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放火疑いの41歳男性は今も意識不明 すすきのガールズバー炎上から1週間「どうしました?」の問いに無言で…女性従業員は「許せない」

2024年12月03日(火) 19時10分 更新

札幌・ススキノのガールズバーが爆発したビル火災から1週間。放火の疑いが持たれている41歳の男性の車から、ガソリンのような液体を運んだとみられる携行缶が見つかったことが、わかりました。

11月26日、HBCの情報カメラの映像です。

店の従業員でしょうか。女性が這うようにしてビルから離れようとしています。

その後女性は、男性に抱えられて救助されたようです。

爆発は、札幌・ススキノの、6階建てビルにあるガールズバーで起きました。

堀内大輝アナウンサー(11月26日発生時)
「けがをしたとみられる人がビルから運ばれていきます。服が焦げていたように見えました」

目撃者(11月26日発生時)
「中から衣装を着た女の子たちが火が付いた状態で2人くらい出てて、従業員が必死で(火を)消して」

消火を手伝った女性(11月26日発生時)
「近くのコンビニに『水くれませんか』と言って水をバケツをもらった」



この爆発で、男性客2人と、20代の女性従業員が重傷。41歳の男性が、いまも意識不明です。

この41歳の男性が、ガソリンのようなもので店に火をつけたとみて警察が捜査を続けています。

堀内大輝アナウンサー
「爆発があったのとほぼ同じ時刻の現場です。ちょうど1週間前、この場所で爆発が起きました。ガラスが吹き飛び散乱、中は黒く焦げています」



ガールズバーの代表
「(男性は)帽子を深くかぶって作業員の格好で店に入ってきたらしい。手にはバケツを持っていてそのまま入り口に入って」

関係者への取材で明らかになった当時の状況です。

41歳の男性は、バケツを手に店の入口へ。まず、バケツの中身ではない、別の液体を入り口に撒きました。なんらかの可燃性の液体とみられていて、退路をふさごうと、火が燃え移るようにしたのかもしれません。



男性は無言で店の奥へ。この時、カウンターにはバニーガール姿の女性従業員1人と、別の女性従業員2人、客2人が座っていました。

男性はカウンターのそばで、バケツに入ったガソリンとみられる液体を床にまきます。

女性従業員の「どうしました?」という問いにも答えません。

不審な状況に気づいた、バニーガール姿の従業員と女性従業員1人はカウンターを飛び越えて避難。直後、男性はライターで火をつけたといいます。

堀内大輝アナウンサー
「店舗の近くからは、男性の車が発見されました。そして車からはガソリンを運んだとみられる携行缶が見つかり、警察は、男性が液体を携行缶からバケツに移し替えてガールズバーまで運び、犯行に及んだとみています」



浮かび上がる周到な計画性。

背景にあったとみられるのが、41歳の男性と、重傷を負った女性従業員との交際をめぐるトラブルです。

女性従業員は男性と同棲していましたが11月7日、「別れ話でもめた。彼氏が暴れた」と警察に相談。



また、勤務先の上司にも、男性とのトラブルを打ち明けていました。

ガールズバーの代表
「暴れている、発狂してくる、怖くて一緒にいられない、別れたいと」

堀内大輝アナウンサー
「警察は、男性に対し、女性従業員と無理に会うのを控えるよう注意していたといいます」

警察から注意を受けた男性は、「反省しています」と話したもののその後も、女性の引っ越し先に現れたということです。



「会いたい会いたい会いたい会いたい…」

交際に強い執着をうかがわせるLINEが、男性から女性従業員に送られてきました。



ガールズバーの代表
「1週間くらい前に(男性の)話をしたばかりだったので。もしかしたら(彼か)と思った、その(爆発の)瞬間に。実際なんでこういうことをしたのか、なんでその時間に来たのか、なんでそこを狙ってきたのかというところは本当に詳しく聞きたい」

女性従業員は、男性が火をつけたときに近くにいて全身にやけどを負い、いまも入院中です。

男性に対しては「許せない」と、上司に話したということです。



こちらはガソリンの「引火性の高さ」がわかる実験映像です。

実験装置の右側に火が付いたローソク。およそ2メートル離れた位置に、ガソリンを染み込ませたTシャツを設置します。

すると、わずか十数秒でTシャツは激しく燃え上がりました。

目には見えませんが、ガソリンからは可燃性蒸気が発生していて引火点はマイナス40℃以下と低く、小さな火でも爆発的に燃焼することがわかります。

今回、火災が起きたススキノのビルは、屋外の階段がなく、避難するための階段が屋内階段1つしかない、「特定一階段等防火対象物」と呼ばれる建物でした。

2021年には、大阪市の同じ構造のビルで建物内にある唯一の階段の防火扉前で、ガソリンを使った放火により27人の命が奪われました。

この火災を教訓に大阪市消防局では、命を守るための知識を啓発しています。大阪の火災では、ほとんどの人が一酸化炭素中毒で死亡していました。

煙や熱い空気は上にあがる性質があるため、できるだけ姿勢を低くして避難する。

また地上などに逃げられないと判断した場合には、状況にもよりますが、直通階段から離れた場所にある部屋に一時避難しドアの隙間をガムテープやタオルなどでふさぎ、煙の流入を防ぐことも有効です。

そして救助を求める場合は、手振りや声で知らせる。夜間は携帯電話のライトを活用するなど、わかりやすい合図を出すことが重要だということです。

北海道ニュース24