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天ぷらそば3,500円!異常な物価高騰“ニセコバブル”から1年…マチに驚きの変化 地元住民の新たな取り組みとは

2025年02月07日(金) 20時35分 更新

 カツカレー3,200円に、天ぷらそばが3,500円。
2024年、異常な物価高騰で話題になったニセコは今、どうなっているのでしょうか?そこには驚きの変化がありました。

2024年2月に、もんすけ調査隊は、ニセコエリアの物価高騰の謎に迫りました。

調査員
「見てください。カツカレーが3,200円です」



ホテルのレストランのカツカレーが3,200円、屋台の天ぷらそばが3,500円、味噌ラーメンも2,500円と、目を疑うような物価の高騰がありました。

しかし、観光客の反応は…

オーストラリアの観光客
「オーストラリアより少し安くて手ごろな価格」
「他の国のスキーリゾートと比べたら高くない」

このような物価高騰の理由には、観光客急増による需要の高まりと、深刻な人手不足があったのです。

HTMグループゼネラルマネージャー グレッグ・ターナーさん
「コロナ前と比較すると50%くらい清掃の給料は上げています」

清掃員の時給は、約2,000円!あまりの時給の高さから、ニセコバブルとも呼ばれた2024年から1年…。

ニセコは今どうなっているのでしょうか?調査員は再び現場へと向かいました。

世界的なスキーリゾートとして名高いニセコは、「倶知安町」「ニセコ町」「蘭越町」にまたがる広大なエリアです。

特に倶知安町の比羅夫エリアは、冬ともなれば、通りを歩く人のほとんどが外国人。国際色豊かなマチとなっています。

今シーズンはスノードーム内に、アイスバーやプロジェクションマッピングが登場。大太鼓によるイベントなども開かれ、華やかな賑わいを見せています。



しかし、気になるのはやはり物価ですが…。

調査員
「こちら、マルゲリータは1枚で2,000円です。ケバブが1,400円です」

決して安いとは言えませんが、2024年ほどの異常な物価ではないようです。



この一年で、いったい何が起きたのでしょうか?

倶知安観光協会 鈴木紀彦事務局長
「今年は、去年以上にレストランの数が増えている」

そう語るのは、倶知安観光協会の鈴木事務局長です。



倶知安観光協会 鈴木紀彦事務局長
「僕ら観光協会として注意したのが、適正な価格の設定を、各トラックを回って注意喚起してきたことで、割と良心的な価格に整ってきた」

実は2024年は、飲食店が不足し、価格が高騰。

今シーズンは新たにレストランが増え、価格が安定したという。

さらに観光協会が、キッチンカーに適正価格を呼びかけたことで、一部、高額な店舗があるものの、ほかの観光地と変わらない価格設定の店が増えたという。

さらに…

倶知安観光協会 鈴木紀彦事務局長
「市街地に無料の、ナイト号というバスを運行。市街地の飲食店に足を運ぶ人も増えている」

観光協会は今シーズンから、倶知安駅前と観光地を結ぶ無料循環バスを運行しているそうです。

片道10分ほど、45分間隔で運行する無料循環バス「ナイト号」によって、地元住民が利用する駅前店舗へのアクセスを向上させたのです。

では駅前の飲食店は、どんな価格なのでしょうか?

調査員
「見てください。コチラではカツカレーが1,100円です」

2024年、観光地では3,200円だったカツカレーが、駅前の飲食店では1,100円!かつ丼と蕎麦のセットでも、1,200円!



確かに観光地とは大きく価格が異なっています。

食事処barきむら 木村俊一店主
「夜は80%以上が外国人。カツカレー、かつ丼、天ぷらと、肉が大好きみたい。今年は本当に忙しい。席が2回転する日もある」

では、倶知安駅前にあるスーパーはどうでしょうか?

調査員
「見てください!こちらのワイン一本13万円を越えています」



13万円もするシャンパンが、何気なく売られているのです。しかし近くには、500円のワインも販売しています。

2024年、一部の極端な報道で、高級品しか売っていないと誤解された地元スーパーですが、もちろん、地元住民向けの割安な商品も豊富に取り揃えています。

調査員
「見てください!こちらのたまねぎ、9玉ほどが入って300円です。これは安いです」

そして2025年も人手不足のため、ホテル清掃員の時給は10%ほどアップし、2,000円以上に。

そこで倶知安町は、大都市から人を集めるため、札幌とニセコをつなぐ無料ワーカーバスの運行も始めました。

さらに、2024年までの悩みの種、渋滞問題にも着手。

交差点の拡幅工事を行い、渋滞も緩和されているといいます。



そして観光地の高価格問題に対しても、新たな取り組みが行われていました。

倶知安観光協会 鈴木紀彦事務局長
「去年12月から『KutchanID+』(くっちゃん・アイディープラス)という企画を始めています。加盟店のお店で、住民の価格で食べたり、アクティビティを楽しむことができるという仕組みを始めている」

地元民なら無料で登録できる『KutchanID+』を活用すれば、町内の様々な店で割引が受けられるそうです。



例えば、1万円ほどのスキーリフト券がほぼ半額になったり、温泉入浴料が3割引きになったり、駐車場を優先的に使えるサービスなどもあります。

倶知安観光協会 鈴木紀彦事務局長
「住民理解の促進は非常に重要なこと。持続的な観光振興を行っていくことが目標」

観光客だけでなく、地元住民も楽しめるマチ。それがニセコの目指す未来なのです。

倶知安観光協会 鈴木紀彦事務局長
「今後どの地域も同じ課題に直面していくと思うので、先駆的な存在になれればと思っている」


■調査結果
ニセコは今、物価高騰など様々な問題の解決に取り組んでいました。

ニセコでキッチンカーを営業をしている方によると、高級なホテルはオーストラリアや中国などの外国人が多く、安いホテルには日本人が多い傾向が見られたと話していたそうです。

実は今、ニセコで特に問題になっているのが「雇用問題」。

冬のシーズンのニセコでは、ホテルの清掃員で時給2,000円を超えているので、地元の飲食店や福祉サービスに人が集まらず閉鎖し、高齢者が引っ越してしまったりしているんです。

福祉の人材確保はますます重要な課題なので、今後、こちらへの対策も期待されます。

北海道ニュース24