クロマグロ漁獲枠拡大へ 値下がりに期待も、一本釣り漁師は「1人分の枠が少なすぎる」と嘆き 北海道
2024年12月09日(月) 17時45分 更新
9日午後、水産庁と都道府県の意見交換会が開かれ、2025年、北海道に配分されるクロマグロの漁獲枠も拡大され、大型魚が今年の1.4倍の446.5トン、小型魚は1.1倍の142トンと決まりました。
北海道札幌市のスーパーでは…。
堀内大輝アナウンサー
「手稲区のスーパーです。朝からこちらの鮮魚店も大にぎわいです。新鮮なマグロ並んでいます!」
吉本水産 東城哲也 店長
「さ!マグロあるよ!マグロ~!生本マグロ~!」
「当店は年中通して、生の本マグロを置くようにしている。年中取り扱っている」
この店では年間約2トンのホンマグロを仕入れていて、漁獲枠の拡大は大歓迎です。
吉本水産 東城哲也 店長
「数が増えれば、値段もおのずと下がってくる。そのあたりは期待している。少しでも下がっていけば、お客も食べやすいと思うので」
毎年9月には「マグロまつり」で盛り上がる北海道南部の松前町。
ここであがるマグロは「松前本まぐろ」というブランドで知られています。
道の駅北前船松前 宮本悠平 副支配人
「客の大半はマグロを目当てに来る。漁獲枠が増え、マグロが安定して購入でき、価格も安定したらとてもうれしい」
こちらの店では、1年で価格が安い時に大量に購入して冷凍ストック。
年間1.5トンから2トン食べられているそうです。
こちらが人気の「まぐろ丼」です。
藤田忠士 記者
「大トロ、中トロ、そして赤身という事なんですけどどれも、全部脂が乗っていてトロのように見えます。ではいただきます。溶ける~うまい!」
道の駅北前船松前 宮本悠平 副支配人
「(漁獲枠が増えて)値段が下がるのもそうですが、いろいろなメニューも考えてみたい」
道内の漁獲枠の増加が決まり、期待と喜びの声があがる中、松前のマグロ漁師は…。
まぐろ一本釣り部会 伊川俊幸 部会長(70)
「漁出られない、寒波入っているから(きょうは)だめだ」
マグロ一本釣りを50年続けている伊川俊幸さん。
9日はシケのため漁は中止となりました。
北海道全体の漁獲枠は増えたものの、今後さらに、海域や漁の方法ごとに、細かく漁獲枠が割り振られます。
伊川さんは、一本釣り漁師1人分の枠が少なすぎると嘆きます。
まぐろ一本釣り部会 伊川俊幸 部会長(70)
「枠が北海道に増えても、今まで取れないところでもマグロがいる。そういうところでも配分になると思う」
「枠が増えても何もうれしくない一本釣りだから。一本釣りは(松前で)35人。分け合っているから(年間)1人約400キロしかならない」
悩ましい漁獲枠ですが、マグロ漁師たちはこれを守り続けてきました。
太平洋のクロマグロは、かつて乱獲などにより資源量が大きく減少し、2010年には1万2000トンにまで落ち込みました。
その後、国際的な資源管理に取り組み、2022年には約12倍の14万4000トンにまで回復。
これを受けて、来年からの漁獲枠の拡大が決まりました。
北海学園大学 濱田武士教授(水産政策)
「そもそも水産資源は安定・一定はしない。その中にさらに漁獲行為が加わるので、資源が弱っているときに取る量を制限しなければ、より減っていく『負のスパイラル』にもなる。日本周辺国でクロマグロの乱獲が起こらないように、体制づくりを進めたのはいいが、やはり日本の漁業者の管理も厳しくしないといけない。国際的な資源管理の協調体制ができて、まだ10年たっていないが、その効果はある程度出たのではないか」