「正義の戦争なんてあるわけない」シベリア抑留から帰還の99歳が高校生に…【戦後80年】語り継ぐ市民団体「体験者の声を胸に刻んで」抑留の証言を残す活動続く
2025年04月10日(木) 19時18分 更新
第2次世界大戦後、旧ソビエト軍によって日本兵などが強制連行されたシベリア抑留。戦後80年を迎える今年、体験者の証言を残す活動が札幌市で始まっています。
札幌の神馬文男さん、99歳。
約60万人の日本人が強制連行され、マイナス30℃を下回る寒さや食糧不足の中での強制労働で5万5000人が死亡したシベリア抑留の生存者です。
去年の暮れ、札幌南高校の定時制の生徒たちに自身の体験を語りました。
神馬文男さん(99)(2024年12月 札幌南高校)
「(旧ソビエト兵が)日本人が住んでいた家に土足で入り込んできて、金品を奪うんですよ」
海軍の偵察兵として旧ソビエトとの国境に近い朝鮮半島の羅津基地に赴き、19歳で終戦を迎えた神馬さん。
目の前の生徒たちに、当時の自分の姿を重ねます。
神馬文男さん(99)
「爆弾抱いて『アメリカの船に突っ込め』と言われたんだよ。いい戦争なんて絶対にないんだから、だまされるんじゃないよ、自分の人生だ。正義の戦争なんてあるわけない、名誉の戦死なんてあるわけないんだ」
男子生徒
「心の底から伝えたいという気持ちがすごく伝わってきた」
女子生徒
「自分を大切にしてほしいというのは、本当にそうだなと思うので、これからも自分自身を大切にしていきたい」
神馬文男さん(99)
「これが最後ですねぼくは、もうできない」
シベリア抑留を体験した人たちの証言を残す取り組みがいま、札幌で始まっています。
シベリア抑留を語り継ぐ市民団体の会長を務める建部奈津子さんです。
建部奈津子さん
「コロナの前は活発に講演会開催していたが、コロナを挟んでからは自粛傾向にある」
抑留を体験した人は年々減り、いま語り部をしているのは99歳と98歳のあわせて3人だけ。
このため、建部さんらはいま抑留体験をまとめた記念誌の発行に向けて準備を進めています。
建部奈津子さん
「実際の体験者の声がすごく貴重なので、胸に刻んでいただいて、自分の身に起きたらどうなるんだろうと考えるきっかけになってほしい」
戦後80年。悲惨な体験が歴史の隙間に埋もれてしまわないよう、取り組みが続いています。