旭川市に永住帰国の降籏英捷さん(81)サハリンで終戦迎えウクライナへ…戦時下の家族に思いをはせ「平和な空が広がるように」
2025年02月19日(水) 18時54分 更新
ロシア軍がウクライナに侵攻してまもなく3年が経ちます。
サハリンの残留日本人で、3年前の侵攻で北海道旭川市に永住帰国した男性は、ウクライナに残る孫たちを思い、戦争の早期終結を願い続けています。
食卓に並ぶのは、どれもウクライナで食べていた料理です。
降籏英捷(ふりはた・ひでかつ)さん81歳です。
降籏さんは、1歳のとき「樺太」=いまのロシア・サハリンで終戦を迎えました。
しかし、一家は戦後の混乱で日本に引き揚げることができず、やむなく当時のソビエト国籍を取得。
そして、結婚を機にウクライナに移住し、妻と長男に先立たれたあとも孫たちのそばで暮らしていました。しかし…
3年前の2月24日ロシア軍がウクライナに侵攻。降籏さんは、住んでいた西部のジトーミルにも戦火が広がったため、翌月に北海道旭川市に住む妹のもとに避難し、そのまま永住帰国しました。
・降籏英捷さん(81)
「もしもしデニスか。(調子は)いいよ」
電話の相手は、ジトーミルで暮らす孫のデニスさんです。
・降籏英捷さん(81)
「(雪は)積もっている。きのうの夜中に降った」
いま、ジトーミルへの攻撃は落ち着いていますが、時々停電がありデニスさんはバッテリーから給電できる装置を自分で作って備えています。
戦時下で育つ2人のひ孫。春には、もう一人ひ孫が生まれる予定です。
・降籏英捷さん(81)
「またウクライナ、ジト―ミルに行きたい。『平和』は私にとっても皆にとっても、戦争がなく平和な空が広がり怖がらずに外に出られること」
侵攻からまもなく3年。
今月に入り、アメリカとロシアのあいだで戦闘終結に向けた協議が始まりましたが、ウクライナ側は「ウクライナ抜きでの協議は受け入れられない」と懸念を示しています。
・降籏英捷さん(81)
「私はいつか(ウクライナとロシアの)交渉が始まり、何らかの形で終結すると思う。終結させるためには、ウクライナの国土の一部を渡さざるをえないと思う。『ロシアは占領した土地を返さなければならない』という声は多いが、どうなるかは分からない」
ウクライナに平和な空が戻るのはいつになるのか。降籏さんはその日を願いながら情勢の行方を見つめています。