生活保護費の減額処分「厚労大臣判断は違法」札幌高裁で原告らが逆転勝訴 全国の高裁で司法判断分かれる
2025年03月18日(火) 14時22分 更新
生活保護費の引き下げは生存権を保障する憲法に違反するとして、北海道内の受給者が減額処分の取り消しを求めた裁判の控訴審判決で、札幌高裁は請求を棄却した一審判決を取り消し、原告逆転勝訴の判決を言い渡しました。
この裁判は、国が2013年から3年間で生活保護費の基準額を最大10%引き下げたのは、生存権を保障する憲法25条に違反しているとして、道内の受給者95人が北海道などに引き下げの取り消しを求めたものです。
札幌地裁は2021年、引き下げ基準の改定について「厚生労働大臣の裁量権の範囲に逸脱や濫用があるとはいえない」などとして、原告らの請求を棄却。2021年3月の札幌地裁判決
原告側は札幌地裁判決の事実誤認などを理由に控訴していました。
18日の控訴審判決で、札幌高裁の齋藤清文裁判長は、物価の変動をもとに基準額を減らす際に指標となる物価下落率の計算について、「検討を尽くさなかったのは憲法の趣旨や目的に反していて、厚生労働大臣の判断は違法である」と指摘。原告への逆転勝訴判決を言い渡した札幌高裁の廷内(18日)
原告の訴えを認め、減額処分を取り消しました。
生活保護費の引き下げを巡っては、全国7つの高等裁判所で判決が出ていて、今回の札幌高裁判決が8件目です。今回の高裁判決が8件目となる札幌高裁
このうち、減額の決定を取り消したのが4件。原告の請求を棄却したのが4件と、司法の判断が真っ二つに分かれています。