弁護士とのやり取りを記録した「被疑者ノート」を警察が持ち去ったのは『黙秘権』の侵害、北海道に25万円の賠償命令 札幌地裁
2024年12月03日(火) 20時52分 更新
札幌市で当時2歳の長男を監禁したとして逮捕されたあと不起訴になった女性と当時の弁護士が、取り調べの状況を記録したノートを警察官に無断で持ち出されたなどとして北海道を訴えた裁判で、札幌地裁は原告側の訴えを一部認め慰謝料などあわせて25万円の支払いを命じました。
2021年6月から7月にかけて行われた警察の取り調べの映像には、以下のようなやり取りが記録されています。
警察官
「言わなきゃいけないなとか、私たちに伝えなきゃいけないなっていうこと、何かあるかい?」
女性
「何も言いたくないです」
映像は、今年1月、札幌地裁の法廷で公開されました。
黙秘する女性に、警察官が質問を繰り返す様子などが記録されていました。
警察官
「いらない子だったの?じゃあ産まなきゃよかったんじゃない?その程度の覚悟で育てていたの?」
女性は2021年6月、当時2歳の息子を監禁した疑いで逮捕され、息子はその後、死亡しました。
女性は不起訴処分になりましたが、警察の取り調べ中に自白を強要された上、弁護士とのやり取りを記録した「被疑者ノート」を持ち去られ、黙秘権などを侵害されたとして、北海道に160万円の損害賠償を求めています。
これまでの裁判で、こうした原告側の訴えに対し、北海道は「違法な捜査ではない」として請求の棄却を求めていました。
3日の判決で札幌地裁は、「被疑者ノート」の持ち去りについて「原告らの接見交通権を違法に侵害した」などと指摘。
一方、「捜査官らの発言は、いずれも任意の供述を促す範囲に留まる」、「ノートなどの点検は、具体的な記載内容の点検が行われたとは認められない」などとして、原告側にあわせて25万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
原告代理人 吉田康紀弁護士
「被疑者ノートの持ち去りに関しては、黙秘権の侵害まで認めていて、そこはすごくよかった。取り調べの違法のところが認められなかったのは残念。罪を犯した人であっても、何を言ってもいいということにはならない」
判決を受けて道警は、「内容を精査し、対応を検討して参ります」とコメントしています。