深刻な財政難に陥った人口11万人の北海道北見市 来年度から毎年30億円の収支不足の見通しも…“合併の副作用”に苦悩する中核都市
2025年03月06日(木) 19時15分 更新
財源不足で新年度予算の編成が遅れていた北海道北見市で6日、定例議会が始まりました。
人口11万の中核都市はなぜ深刻な財政難に陥ったのでしょうか。
北見市 辻直孝市長
「『財政健全化』と『ふるさと北見の発展』の二兎を追い求めることが必要であります」
財源不足により、異例の延期となっていた北見市議会。
6日、1週間遅れで開会され、辻直孝市長は、財政難を乗り切る決意を語りました。
北見市は、来年度から毎年30億円の収支不足に陥る見通しで、市は向こう3年間、事業見直しなどで予算を削る『財政健全化計画』をまとめています。
なぜ、ここまで財政が悪化したのか。原因の一つは20年前の『平成の大合併』です。
北見市は2006年に近隣の常呂町、端野町、留辺蘂町と合併。北海道内最大の面積を持つ、巨大なマチが誕生しました。
合併でインフラの維持管理に膨大な費用がかるうえ、かつての3つ町は『自治区』という形で残り、公共施設の統廃合は、十分に進められませんでした。
北海道内の主要都市と公共施設の数を比較すると、北見市は体育館の数が、人口が約18倍の札幌市と同じです。
図書館や市立保育園についても、北見市より人口が多い、旭川市や函館市より多くなっています。
カーリングのマチとして有名な、旧常呂町、現在の常呂自治区です。
『財政健全化計画』によって、温水プールや野球場といった公共施設が閉鎖されることになりました。
50年余りにわたって住民に親しまれてきた市営浴場も、今月いっぱいで営業を終えます。
市営浴場の利用者
「ここがなくなったら本当に大変ですよね」
市営浴場の利用者
「この市民の憩いの場所をもぎとってしまうんだろうな」
20年経って、合併の副作用に悩まされることとなった北見市。財政健全化への道のりに、市民の理解は得られるのでしょうか。