希少がんと向き合い、歌い続けるシンガーソングライター 佐脇由佳さん(42)「泣いて、笑って、歌って、生きて…」“がんサバイバー”からのメッセージ
2025年01月25日(土) 08時00分 更新
今日ドキッ!で放送
“がんサバイバー”という言葉をご存知でしょうか。がんを体験し、不安を乗り越えながら、今を前向きに生きる人たちのことです。
症例が少なく治療法も確立されていない稀ながん、希少少がんと向き合いながら活躍する、シンガーソングライターのメッセージです。
■《8年前に感じた体の異変…希少がんの宣告》
シンガーソングライター・佐脇由佳(さわき・ゆか)さん42歳。
札幌と帯広を拠点に、自らつくった歌を、北海道各地に届ける活動をしています。
歌で、同じ苦しみを抱える人の力になりたい。歌は、自分が生きている実感でもあります。
身体の異変を感じたのは、2017年のことでした。
佐脇由佳さん(42)
「お腹触ってたらコロンって指に当たって。近くの産婦人科に行って診てもらったら、女性は結構(子宮筋腫を)持っているから、大体は良性だから、半年後、診せにおいでみたいな感じで」
子宮筋腫―。
30代女性の3人に1人、40代で2人に1人という割合で発症する、婦人科の疾患です。
しかし、半年が経って、再び診察を受けに産婦人科を訪ねると、思いもよらない言葉を告げられます。
佐脇由佳さん
「2個並べて画像を見せてもらって『こっちあなた、こっち亡くなった患者さんなんだけれど、あなた放っていたら、亡くなるよ』みたいなことを結構、バシッて言われて」
体を蝕んでいたのは、子宮内膜間質肉腫でした。
人口10万人あたり、6例未満の稀ながん、希少がんの一つです。患者数が少なく、治療法も確立されていません。
佐脇由佳さん
「希少がんなので、症例数が少なくて、先もあまりわからないみたいで。ダメになっちゃう可能性が高い、転移先もあるから」
■《先の見えない中で、家族と共に生きる―》
手術の後、体の内側から、曲が湧きあがる感覚になったという佐脇さん。
そんなオリジナルソングをファーストアルバム(『心に太陽 くちびるに歌を』)にまとめました。
佐脇由佳さんのオリジナル曲
♪「もしも今微笑み合えたら 憎しみは消えていくかな…」
この歌で、バイオリンを務めたのは、長女の花奈実(かなみ)さん17歳です。母のガンが見つかった時、小学校6年生でした。
長女 花奈実さん(17)
「小さかったので、よくわからないのもありましたけれど、今後も、いろんなところで、一緒に演奏したりとかしていければいいなと思います」
佐脇さんの家族は、家で過ごす時間のほとんどを、一緒にリビングで過ごすようになりました。
長男 遼亮さん(15)
「治ることに越したことはないんですけれど、難しいこともあるので、 どう一緒に生きていくかを考えることが大事かなって思ってます。みんなで楽しく生活出来たらなって」
■《再発、子宮の全摘出…転移も「絶望を見た」》
手術から3年、がんが再発します。
佐脇由佳さん(42)
「進行が早かったみたいで『今回は子宮は残せません、付属器官ごと全部切除です』って言われて。初めて泣き崩れるっていう経験をしたのを、今でも覚えていて」
ガンは、肺にも転移していたのです。
佐脇由佳さん
「大動脈を通じて、全身にガン細胞がまわってるって、その時に説明を受けて、だからもう…全身どこからガンが出てくるかわからないという、ダメなのかもしれないっていう、絶望を見た」
札幌を中心に活動していた由佳さん。
手術の後、自然に囲まれた開放的な場所に居たいという思いから、出身地の帯広を、新たな活動拠点に加えました。
■《命をテーマに、自分を見つめ、歌い続ける―》
翌年“命”をテーマにつくった曲『今を生きる』。
プロモーションビデオは、自然が豊かな浦幌町で撮影し、“心の不安”や“生きる思い”を歌詞に込めました。
佐脇由佳さんのオリジナル曲
♪「今を生きる 弱さを抱えながら もがき苦しみながら 願いたいの この涙のあとに虹がかかる明日を」
佐脇さんが3週間に一度足を運ぶ先は、南富良野町の幾寅です。
クリニックの心理カウンセラーとの面談で、心の持ちようを知り、免疫力をあげるため、針治療や漢方薬の処方を受けています。
佐脇由佳さん(42)
「負けないように戦わなきゃって、気張って頑張っていたことが、勝とうとしなくても、病気が体の元気さに抑えられていれば、平和に共存できるんだよってことを学んだりして」
大学時代は、ミュージカル俳優を目指していた佐脇さん。自宅では、ボイストレーナーとしても活動しています。
生徒は3歳から70代まで…佐脇さんの明るさに、みんなが元気を貰っています。
60代女性(芽室町)
「楽しいです。力が入って歌っていたんですけれど、顎が上がっちゃったりして、それをなるべく治せるように意識して、歌えるようにちょっとはなったかな…先生のおかげです」
50代女性(音更町)
「先生の持つ明るいパワーっていうんですかね、それがすごい伝わってきて、歌うことっては、本当に楽しいなというのが実感できます」
■《“泣いて、笑って、歌って、生きる”佐藤由佳さんが歩む道―》
佐脇由佳さん(42)
「私のモットーなんです、泣いて、笑って、歌って、生きてっていうの…」
「命が循環する感じがするんですよね…歌ってると。それをみんなにも体験してもらいたいし、私も全力でやるよっていうのが、今後の活動かな」
佐脇さんのオリジナル曲『今を生きる』
♪「このトンネル抜けたら晴れるのかな 一緒に笑えるかな」
トンネルの先に待っているのは「猛吹雪」なのか、「晴れ」なのか。今をどう生きるべきか・・・・佐脇さんは歌い続けます。
■《“今をどう生きるか”がんサバイバーからの問い―》
森田絹子キャスター)
先週末、北海道小樽市で開かれたイベントで、佐脇さんはオリジナルの曲を披露しました。
「人としての強さ」が伝わってくる、佐脇さんの歌詞や言葉。精力的に活動できることが、何よりも楽しいと話しています。
堀啓知キャスター)
佐脇さんは転移で手術ができず、副作用がつらいため、漢方や訪問ケアなどで、緩和しているということです。
そこには「笑える日をつくる生き方をしたい」との思いが込められています。
森田絹子キャスター)
佐脇さんは、2月9日には、帯広市で、ほかのアーティストとともに、今年初めてのライブを行います。
そのため、いまは、新曲披露に向けた日々を送っているとのことです。
堀啓知キャスター)
経験が紡ぎだす佐脇さんの歌は「今をどう生きるか」は、自分で選べますよ…と問いかけています。