ニュース

Official Account

【すすきの首切断】父親の田村修被告(61)に懲役10年求刑 「すべて有罪なら、長期の実刑判決は免れられない」元裁判官が解説…一方で、執行猶予の可能性も示唆

2025年02月18日(火) 16時32分 更新

 2023年7月、札幌・ススキノのホテルで男性が殺害され、首を切断された事件。

起訴された親子3人のうち父親の裁判員裁判が18日結審し、検察は懲役10年を求刑しました。



この事件で起訴されたのは、田村瑠奈被告ら親子3人です。

このうち、父親で医師の修被告(61)は、娘の瑠奈被告の殺人や死体遺棄などを手助けした罪に問われています。



これまでの裁判で検察は、修被告が瑠奈被告の殺害計画を知ったうえで犯行を手助けしたと主張。

弁護側は計画を知らず、手助けする意思はなかったと無罪を主張していました。

18日の論告求刑で、検察は「修被告は、瑠奈被告と一緒に被害者を探しススキノで発見した。瑠奈被告は被害者を1人で探すことはできず、修被告の協力は不可欠」だと指摘。

また、「その翌日から、のこぎりやナイフを買うなど、加速度的に犯行の準備が進められていて、事前に協力を取り付けていたと考えるのが自然」と主張しました。

そして、「医師として高い道徳心が求められるにもかかわらず、犯行に加担した経緯に酌量の余地はない」として、懲役10年を求刑しました。





一方、弁護側は「のこぎりやナイフは、いずれもホームセンターで買えるもので、修被告が殺人のための道具であると推認するのは不可能」だと主張。

また、「瑠奈被告が証言しておらず、心理がわからない段階で、修被告による撮影が瑠奈被告の犯行を心理的に手助けしたと証明するのは不可能」と指摘し、あらためて無罪を主張しました。

最後に証言台に立った修被告は…。

田村修被告(61)
「娘が世間を騒がせる大きな事件を起こしたこと、すぐに通報せず、そのまま生活を続けさらなる事件を招いたこと、親として責任を感じています。悔やんでも悔やみきれません」



判決は3月12日に言い渡されます。

◆裁判の争点



父親の田村修被告は、娘の瑠奈被告の殺人や死体遺棄などを手助けした「ほう助」の罪に問われています。   

・瑠奈被告の殺害計画を事前に知っていたのか。
・修被告の行為が「ほう助」にあたるのか。

この2つが主な争点となっています。
  
◆裁判で検察側と弁護側の主張
 

                   
(検察側の主張)
・事件前に家族で「ディスカッション」するなどして殺害計画を知っていた。
・のこぎりやナイフなどの凶器を修被告が購入し、自宅の浴室を隠匿場所として提供するなど、修被告の関与がなければ実現不可能だったとして『懲役10年』を求刑。
    
(弁護側の主張)
・「ディスカッション」については、殺人に関する話という根拠がない。
・のこぎりやナイフなどを買ったからといって、瑠奈被告に「殺意がある」と推認するのは無理があるとして、『無罪』を主張しました。


   
◆元札幌地裁・裁判官 内田健太弁護士の解説
前提として、検察は一般的にかなり合理的なストーリーを組み立てられたなという印象があります。

性的トラブルというものがあって、親子で被害者を探しに行って、次の約束を立て、その間に凶器を買い与えて、「ディスカッション」、「デモンストレーション」、ほかにもハイターだったりとかスーツケースを持って、当日に送迎したということからすると、“通常”であれば、計画をしていたととられてもおかしくないようなストーリーを組み立てられていると思っています。

一方で、「知っていた」という決定的な証拠はない、というのが1点。なによりも“普通”という感覚を本件に当てはめていいのか。
実際に話を聞いた裁判員が、被告人の言っていることは「もしかしたらあり得るかもしれない」ということであれば、そこは躊躇なく『無罪判決』というものが下されるべきだと私は思います。

◆予想される判決の量刑
元札幌地裁・裁判官 内田健太弁護士の見立て

殺人の「ほう助」も含めてすべて有罪になっても、懲役10年はいかないと思いますが、長期の実刑判決は免れられないと思います。

ただ、殺人の「ほう助」は無罪で、死体遺棄など一部だけ有罪ということになれば、執行猶予の可能性が高いと思っています。

北海道ニュース24