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より罪の重い「強盗致死罪」で交際相手の20歳の女らを起訴【大学生集団暴行死】交際トラブルはなぜエスカレートしたのか 北海道江別市

2024年12月06日(金) 19時21分 更新

10月、北海道江別市の公園で、大学生の長谷知哉さんが衣類や所持品を持ち去られ、死亡しているのが見つかった事件。

札幌地検は6日、長谷さんと交際していた、八木原亜麻被告とその友人の川村葉音被告を「強盗致死」などの罪で起訴しました。



起訴状などによりますと、2人は、10月25日夜から26日未明にかけて、16歳から18歳の少年ら4人と共謀し、長谷さんに殴る蹴るなどの暴行を加えたうえ、財布とカード類を奪い、そのカードでタバコを購入するなどした罪に問われています。



2人は傷害致死や強盗などの容疑で送検されていましたが、地検は、より罪の重い「強盗致死」での起訴に踏み切りました。

認否については明らかにしていません。

金子将也 記者
「事件から6週間が経った現場の公園です。先日まで花や飲み物が手向けられていましたが、いまは片づけられ、雪がうっすらと降り積もっています」

事件から6週間。犯行のすさまじさが明らかになってきました。

捜査関係者によりますと、少年らの暴行は数時間にわたり、殴る蹴るは数百発に及んだといいます。

さらに、暴行の様子や、長谷さんに謝罪させる動画をスマートフォンで撮影していたということです。

逮捕された男女6人
「全部出せ、全額」「クレジットカードもな。銀行カードあんのか」

暴行を続けながら、八木原被告、川村被告も含め6人で、キャッシュカードの暗証番号を聞き出していました。

金子将也 記者
「コンビニの防犯カメラには、川村容疑者と男らがATMで現金を下ろす様子が写っていました。全員フードを被った状態で、3分ほど滞在していたということです」

捜査関係者によりますと、八木原被告を除く、川村被告と少年らは、長谷さんの口座から金を下ろした後、一度、現場の公園に戻り、その後、江別市内のラーメン店に立ち寄っていたことが新たにわかりました。



ラーメンの代金は引き出した金で支払ったとみられています。

事件のきっかけは何だったのか。八木原被告は事件前、知人にこう問いかけていました。

八木原被告(事件前 知人に)
「彼氏に「1年後別れたい」って言われたら、あなただったらどうする?」



長谷さんと今年に入ってから交際していた八木原被告。

しかし、八木原被告は長谷さんから就職活動に伴って、交際の期限を示すような「別れ話」をされたと、説明しているということです。



被告2人の友人
「亜麻(八木原容疑者)については、どちらかというと彼氏と交際していて、けんかになって電話した時にすごい怒っている。強い口調になっているなというのを見たりしていた」



事件の直前、八木原被告は長谷さんと2人で会い、その後、川村被告や少年らと合流。現場の公園に連れ出しました。

川村被告は、警察の調べに「八木原被告に対して、長谷さんから謝らせたいと思っていた」という趣旨の供述をしていたということです。



被告2人の友人
「(川村被告は)友達に何かあったら許せないからって、(川村被告は)友達のためなら手を出しちゃうって感じで、やれるだけやっちゃうって葉音(川村被告)はそういうタイプ」



ともに暴行したとされる少年ら4人は、川村被告の交際相手とその友人らで、死亡した長谷さんと面識のなかった人物も、複数いるとみられています。

長谷さんの交際相手だった八木原被告、そしてその友人の川村被告は、長谷さんを暴行し、死亡させたうえ、カードなどを奪った「強盗致死」、奪ったクレジットカードでタバコや弁当など購入した「詐欺」「詐欺未遂」、さらに、川村被告のみキャッシュカードで計12万7000円を引き出す「窃盗」の罪で起訴されました。

捜査関係者によりますと、川村被告はこれまでの警察の調べで、長谷さんを暴行したことについて認めているということです。

一方、八木原被告は警察の調べに「自分は暴行には加担していない、笑うなどしてあおった」と話していたということですが、札幌地検は、八木原被告についても。直接暴行を加えたとみられる少年らと共謀が認められると判断したことになります。

2人が当初、検察に身柄を送られたときの容疑が「傷害致死」でしたが、そのあと「強盗」などで再逮捕となっています。

今回のポイントは、逮捕容疑よりも、さらに罪の重い「強盗致死罪」が適用されるかどうかでした。

「強盗致死罪」の罰則は、死刑または無期懲役に限られ、数ある犯罪の中でも重い罪のひとつです。

今回の容疑ですが、2人は、最初の送検で「傷害致死」。その後「強盗」などで再逮捕されていましたが、起訴の段階で、より罪の重い「強盗致死」が適用されました。

この検察の判断について、元検察官の中村浩士弁護士に見解を聞きました。

中村浩士弁護士
「キャッシュカードを持っている者が無理やり暴行、脅迫を加えて暗証番号を聞き出した。これは強盗罪の成立を認めるという裁判例がすでに存在しています。ほかの財物、財布を奪った、これらの点がすべて金品目的だという風に評価されたんだと思います」

「スマートフォンの動画にどこまで映っていたのか。動画の中に『金を出せ』などの言動が映っているあとに激しく暴行を加えていたならば、強盗致死罪での起訴というのはハードルが高くない。強盗致死罪が成立する場合には、手を出したかどうか、その軽重に関わらず、原則 無期懲役の判決になることが予想されます」

中村弁護士によりますと、

・強盗致死罪が成立するかが最大の争点
・有罪の場合、賠償で示談するなど、かなりのことをしないと無期懲役から有期懲役に量刑が落ちることは難しい
・他の少年たちも強盗致死罪が成立する前提で家庭裁判所へ送ることを検察は考えているだろう
   
と話しています。

北海道ニュース24