産品となっているのだ。さらに…!
・えりも漁協 金子武彦参事
「鳥取の業者の方が来て、えりものオオズワイガニを買って行って、鳥取の人たちに食べてもらうことを、いま現在も継続している」
鳥取と言えば、カニを全国平均の5倍も食べる、日本一の”カニ王国”だ。
そんな鳥取県の飲食店オーナーが、自らトラックで生きたまま運び、鳥取の飲食店グループで提供しているというのだ。
・調査員
「鳥取の料理人が調理したら、よりおいしい?」
・えりも漁協 金子武彦参事
「本ズワイガニに負けない味だと聞いている」
そんな鳥取県で、どのように食べられているのか?鳥取県民は喜んでくれているのか?そんな事を考えていたら、居ても立っても居られなくなり、調査員は鳥取県に飛んだ。
真実はいつもひとつ。やってきたのは、海鮮市場「かろいち」の隣にある高級料亭の「海陽亭」。
運営するのは、あの「すなば珈琲」を始め、県内に17店舗を展開する会社だ。店内には、お座敷や生け簀があり、高級感漂う雰囲気だが、一体どんな料理が出てくるのか?
・調査員
「見て下さい。北海道えりも漁協から自社輸送と書かれています。1杯5000円です」
その5000円のオオズワイガニ料理がコチラ。透き通るように美しい身には、見事な花が咲いており、食感が繊細で、口に入れた瞬間に甘みと旨味が広がる。
・ぎんりんグループ 代表取締役 村上亜由美さん
「本ズワイガニは1杯8000円や1万5000円するので、手が出ない。でもカニの刺身は食べたい、でも冷凍はおいしくない。でも生きてるオオズワイガニは甘くておいしい。皆さん飛びつかれます」
「ゆでがに」は、カニ本来の甘みと、ほのかな塩味が絶妙に調和し、殻から溢れんばかりの身は食べ応え満点。
ほかにも、宝石箱の様に美しく盛り付けられた海鮮丼など、オオズワイガニは海を越え、想像の斜め上をいく料理となっていたのだ。
・ぎんりんグループ 代表取締役 村上亜由美さん
「『オオズワイガニって“やっかい者”と言われてたカニじゃない?』と言われるけど、『こんなに甘くておいしいなら、早く食べておけばよかった』と多くの客が言う」
もちろん鳥取県内では、この様な高級料亭だけでなく、スーパーや鮮魚店などでもオオズワイガニが販売されているのだ。
・ぎんりんグループ 代表取締役 村上亜由美さん
「せっかく海から取れたものなので、たたき売りではいけないかなと。付加価値を付けて販売することが、一番大切だと考えている」
去年、大量発生し厄介者と呼ばれたオオズワイガニは今、東京都や大阪府、沖縄県まで販路を拡大し、安いのに美味しいと全国的な人気者になっているのだ。
・森田絹子キャスター
「調査結果です。去年大量発生したオオズワイガニは大きく成長し、全国的に人気が急上昇中でした」
・堀啓知キャスター
「田村さん、去年の映像を見る限り、小ぶりでしたけれど一年で成長するものですね」
・ハンバーガーボーイズ 田村次郎さん
「厄介者と言われていたものが、今はスポットライトを浴びているわけじゃないですか。なんかミュージシャンみたいだなと思って、かっこいいなというふうに思っています。味もおいしくて、安くて、これがこのサイズでこれからもいっぱいとれ続けたら最高ですね」
・堀啓知キャスター
「それが気になるところで、過去80年代半ばにもオオズワイガニが取れたとき、数年で急に取れなくなっているという経緯があって。海の中の生態ってよくわからないものもあって、オオズワイガニの正体がはっきり分かっているわけでもないですもんね。一方で、急激に全国進出したということで、さまざまな問題も起きているみたいですね」
・森田絹子キャスター
「価格を比較しても本ズワイガニだと1万6000円するところ、オオズワイガニだと5000円というふうに価格が安いんですね。そこで、オオズワイガニを本ズワイガニと偽って売る業者がいたり、名前が似ているので本ズワイガニと間違えて買ったりするなど、今、本ズワイガニの売り上げが落ちているそうなんですね」
「ふたつのカニの違いは、口がM字になっているのがオオズワイガニで、平らなのが本ズワイガニといった見分け方があるんだそうです」