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札幌の“救急車”出動件数は去年12万件…過去の出動件数を毎年更新する状況に苦悩する現場 入院必要なしの軽症者の利用に“一部有料化”の動きも

2024年06月25日(火) 19時34分 更新

 救急車の”一部有料化”、あなたはどう思いますか?

みなさんは救急車を利用したことがありますか?

三重県松阪(まつさか)市の3つの基幹病院では、6月から救急搬送に関する新しいルールが導入されました。



救急車を呼んで病院に運ばれたものの、入院が必要なかった一部の患者から、病院が7700円を徴収するというものです。

三重県・松阪市民は…
「とりあえず(救急車を)タダだから呼んでおこうというのがかなり多い。それが減るのでいいんじゃないかな」

「金額的には少し高いように感じますけれど…しょうがないですかね」

”有料化”の流れは、全国に広がるのでしょうか?救急車の“適正利用”について「もうひとホリ」します。

三重県松阪市では去年、救急車の出動件数が、過去最多の1万6000件に上り、20年前から倍増しています。



一方で、緊急性がない出動による救急医療のひっ迫が”有料化”導入のきっかけになりました。

救急搬送の一部”有料化”をめぐる議論に、札幌市民は…。

30代女性
「無料であっていただきたい…命に関わることなので。それは国で守っていただけたらうれしい」

70代男性
「救急状態でない場合は、気軽に呼ばれても困るなっていう。なんか線引きは難しい気がする」

50代男性
「(救急車を利用は?)あります…去年。ちょうど1年前。(なぜ救急車に?)心筋梗塞になっちゃったんですよ」
「僕は助けてもらいましたけれど、もしその時に大した用でもないのに、救急車を呼んでる人がたくさんいて、自分の救急車が遅れたら…と考えたら、無駄な利用を減らす意味では(有料は)効果的だと思う」

みなさん、意見はさまざまです。全国的に増加傾向にある救急車の出動件数。札幌の現状はどうなのでしょうか?



札幌市消防局救急課 阿波俊也さん
「去年は1年間で、約12万件ほどの出動があった。コロナ禍で一旦、出動件数落ち込んだが、基本的には毎年毎年、過去最多を更新し続けている状況」



去年、札幌市で救急車が出動した件数は、およそ12万件。そのうち入院を必要としない軽症が半数を占めています。

救急要請の実態について、救急隊員として働く北海道内の男性は、取材に対して、こう答えています。

《現役救急隊員の証言》
「現場で実際に通報者と接すると、割れた陶器で、指先の皮膚が軽く傷がついただけで、救急搬送を希望される方がいたり、他の人よりも早く診察してもらえるからと勘違いされて、病院の待合室に救急車を呼ばれる方もいました」

さらには、こんなケースも…。

《現役救急隊員の証言》
「なかには“希望の病院に連れて行け!”と搬送者が暴れて揉みあいになり、相手に殴られたり、繁華街で酔っ払いに暴力を振るわれた経験のある救急隊員もいます」



救急車の出動件数が増える一方、通報を受けてから現場に到着するまでの時間は年々、遅くなっていると言います。

札幌市消防局救急課 阿波俊也さん
「原因としては、やはり出動が増えて、要請があった場合、近くの救急車が出動中であることが増えて、より遠くから救急車が来るということになって、結果的に現状、到着時間が伸びていくという状況」

「必ずしも。救急車じゃなくても、タクシーで医療機関を受診することも、可能だったかな…と思うような事案は確かにあるかなと思う」

出動数の増加で、救急車の到着時間が遅くなって現状があります。札幌市消防局では、こんなデータが公表されています。
                     
◆《救急車の現場到達時間(平均)札幌市消防局》



札幌市消防局によりますと、救急車が出動から現場に到着するまでの平均時間は、2012年の【6.3分】から、2022年は【8.4分】にのびています。

この間、出動数も直近の10年間で【1.4倍】に増えていて、救急車の活動に影響が出ています。
           
救急車の到着が遅れる原因は、出動件数の増加だけではありません。搬送中の事故にも注意が必要です。



去年6月、後志の倶知安町の交差点で、緊急走行中の救急車が、乗用車と衝突する事故が起き、搬送されていた男性と、乗用車を運転していた女性が軽いけがをしました。

救急車が近づいてきた際、交差点の走行には、特に注意が必要です。

60代女性
「寄りますよ。止まります。近づいてきたときには、ハザード付けて、隣に寄せて止まります」
30代男性
「救急車が通る状態を見て、右なり左なりに寄って空けて、救急車が通り越すまでは止まって、道を譲るって感じ」
70代男性
「私は、できるだけ左側に寄って速度を落とす。ただみんなボンボン抜いていくんで、逆に今は、その方が邪魔かなと迷う」

救急車が接近してきた場合にどうすればいいのでしょうか。

札幌市消防局救急課 阿波俊也さん
「後ろから救急車が接近していると思ったら、まず速やかに左側に寄って、停車していただきたい」

「まだ追いつかれない、余裕があると思って、走行を続けてしまう方もいらっしゃるが、救急車が交差点の中に進入できないような、詰まってしまう状況が考えられるので、まず気が付いた時点で速やかに左に寄って、救急車を先に行かせていただきたいなと思う」

◆《 緊急自動車の優先(道交法)》 
救急車を含む、緊急車両に道を譲るのはマナーではなく「道路交通法」で定められているドライバーの義務です。



救急車の走行を妨害すれば、交通違反になり、反則金は普通車で6000円、違反点数は1点となります。

緊急車両が近づいてきた場合の対応について「道路交通法」では『車両は交差点を避け、かつ道路の左側に寄って、一時停止しなければならない』としています。

いつ自分や家族が救急車に乗る側の立場になるか分かりません。改めてですが、救急車のサイレンが聞こえたら譲り合う、助け合う、そうした思いやりの気持ちを大切にしたいと思います。