【すすきの首切断】「なぜ首を拾っただけなのに外に出してもらえない」瑠奈被告の“声”を母浩子被告が証言、父修被告“絶望”への恐れから「警察に突き出すことだけはできなかった」
2025年02月09日(日) 08時48分 更新
![幼いころの田村瑠奈被告](picture/7a7edc6994c42bf0121a6025c6398e74L.jpg)
2023年7月、札幌市の歓楽街すすきので、当時62歳の男性がホテルで殺害され、首を切断された事件で、殺人ほう助などの罪に問われた医師の田村修被告(61)の裁判員裁判の第7回(2月4日)、第8回(2月5日)、第9回(2月6日)公判が、札幌地方裁判所で開かれました。
公判で、修被告は娘の犯行について「理由を聞くのを諦めてしまった」と語る一方、「自分は遺体には触れておらず撮影しただけだ」と語り、犯行を手助けする意思はなかったと主張しました。
また母親の浩子被告(62)の証人尋問が行われ、瑠奈被告(31)の弁護士から「瑠奈被告は『首を拾っただけなのにどうして出られないのか』と言っている」と聞いていると明かしました。田村瑠奈被告(左)と父修被告(右)
■瑠奈被告「首を拾っただけなのにどうして出られないのか」
7日、弁護人からの被告人質問で修被告は、瑠奈被告が持ち帰った男性の頭の部分を初めて見たのはいつかと問われると、「事件の報道があった7月3日から、撮影が行われるまでのどこかとしか言えない」と話しました。第7回公判の修被告スケッチ(2月4日札幌地裁)
その際、なぜ瑠奈被告に自宅に“頭部”がある異常な理由を聞かなかったのか問われると、「うーん」と少し悩んだ様子のあと、「普段から通常の親子関係としての会話が成立しづらく、聞いても理解可能な答えが返ってくるとは思えなかったので、聞くことを諦めてしまった」と述べました。
そして瑠奈被告が犯行に至った理由については「精神的な問題が相当影響しているのではないかと思います」と話しました。修被告(左)瑠奈被告(中)浩子被告のスケッチ(右)
また母親の浩子被告(62)の証人尋問が行われ、瑠奈被告の弁護士から「瑠奈被告は動機はおろか、自分が殺人を犯したということも言っていない」「瑠奈被告は『なぜ首を拾っただけなのに外に出してもらえないのか』と言っている」と聞いていると証言。
修被告も、「(瑠奈被告は)事件を起こしたことは全く認識していない」と瑠奈被告の弁護士から聞いていると述べました。第8回公判の修スケッチ(2月5日札幌地裁)
■「親として警察に突き出すことだけはできなかった」
8日の被告人質問では、弁護人から瑠奈被告が自宅の浴室で損壊行為を行っている際にペンライトで照らしていたことについて聞かれ、修被告は「ビデオのピントを合わせるために照らした。作業がやりにくいから照らしたわけではない。カメラが回っていない間も、自分は遺体のどこにも触っていない」と証言し、犯行を手助けする意思はなかったことを主張しました。現場のホテル(HPより)
一方、検察側から事件の数週間前に被害者と再び会うと言った瑠奈被告に対し、なぜ会わないよう咎めなかったか問われ「長く引きこもりで一人で何もできない娘が、一人でクラブに入ってアポまで取った。好ましくないことであっても、咎めることは思いつかなかった」と述べました。瑠奈被告(31)と修被告(61)
そして弁護人から、事件後に自ら通報できなかった理由を問われると「瑠奈にとって、両親しか世界の窓口がない、本人を警察に突き出すことはできなかった、親が突き出したと本人が理解すると絶望につながると思った、親としては突き出すことだけはできなかった」と話し、早く警察に来てほしかったと当時の心情を明らかにしました。浩子被告(左)瑠奈被告(中)修被告(右)
■「(妻の)浩子と一生背負って生きていく」
9日、検察側は、修被告のスマートフォンに「殺人時効」の検索履歴が残っていたことについて問われ、修被告は「私がしていないとなると娘が検索したことになります」と述べ、瑠奈被告の犯行計画を事前に知っていたのではないかとする検察側の指摘を否定しました。
また自首の説得をしなかった理由を検察側からも問われ「娘が今後、回復したときに親に通報されたことをどう乗り越えるのかを考えたら、通報できなかった」と説明しました。田村親子の自宅(札幌市厚別区)
裁判長から「今後の人生をどう過ごしていくのか」と問われ、修被告は「被害に遭った人への被害弁償として、社会でどのような役割を与えてもらえるかによるが、(妻の)浩子とともに一生背負って生きていく所存であります」と述べました。
次回の公判は18日で、検察側の論告求刑と弁護側の最終弁論が行われ、結審する見通しです。