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シニア層に広がる「調理定年」脱手作りで負担軽減、はじめは後ろめたさも自由な時間が増え…専門家「調理済み食品を使った食生活でハッピーに」

2025年03月20日(木) 19時34分 更新

みなさんは「調理定年」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

東京家政大学の樋口恵子(ひぐち・けいこ)名誉教授が提唱する考え方で、いま、シニア層から支持を集めているんです。

健康を維持するうえで欠かせない、毎日の食事。

でも体力の限界を感じたら、手作りにはこだわらない。

そんな「調理定年」の考え方が広がりつつあります。

博報堂生活総合研究所 夏山明美 上級研究員
「市販の総菜や冷凍食品・レトルト食品やテイクアウト・外食を活用して食事をとりましょうという考え方」

50代
「今は(調理を)しているが、のちのちはしなくなるんじゃない?年を取ったら」

60代
「手の込んだ料理はなかなか難しくなる」

会社勤めの人に定年があるなら、家族の食事づくりにだって定年があっていい。

あなたは何歳まで家で料理をしますか?「調理定年」を、もうひとホリします。

外食や総菜などを上手に取り入れ、食事づくりの負担を減らす「調理定年」。

みなさんは、どう感じているのでしょうか。



60代
「料理は頭を使うので。献立を考えて、作って、片づけて。だからできるだけやっていたい」



60代
「すぐに(調理定年を)導入していけるかは、経済的な面、家計の面のやりくりなども考えなければならない」

50代
「疲れてしまったら作りたくないから総菜を買ったりしている」



博報堂生活総合研究所が行った調査では、「料理を作るのが好き」と答えた人は1998年から6.8ポイント減少したのに対し、総菜などの「調理済み食品をよく使う」と答えた人は11.7ポイント上昇。

共働き世帯や高齢者に、料理を負担に感じる人が増えたとみられます。



こうしたニーズを取り込もうと、「コープさっぽろ」では、総菜や弁当の販売に力を入れています。

コープさっぽろなかのしま店 池邉梨乃 デリカチーフ
「細かいのも合わせると368種類くらいある。総菜を作っていたのはデリカ部門だけだったが、畜産部門・水産部門・農産部門も総菜を強化しようと、新鮮な素材をおいしく食べてもらうためにメニューを開発している」



さらに利用者が増えているのが夕食の「宅配サービス」です。

馬場佑里香記者
「こちらでは今日の夕食用の宅配弁当が作られています。みなさん手際よくお弁当を詰めていて、あっという間にお弁当が完成していきます」

管理栄養士が監修するバランスの取れた日替わりメニューを自宅まで配達してくれるこのサービス。

週1回から利用でき、毎日5種類の中から好きなメニューが選べます。

年間で延べ40万人ほどが利用していて、65歳以上が8割を占めています。

コープフーズ管理栄養士 佐藤菜摘さん
「栄養価も考えながら献立を立てることも大切だが、おいしいと思って食べていただきたいのでおいしさも重視して考えている」



こうした調理済みの総菜などを活用して数年前から「調理定年」を実践している主婦がいます。

石狩に住む二上朋子(にかみ・ともこ)さん、79歳です。

「調理定年」を実践 二上朋子さん(79)
「きのうも(スーパーに)行ってきた。私はコロッケを1個とマグロの刺身を買ってきて、夫は自分で買い物に行って好きに食べて好きに飲んでいるみたい。主婦は時間があるので3食しっかり作るのが決まりだろうと勝手に思っていた」



はじめは後ろめたさを感じたものの、夫婦で話し合って始めた「調理定年」。

いまは自由な時間が増え、趣味の茶道などを楽しんでいます。

「調理定年」を実践 二上朋子さん(79)
「外に出ていても、帰って食事の支度をしなければという気には全くならない。自分の分だけなのですごくラク」



「調理定年」が浸透し始めている背景について、専門家は…。

博報堂生活総合研究所 夏山明美 上級研究員
「今は共働きのほうが多い。従来型の専業主婦が多かった時代とは状況が変わってきている。うまく調理定年をして新しい調理済み食品を使った食生活スタイルを作っていくことは男性・女性ともにハッピーに導いてくれるやり方」

▼調理定年についてこんなデータもあります。
・ココロの調理寿命56歳5か月
・カラダの調理寿命63歳1か月

20歳から69歳までの男女1500人を対象にした調査です。

ここでは「調理寿命」という言い方をしていますが、気持ち的に面倒になって作らなくなるココロの調理寿命は平均で「56歳5か月」で、体力的につらくなり作らなくなるカラダの調理寿命は、平均で「63歳1か月」となっています。

快適な食生活を送るためにも、お総菜などを上手く活用してみてはいかがでしょうか。

北海道ニュース24