【独自】傷害致死疑いの八木原亜麻容疑者(20)過去の文集で看護師への夢語る「やさしい気持ちで助けたい」男子大学生集団暴行死…元検察官は“強盗致死罪”の可能性も指摘
2024年11月01日(金) 18時16分 更新
北海道江別市で、男子大学生が集団暴行を受け死亡した事件。
犯行の詳細が明らかになってきました。
堀内大輝アナウンサー
「犯行現場近くの、この国道を通って、5人は金を下ろすに行ったとみられています。その様子を防犯カメラが捉えていました。」
これは、10月26日午前3時すぎ、江別市内の国道沿いにある防犯カメラの映像です。
暴行後に、容疑者5人が、乗ったとみられる車が、札幌市方向へ走って行きます。
この約3時間後、大学生の長谷知哉さん(20)が、江別の公園で全裸の状態で発見され、その後死亡が確認されました。
この事件では、交際相手の八木原亜麻容疑者(20)と川村葉音容疑者(20)ら、少年を含むあわせて6人が逮捕されています。
捜査関係者によりますと、八木原容疑者を除く5人のうち数人が、「被害者のキャッシュカードで現金を引き出した」「現金を分け合った」という趣旨の話をしていて、札幌市内のコンビエンスストアの防犯カメラには、容疑者らがATMで現金を下ろす様子が映っていました。
暗証番号を暴行中に聞き出し、十数万円を奪ったとみられています。
一方、長谷さんのものとみられる衣服やリュックなどが、札幌市内の川から見つかっていたことが新たにわかりました。
これまでの調べに八木原容疑者は、「長谷さんと交際関係をめぐりトラブルになった」という趣旨の供述をしていて、警察は別れ話のもつれがあったとみています。
八木原容疑者の中学時代の知人
「自分で誰かのことをいじめようとしていじめられるタイプじゃなくて、ちょっと隅でいる子みたいな、何も意見言えないタイプなんじゃないか」
これは、8年前、小学6年生だった八木原容疑者が“20年後の自分”に向けて書いた手紙です。
八木原容疑者の小学生時代の文集より
「20年後の私は、何をしていますか?」
「私は将来看護師になり、病気の人やけがをした人をやさしい気持ちで助けたいと思っています」
「いつまでも明るく優しい人になれるよう頑張ります」
「人を助けたい」と夢を語った少女に何があったのか…。
逮捕された6人のうち、八木原容疑者と川村容疑者を除く4人と、長谷さんとの間に面識があったかどうかはわかっておらず、警察は6人の動機や犯行に至った経緯を慎重に捜査しています。
捜査が進む中で今回、被害者のカードで現金が引き出されていたとみられることがわかりました。
これによって、今回の事件で6人が逮捕されることとなった“容疑”が変わってくる可能性が出てきました。
現在の容疑は、長谷さんを暴行して死亡させた、つまり、「傷害致死」というものです。
しかし、現金を引き出したとみられることで、「強盗致死」というものに切り替わる可能性があります。
・傷害致死:3年以上の有期懲役
・強盗致死:無期懲役または死刑(19歳以下は死刑なし など緩和)
では、今回の事件が「強盗致死」事件にあたる可能性があるのか。
「強盗致死」にあたるのであれば、そのポイントは?
元検察官の中村浩士弁護士に聞きました。
元検察官 中村浩士弁護士
「金品を奪おうという意思が発生したあとに暴行を加えると『強盗致死』という可能性が出てくる。ただ、暴行を加えた後に財物があると気づき、それを持っていこうというという場合には『傷害致死』と『窃盗』ということになる」
中村弁護士は「強盗致死」にあたるかは、金品を奪おうとする「意思」が重要だと指摘します。
その上で今回の犯行について、「強盗致死罪」にあたる可能性があるとみています。
元検察官 中村浩士弁護士
「最初から金品を奪う目的で暴行を加えた。あるいは途中で暗証番号を聞き出そうと、それ目的で暴行を加えたか、暗証番号を聞き出したあとも金品を奪取しようという意思のもとに暴行を加え続けたとすると『強盗致死罪』。法定刑は基本的には死刑、または無期懲役しかない重たい罪の成立というのが考えられる」
今後の捜査のポイントは…。
元検察官 中村浩士弁護士
「強盗・金品奪取の目的。これが暴行前か暴行の途中で発生していたということになると、誰がそういう認識を持って暴行していたのか。暴行の目的、どういう思いで続けていたのかというところの供述をどう得られるかが、捜査のポイントになってくる」
さらに、中村弁護士は今後の調査における注目点を2つ挙げています。
注目点①
「強盗致死」を立証するためには、“分配された現金を受け取っていたのか”も重要。
注目点②
犯行の関わり方について、「直接の暴行」か「暴行を黙認」などによって、罪の重さや種類が変わる。