いま“立ち仕事”の現場に『イス』を導入する企業が増えている “座ってイイっす”を合言葉にデザインされた専用のイスとは?立ちっ放しの仕事から解放される時代へ
2025年01月28日(火) 18時45分 更新
みなさんは一日中、立ちっぱなしで働いた経験はありますか?辛い立ち仕事を、少しでも楽にしようという取り組みが始まっています。
レジを打つ「ピッピッ」という音が聞こえてくる、見慣れたスーパーの店内。でも、そこに居る店員さんの姿をよく見てみると…。
藤田忠士記者
「いま、客の会計が終わったところです…座りました、座りました!こういう感じなんですね。私、初めて見ました」
店員
「やっぱり足に負担がかかる。ずっと立っていると、むくんだりするので…」
なんと、レジには、店員用のイスが用意されていました。
立ち仕事であっても、イスに座れる…そんな時代がやって来るかもしれません。
アルバイト情報サイト『マイナビバイト』では、去年、立ち仕事にイスを導入しよう!と呼びかけるプロジェクトをスタート。
こんな映像も公開しています。
父
「そういえばさっき、レジの人、椅子に座ってたな」
娘
「別に普通じゃない。いいことじゃん」
父「普通かもな」
ナレーション:“座ってイイッス プロジェクト”始まってます…。
『マイナビバイト』が、立ち仕事をするパートやアルバイトを対象にアンケート調査を実施。
イスに座れないことの影響を聞いたところ「集中力が落ちてミスが起きた」「笑顔で接客できなくなった」という回答のほか、「辞めたいと考えるようになった」という声もありました。
企業側も、働きやすい職場環境を作ろうと、これまでに全国199社がプロジェクトに参加しました。
プロジェクトに参加した企業のの1つ、道南ラルズが運営する、函館の『スーパーアークス戸倉店』です。
去年10月、店のリニューアルにあわせて、試験的にレジにイスを導入しました。
レジを打つ時は、これまで通り、立っていますが、客が途切れるとイスに座ります。
店員
「普段は、ちょっと座っていいよと、会社から言ってもらっているので、だいぶ足も楽になりました」
“座ってイイッスプロジェクト”がデザインしたイスは。小さな座面に浅く腰掛ける形で、立ち上がる時もラクラクです。
イスの導入を、買い物客はどう見ているのでしょうか。
買い物客
「座っているのはいい。何とも思わない。違和感ないです」
以前、レジの仕事をしていたという女性は、自身の体験を重ねて、こう話します。
買い物客
「ちょっと腰掛ける所あればなと昔思っていた。今そういうの出来て、うらやましい」
イスがあることで、長く働いてもらえることを、店側は期待しています。
『スーパーアークス戸倉店 金濵泰明 店長
「膝が痛い、腰が痛い、立ちっ放しはきついと、退職する人が結構いましたので、今回、イスが導入されて(職場環境が)すごくよくなったかなと思います」
道南ラルズでは、今年4月から、さらにもう1店舗で、イスを導入する予定です。
そして、この動きは札幌でも…。
高橋伸幸記者
「ホテルの利用客を丁寧に迎えてくれるフロントですが、実はここにも、スタッフが座れるようにイスが用意されているんです」
ホテルビスタ札幌[大通] 北麻里子さん
「特に女性はパンプスを履いているので、足や腰に来るので、苦痛を我慢した状態で、仕事をすることも多々あります」
ホテルビスタでは、従業員の健康を大事にしようと、札幌をはじめ、全国15のホテル全てで、フロントにイスを導入。
混雑する時間帯を除き、接客をしていない時は、イスに座れるようにしました。
ホテルビスタ札幌大通 北麻里子さん
「疲れが軽減するようになり、その分、お客様によりよいサービスを提供できると思います」
立ち仕事を支える小さなイスが、誰もが働きやすい職場作りに一役買っています。
◇《スタジオ解説》
森田絹子キャスター)
取材した『ホテルビスタ』では、妊娠中の女性スタッフもいて、合間にちょっと座れることが助けになっているそうです。
今回、取材したスーパーやホテルでは、これまでのところ、利用客からのクレームはないとのことです。
いま、さまざまな立ち仕事の現場に、イスが導入され始めています。
①【山形県・警備会社】
・交通誘導の警備員にイスを用意。車が来ないときなどに、安全に配慮しながら座る。
②【長崎県・諫早市役所】
・ロビーの案内窓口の担当者が、市民の応対がない時に座る。
③【沖縄県・にぬふぁ保育園】
・調理場で、野菜を切ったり、洗い物をしたりする人が座って作業。
国の労働安全衛生規則では『立ち仕事で座る機会がある場合は、事業者がイスを備える』ことが定められています。
企業側が、もっと意識を変えていかなければならない、そんな必要に迫られている時代とも言えそうです。
堀啓知キャスター)
労働力不足が深刻化する中、年齢を重ねた世代も活躍する時代になっているので、従来の考え方をアップデートしていく必要がありますね。
何よりも“座ること”で、結果、元気に働くことができるわけで、そうなれば、仕事そのものの質も向上していくわけですから、どんどん広がっていくことは、誰にとってもプラス効果がありそうです。