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当時20歳と17歳の女性2人焼死で自殺ほう助 26歳の女に懲役3年求刑「1人は怖いので誰か」買い物や食事をしホテルに2泊後に車内で…弁護側は義母からの暴力など生い立ちは斟酌できる

2024年09月20日(金) 21時15分 更新

井上沙織被告(26)
井上沙織被告(26)

今年3月、北海道江別市の公園の駐車場で、焼けた車から2人の女性が遺体で見つかった事件の裁判で、2人の自殺を手助けした罪に問われている女に対し、検察側は懲役3年を求刑しました。

寿都町の無職、井上沙織被告26歳は今年3月、SNSで自殺希望者として知り合った、当時20歳の女子大学生と、当時17歳の女子高校生と一緒に、自殺を図ろうとした際、練炭の火が車の中に燃え移り、2人の自殺を手助けした罪に問われています。

女性2人が焼死、井上容疑者が倒れていた駐車場(18日午後、江別市)
札幌地裁で開かれた20日の裁判で検察は、2人の自殺の実現を高めたのは被告人のほう助行為があってのことで、被告人は3人の中でも年長者であり、2人の自殺を止める説得をするべき立場にあったにも関わらず、自殺に加担した責任は重いと指摘し、井上被告に懲役3年を求刑しました。

女性2人の死因は焼死
一方、弁護側は、井上被告は幼少期に義理の母親から暴力を受けるなどし「生きていても仕方がない」と考えてしまうことが多く、生い立ちや家庭環境は、斟酌することができると述べました。

井上被告「2人の十字架を背負って生きていきます」
そして事件の重大性を認識し、正面から向き合っているとして執行猶予が付いた判決を求めました。

現場は江別市の野幌森林公園の駐車場
裁判長から発言を促された井上被告は「亡くなった2人の家族や友人に対しての気持ちを述べたいです」と話し、傍聴席に向かって次のように述べました。

全焼した車は井上被告が普段使用していたもの
「言葉を伝えるのが遅くなり、申し訳ありません。2人をあのような最期にしてしまったこと、2人をサポートできなかったことに対してとても憎んでいます。私はこれから生きていくにあたり、2人の十字架を背負って生きていきます」



判決は、来月21日に言い渡されます。

井上被告の自宅(今年3月 寿都町)
■初公判の検察の冒頭陳述

《事件前の3人の行動》
・井上被告は人間関係に悩んでいた今年1月17日ごろ、SNSで2人と知り合う
・井上被告はSNSに「死ぬとき1人は怖いので誰か一緒に死にませんか」などと投稿
・3人はSNSで自殺の方法などを話し合う
・井上被告は、インターネットのショッピングサイトで練炭コンロなどを購入
・3月15日、井上被告は新千歳空港で2人と合流
・3人は、井上被告が予約していた札幌市内のホテルに宿泊
・翌日3人は札幌市内で買い物や食事をする
・3月17日、3人は2泊したホテルをチェックアウト
・買い物や食事をした後、犯行現場を下見

弁護側は「生きていても仕方がない」と考えてしまうことが多く、生い立ちや家庭環境は斟酌できると主張
《犯行状況》
・3人は井上被告が運転する車で現場に到着
・練炭の熱で車内のインストルメントパネル部分が熱せられ、可燃性ガスが発生
・井上被告が車外に出ようとドアを開けると急激に燃焼
・車内にいた2人が焼死